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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE074:転移陣の捜索

 悪魔の街でなんとか悪魔を捕らえた姫那達だったが、その悪魔は転移陣の在処を知っているのか?


 「じゃあ早速聞いてくれ、姫那」

 「うん!」


『バルナス島に行く転移陣は何処にあるか答えて!』


 「何処にあるかはわからない」


 悪魔の答えは予想通りでもあるし、予想外でもあった。


 「今の答え方からして何処にあるかは知らないが、その存在自体は聞いた事があるような答え方だったな」


 夏生の言う通り、悪魔の答え方は転移陣の存在は知っているようだったが、悪魔の中でもだいぶ下っ端のようでその場所はわからないみたいだった。


 「姫那、次はこう聞いてくれるか?」


 夏生が姫那に伝えたのは、『転移陣の話は聞いた事はあるか?』という質問の仕方だった。

 そしてそう聞くと悪魔はその存在の話を始めた。


 「話は聞いた事がある。島に行く為の転移陣が何処かにあると。その場所はわからないが噂も聞いている。ある家に入った者が何人も消えたというのはこの街では有名な噂だ」


 間違いなくそれが転移陣だとわかった。


 「その家は何処あるのか聞いてくれるか?」


 姫那が悪魔に再度聞く。


 「南の門の方だ。そちら側の何処かにあると聞いた」

 「下っ端の悪魔じゃ流石にその家の場所まではわからないか」

 「とりあえず南の門の方に行くしかないね!」

 「そうだな。お前らは先に向かってろ。俺は後始末をする」


 後始末。それは悪魔を殺すという事だと誰もが察した。

 そしてそれを夏生は後は自分が全部して、姫那に見せまいとしてくれているのだろうと。


 「ごめん、夏生。ありがとう、、」


 姫那は申し訳なさそうに夏生に気を遣いながら謝った。


 「今更何言ってんだよ。前にも言っただろ。お前にできない事は俺達がやるって」

 「、、うん、そうだね」

 「あーもう!そんな辛気臭い顔お前には似合わないんだよ!もういいから早くあっち行ってろって!」


 夏生に追い払われるようにして姫那達は南の門に向かった。


 「さぁお別れの時間だ、悪魔」

 「私は何もしてない!悪魔として生まれたが君達人間共には何もしていない!」

 「お前に罪はなく、何もしてなくても今後もそれが続くとは限らない。だから俺はお前を斬らないといけない。悪魔と俺達はそういう運命なんだよ」


 悪魔は何も返さずただ泣いて震えているだけであった。

 流石の夏生も少し心の片隅に躊躇う気持ちがあったが、見つけたからにはここで見逃すわけにはいかなかった。


 「悪いな。俺に見つかった事がお前の運の尽きだ」


 そう言って夏生は剣を振り下ろした。


 (ザン)


