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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE069:キャンプファイヤー

 空高く昇る火の周りを囲みながら大宴会は始まった。


 「夏生、確かにこれはすごい。感無量だ」


 エルサリオンがキャンプファイヤーを見て目を輝かせ、子供みたいになっていた。


 「そうだろ。でも楽しむのはここからだぜ」

 「そうだよエリー!一緒に楽しもう!」


 夏生と姫那がキャンプファイヤーの近くに走っていった。


 「私も行くー!」

 「僕も行きますー!」

 「私も行きたいー!」


 まだエルサリオンはこの状況をよくわかっておらずキョロキョロしていたが、とりあえず自分も行ってみようと思いみんなについて行った。


 「みんな何をやっているんだ?」

 「何って踊ってるんだよ!キャンプファイヤーと言ったらダンスなんだよ!」


 夏生がエルサリオンの問いに楽しそうに答える。


 「お前も踊れ!エリー!」

 「踊りなんてやった事ないぞ俺は」

 「そんなもん俺もねぇよ!なんか雰囲気でいいだよ、こういうのは!」

 「そうだよエリー!適当に踊ろうよ!」


 この街には音楽家もいて、キャンプファイヤーにピッタリな音楽を奏でてくれていた。


 「いや、ちょっと俺は遠慮しとくよ」

 「何恥ずかしがってんだお前は!こんな時は恥ずかしさなんて捨てて楽しまないとダメなんだよ!」

 「お、おい!」


 夏生に引っ張られ、エルサリオンもキャンプファイヤーのすぐそばまで来た。


 「なんか夏生、お前いつもよりテンションが高くないか?」

 「あ?いつも通りだよ!ヒック」

 「お前、酒飲んだな?」

 「あ?飲んでねぇよ!ヒック」


 顔も赤いし、呂律も回っていないし、絶対飲んでいる。


 「お前酒を飲んだらダメなんじゃなかったのか?」

 「あ?あっちを見てみろ!」


 夏生は酔うと言葉の最初に「あ?」と付くみたいだ。

 夏生が指差す方を見ると、そこには夏生と同じように飲んだくれている姫那がいた。


 「よーし!みんな今日は浴びるくらい飲むよー!」

 「お前ら、、」

 「エリーもこっち来て一緒に飲もうよ!」

 「お前らは飲んだらダメなんじゃなかったのかよ?」

 「いやー、私もそう思ってたんだけど、ここの人に聞いたら未成年って概念なんてないって言うじゃん!だったら飲まないと損じゃん!」


 こっちの世界にはお酒を飲んではいけない年齢というのはない。

 それを聞いた瞬間に姫那の好奇心は爆発した。

 今まで飲んだ事はなかったがずっと飲んでみたいと思っていた。

 すぐにお酒を飲んでみた。


 「でもお酒飲んでみたけど、別に普通だね!全然酔わないや!」

 「あっちを見てみろ」


 エルサリオンが夏生の方を指差す。


 「あれが夏生?」


 夏生は酔っ払ってぐったりしていた。


 「そうだ。あいつもこっちの世界の人間に勧められた酒を飲んであぁなったんだ」

 「あんなになるまでって、、どれだけ飲んだの?」

 「コップ半分だ」

 「コ、コップ半分?それだけであんなに酔ってるの?」

 「そうなんだよ。俺じゃあもう手に負えない。姫那がなんとかしてくれ」

 「え〜!私でもどうにもできないってー!」


 そう言いながらも姫那は夏生のところに行って話しかける。


 「夏生〜、大丈夫〜?」

 「あ?姫那か?なんだ?」

 「なんだじゃないよー!そんなに酔っ払って何やってんのよ〜!コップ半分しかのんでないんでしょ?」

 「姫那〜、お前はすごいな〜。頑張り屋だし、みんなの女神だし、顔も可愛いしな〜。俺は好きだぞ〜」


 酔っ払った夏生が嘘か本当かわからない言葉を連呼する。


 「な、何言ってるの!?夏生酔っ払いすぎだよ!」


 そう言って姫那は夏生にお水を持ってきた。


 「はい!これ飲んでしっかりして!」

 「姫那の口移しでくれ〜」

 「な!バカじゃないの!早く飲みなさい!」


 夏生の意味不明な言葉に姫那は顔を真っ赤にして水の入ったコップを無理矢理夏生に飲ませる。


 「ゴホゴホッ!何するんだよ〜」

 「知らないっ!」


 そして姫那は水を無理矢理飲ませたら去っていった。

 何故姫那がちょっと怒ってるのかが全くわからない夏生であったが、それよりも眠くなってきたのでその場で眠る事ににした。


 「夏生はどうだった?」

 「知らないっ!」

 「お、おう」


 エルサリオンが姫那に聞いたが、怒り気味の姫那に気圧された。

 姫那はエルサリオンを通り過ぎてルーナとあかりの元へと歩いて行った。

 葵はキャンプファイヤーの準備を一緒にしていたのもあって、集落のみんなと仲良くなり騒いでいた。


 「なんでちょっと怒ってるんだ、、」


 エルサリオンはもちろん何故姫那が怒っているのかわからないのであった。


 「お姉ちゃん、なんか怒ってる?」

 「別に怒ってなんかないよ!ただなんか変な気持ちになっただけ!」

 「変な気持ちって?」

 「まぁそんな事どうでもいいじゃん!今はこのキャンプファイヤーを楽しもうよ!」


 姫那は話を変えて誤魔化した。


 「お姉ちゃんがそう言うならいいけど!あかりちゃーん!」

 「ルーナとあかりはお酒飲んだの?」

 「私は飲んでないよ!まだ飲んだら変になりそうだし!お姉ちゃんは?」

 「飲んだよ!でもなんともなかった!」

 「私は程よく酔っ払ってるかな!」


 少しホッとする姫那であった。

 そして、3人でキャンプファイヤーを楽しもうとしたが、集落のみんなが姫那のところに寄ってきた。


 「姫那様!私どもと一緒に飲みましょう!」

 「いや、私どもと飲みましょう!」

 「いやいや、私どもと!」


 姫那と一緒に飲みたいという種族がどんどん増えてきて、姫那の取り合いを始めた。


 「ちょっとみんな落ち着いて!せっかくなんだし、みんなで一緒にキャンプファイヤーを楽しもうよ!」

 「確かにそうですね!姫那様は一人ですしね、、みんなの姫那様ですからね!」


 姫那は少し苦笑いをしていた。


 「お姉ちゃんやっぱりすごい人気だね!さすが私のお姉ちゃん!」

 「なんかこんな扱いされた事がないから変な感覚だよ、、もっと普通の扱いをされたいな〜」


 姫那は日本にいた時からこれまで、こんな扱いを受けた事がなかったし、どこにいても普通の中の普通の人生を過ごしてきた。

 急にこんな扱いを受けたら困惑するのも無理はないというものだ。


 「まぁ集落のみんなからしたら姫那は女神なんだ。仕方ないな」


 エルサリオンが諦めろと言わんばかりに肩に手を置いて話してきた。


 「そっか〜、、でもちょっとわかる気もするな!今は友達だけど、私も最初はあかりが女神のように見えてたし!」

 「私が女神?そんなわけないじゃん!それに女神はこの世界に一人で十分!みんなからそう思われてる姫那が一番似合ってるし、しっくりくる!」

 「とりあえずはそれでいっか!別に肩書きなんてなんでもいいし!」


 結局考えるのがめんどくさくなってどうでもよくなった。

 そして、夏生は寝たままで他のみんなで大宴会を楽しんでいた。

次回で4階層の大部分は終わると思います。

5階層の事も出てくるかも?

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