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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE057:賢明の悪魔ロノウェ

 姫那達が城を出る少し前。エルサリオン達は南の門に到着していた。


 「まだロノウェって悪魔はここに来てないみたいだな」

 「そうですね!まだ来てないって事は僕らがこの門を守らないとですね!」

 「あぁ。今のうちにお互いが出来る事を確認しておこう。それを把握していた方がもし戦闘になったとしてもお互い動きやすいからな」


 という事で、ダメージを負っている二人が今できる事を確認し合った。


 エルサリオンは今、翼を出す事や早く動く事が出来ず、逆に弓を創造したり、射る事はできる。

 葵に関しては巨大化という単純な物だからギフトの性質上、今出来なくなる事はあまりなかったが、威力が大幅に下がっているだろうと考えていた。


 「お互い俊敏に動く事ができないな。悪魔がもし速さで勝負してくるならこっちの不利だな」

 「確かにそうですよね、、だったら僕に一つ考えがあるんですけど、、」

 「聞かせてくれ」


 葵の作戦は至極単純で、待ち伏せする事だった。

 ロノウェ達が南の門に向かってきているのであれば、待ち伏せをしているなんて事は考えないだろう。

 何故ならそんな予測なんて出来るはずがないと思っているからだ。

 それにも根拠はあって、脱出経路を南の門と決めていたのを知っていたのはロノウェ本人だけだからだ。

 というか、ロノウェが他の悪魔には言っていなかったという方が正しいだろうか。

 だからこそ、逃げる事は容易だと思っていると予想した。


 「もしその予想が当たっているなら確かに真正面で待つよりも隠れていた方が相手の油断も誘えるしな」

 「はい!この辺りに悪魔はいないですし、何処にでも隠れられますしね!」


 葵の提案通り、ロノウェらしき悪魔が見えるまで隠れる事にしたのだった。

 そして現在もロノウェが来た時に備えて隠れていた。


 「来るかわからないものを待つのは結構きついですね、、」

 「まぁでもこれも重要な役目だ。来る可能性もあるし、来ない可能性もある。来たのなら何が何でも俺達で片をつける。来ないなら夏生達が倒したか、或いはそもそも南の門から逃げ出すというのが見当違いだったか。だな」

 「ここに来ないで夏生さん達も倒せてなかったのなら、どうやって探せばいいのでしょうか?」


 最悪の場合を想定して、その時何をするべきか葵はエルサリオンに確認がしたかった。


 「そうだな、、そうなった時は絶対に捕らえて討伐する。それしかない」


 いつでも的確な作戦を思いつくエルサリオンだったが、もし今回のこの作戦が失敗に終わったとしたならば、その後の作戦はエルサリオンでもわからなかったのだ。

 そしてこう続けた。


 「だが、この経路が一番可能性が高いのも事実だ。だから俺達はそれを信じて待とう。それと、来ると思って来るのと来ないと思って来るのでは初動が違ってくる。いつでも動けるように、来ると思って待っていよう」

 「そうですよね、わかりました!僕ももう一度気を引き締めます!」


 エルサリオンの言葉に再度気合を入れる葵であった。


 「ロノウェ様、やはり異世界人は城の方に向かったみたいです」

 「やはりそうか。まぁそうなるように誘導したからそれが普通だな」


 エルサリオンと葵は、来ると思って待つと決めた瞬間だったのでその声を聞いた時、一瞬何が起きたのかわからなかったが、すぐにロノウェが来たのだとわかった。


 「エリーさん!」

 「あぁ、だがもう少し待とう。あそこじゃまだ逃げられる可能性がある」


 今ロノウェ達がいるところはまだ街の住宅街の中で、エルサリオン達に気付いたらすぐ逃げれるような場所にいる。

 だからもう少し門のところまで来させてから動き出した方がいいと判断した。

 門の前は少し広まったところになっていて、逃げ出す前に捕らえれる可能性が高まるのだ。


 そしてロノウェの側近がロノウェに更なる情報を告げる。


 「つい先程監視の者から情報が届いたのですが、城にいたのは三人だけで、後の二人はいなかったとの事です」

 「いなかった?じゃあ何処にいたんだ?」

 「わからなかったそうです。城に入る前からいなかったそうで、、」


 全員が城に向かったのではなく、三人だけで後の二人の行方がわからないという事にロノウェは不自然さを感じた。


 「二人いなかった、、どういう事だ?その二人は今何処にいる?」


 ロノウェは頭をフル回転させて考えた。

 そして行き着いた答えは、、


 「待ち伏せか」


 ロノウェの知力は悪魔の中でもトップを争うほど。

 付けられた二つ名は賢明の悪魔。

 知性と残虐性を兼ね備えた悪魔だった。


 「待ち伏せとはどういう事ですか?」

 「あっちにも多少なり知能が働く奴がいて、そいつが二手に分かれて一つは城攻め、もう一つは門から逃げないように先回りして待ち伏せをしている。そんなところだろうな」

 「でも出入り口は東西南北に4つ。この南の門に来る確率も25%と低い確率ですが、そんな確率で待ち伏せなどするでしょうか?」

 「そこはわからない。だが、逆に言うと25%もあると言える。そしてこの南側は逃げやすいように街も造り込んである。もしなんらかの形でそれを知ったのなら単純に25%ではなく、この南の門にその二人が来ている可能性が一番高い」


 ロノウェは圧倒的な知力と推理力で姫那達の動きをほぼ的確に当てた。

 そう考えたロノウェは足を止めていた。

 それを見ていたエルサリオン達は、、


 「何故足を止める?俺らが気付かれたか?いや、それはない。俺達が今向こうに気付かれるような行動は絶対していない。今じゃなかったら、、今までの行動か?」

 「エリーさん!気付かれた理由を考えている場合じゃないかもしれないですよ!悪魔達が、、」


 立ち止まっていた悪魔達が南の門とは別の方向に進み出した。


 「やはり俺達に気付いたか。葵、いくぞ!」

 「はい!」


 今はこうして目視できているが、ここで見失ってしまうと悪魔の方がこの街の地理を把握してる分、見つける事が困難になってしまう可能性が高い。

 だから何としても今見失うわけにはいかなかった。


 「葵!今の本気の一撃をお願いできるか?」

 「今本気で一撃打ったらもう打てないですけど、大丈夫ですか?」

 「いい!今打ってくれれば大丈夫だ!」

 「わかりました!」


 そう言うと葵は巨大化した。


 「あれは、、やはりここにいたか。異世界人」


 葵が巨大化した事によって、ロノウェがエルサリオン達の存在に気付いた。


 「だがあいつはバカだな。あんなにデカくなったら相手に居場所を教えているのと一緒だろう」


 そして葵は渾身の一撃を悪魔に向けて放った。

 しかし、威力はルーナを助けた時の半分くらいの威力で、まだ万全の状態ではないせいか、狙いも外れて建物に当たった。

 ただ、半分の威力でも建物を崩すくらいの威力はあって、その瓦礫でロノウェの行く手を阻んだ。


 「こんな事をしても意味はない。何の為に私がこの南の門を選んだと思っている」


 そう言うと別の道から逃げようとしていた。

 このままでは折角見つけたロノウェを見失ってしまう。

 葵はもう大きな一発を打つ事はできないし、エルサリオンも速く動く事はできない。

 二人に何か打つ手はあるのか。

賢明の悪魔ロノウェを捕まえる事ができるのか!?

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