 悪魔は灰になり消えていった。


 「ふぅ。なんかこういうのはやりづらいな」


 悪魔にもこういう悪魔がいるという事を初めて知り、今後の事を考えた。


 「これを姫那が知ったとしたらやばいな。今まで悪魔を殺す事を止めはしなかったが、こうなってくると姫那は悪魔に情が移ってもおかしくないからな」


 今回何故夏生が無理矢理姫那を先に行かせたかというと、悪魔が悪い悪魔ではないと目を見てわかったからだ。

 それを姫那が知れば殺すのを止めに入る。そう思ったから夏生は自分だけ残り、姫那達を先に行かせたのだ。


 「これから俺が気を付けていかないとな」


 夏生はそう思っていたのだが、その心配も杞憂に終わる事をこの時はまだ知らなかった。


 「あ!夏にぃが追いついてきたよ!」

 「おう、待たせたな」


 多くを語らず、みんなに合流した。

 そして歩く事20分、南の門に到着した。


 「ここの何処にあるのかなー?」

 「またしらみ潰しに探すしかないな」


 1人になるのは流石に危ないので、2人1組になって転移陣を探す事にした。

 姫那とルーナ、夏生と葵、エルサリオンとあかりでペアになった。


 「じゃあ俺達は中央を探すから、姫那達は左側、エリー達は右側でここから門に向かって探して行こう」

 「わかった!」

 「了解だ」


 姫那とルーナペアはルーナが姫那を抱えて飛んで捜そうとしていた。


 「よし!お姉ちゃん飛んで探そう!」

 「うん!さっきも一緒に飛んだけど、なんか久々な気がする!」

 「ちょっと待て、飛んで探すのはまずいだろ」


 テンションが上がっていた姫那とルーナをエルサリオンが止めた。


 「え?なんでダメなの?」

 「悪魔の言葉を忘れたのか?転移陣は家の中にあるって言ってただろう。だったら飛んで探してたら見つからなくないか?」

 「あ!」


 姫那とルーナは顔を見合わせて一緒にエルサリオンの方を向く。


 「「確かに!!」」


 完全に忘れていたという表情だった。


 「バカだろお前ら」


 夏生が横から言葉を挟む。


 「バカって言ってる方がバカなんだよー!」

 「いやだから前も言ってたけど、その理論なんだよ!」

 「知らないの?常識じゃん!」


 姫那の訳の分からない理論に圧倒され、夏生は自分が折れるしかないと思った。


 「もういいよ、俺がバカで」


 折れた夏生を見て満足げな顔をしている姫那であった。


 「おしゃべりはこれくらいにして、そろそろ行こう」


 エルサリオンの合図でやっと転移陣の捜索が始まろうとしていた。


 「じゃあ、集合場所は南の門の前でいいな?」

 「そうだな。そこに集まろう」

 「了解!」


 そして3手に分かれてしらみ潰しの転移陣捜索を開始した。


 「家を全部見て行くって結構骨が折れるね〜、、やっぱり一軒ずつ見て行くしか方法はないかな?」

 「んー、エリーが言ってたように飛んで探すのは難しいし、、一軒ずつ見るしかないんじゃないかな?」

 「そうだよね〜、、まぁそれしかないなら仕方ないか!」


 姫那とルーナは何か方法がないか考えたが、全く浮かんでこなかったので、一軒ずつ探すのを楽しむ事にした。

 その頃少し気不味い空気のペアがいた。


(私エリーさんと話した事ないかも、、なんでこのペアになったんだろ、、)


 「俺達喋った事なかったよな?」

 「はいぃ!」


 いきなりエルサリオンに話しかけられて、しかもあかりも同じような事を考えていたので、驚いて声が裏返っていた。


 「すまない、驚かすつもりはなかったんだが、、」

 「い、いえ!私の方こそすみません!変な声出しちゃって!」

 「敬語はやめてくれ。俺達は仲間だろ?」

 「わかりました!あ、わかった!」


 あかりは夏生の時と同じだと思った。

 仲間。その言葉を聞けるだけでこの人を信頼していいと思えた。


 「はは、なんかすごい緊張してるな」

 「いや、だって喋った事なかったから、、」

 「忙しかったり騒いだりで、なかなか喋れなかったからな」

 「そうだね、、でも今こうやって話せてよかった!」

 「話せたついでに一つお礼を言わせてくれ」

 「え?」

 「姫那を救ってくれて本当に感謝している。改めてありがとう」


 エルサリオンはあかりが姫那を救ってくれた事を深々と頭を下げて感謝した。


 「そ、そんな!全然だよ!当たり前の事をしただけだよ!」

 「それでも姫那は俺達の仲間だ。仲間の命の恩人は俺達の命の恩人だ。本当にありがとう」


 エルサリオンはずっと頭を下げていた。

 それにあかりは少し困っていたが、次のエルサリオンの言葉で嬉しさが溢れた。


 「そんなあかりが俺達の仲間になってくれて本当に嬉しい。ありがとう」


 同じ感謝の言葉だが、意味は違っていた。


 「うん!私もみんなの仲間になれてよかった!」


 あかりは満面の笑みでエルサリオンに言葉を返したのだった。

3手に分かれて転移陣の捜索が始まったが、見つける事ができるのか!?

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