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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE043:壁の内側

 足跡を残したまま逃げるという事はよほど必死だったのだろう。

 もし本当に本気で逃げるなら足跡は消すか、もっとわかりにくくするはず。

 それをしなかった理由は一つしかなかった。

 それは同格の悪魔が手も足も出せなかった人間から逃げる為であった。

 姫那への恐怖心が増すばかりで足跡を消すなんて考えすら及ばなかったからだ。

 そして森のような場所を歩いていると、また集落のような場所に出た。


 「海底都市はいくつか集落があるんだな。俺らが最初にいたところは海底都市の玄関口って感じか」


 歓迎する相手もいないのに何故海底都市に来て一番最初に着く街があんなに賑わっているのか。それは歓迎の街・アボリジャバロと同じで捕らえた奴隷を油断させる為であった。

 形は違うが悪魔が考える根っこの部分は似たようなものなのだろう。

 奴隷として捕らえた者でさえ油断させ、心の扉を少しでも開かせる。それが悪魔の常套手段だった。


 「ここにいる人達っていうか種族は人じゃないな。逆にさっきの集落には人間しかいなかった。種族ごとに集落が分けられているのか?」

 「確かにそうだったね!なんでこんな分け方をしてるんだろう?」


 何を目的としているかはわからないが、悪魔は種族ごとに集落をわけていた。


 「まぁそれを今考えていても答えは出てこないし、悪魔に聞くのが一番早いな。もうすぐ追いつけそうだし」


 エルサリオンの言葉通り、一番早いのは悪魔に聞く事だ。

 そして、集落を後にして少し歩くと壁のようなものが現れた。


 「すごい高い壁だね!でもこっちにはルーナとエリーがいるから関係ないね!」

 「一応壁の向こうを一度確認しようか」


 そう言うとエルサリオンは壁の向こう側を確認する為飛んだ。


 「私も行く!」


 ルーナがエルサリオンについて行こうと一緒に飛ぼうとした。


 「ルーナ!私も連れて行って!私の目が何か役に立てるかもしれない!」

 「わかった!」


 ルーナは姫那が言ってるいる意味がよくわからなかったが、姫那にお願いされて断る事は絶対にありえないのがルーナだ。

 それに、姫那が連れて行って欲しい理由は夏生がよくわかっていた。

 姫那には何も隠せない。それが目に見えない物でも見える物でも。

 夏生と葵は下で待つ事にした。

 そして三人は飛び立っていった。


 「すごい高い壁だね!」


 三人は壁の上までたどり着いた。

 その壁は100mほどはある。奴隷という状態で他の種族を支配しておきながら何から守る為にここまで高くしているのか。

 それとも単に悪魔が用心深いのか。


 「どうだ姫那?俺にはただの街に見えるが」

 「んー、何も変わったところはなさそうだね〜」

 「流石にこんな壁があったら中は普通か。普通って言っても変な街ではあるがな」

 「とりあえず一回降りる?」

 「そうだな。中に入るにしても合流してからだしな」


 降りると夏生と葵がすごく暇そうにしていた。


 「お前達すごい暇そうだな」

 「暇でしたよ〜。何もする事無さすぎてあっち向いてホイなんてやっちゃいました!」

 「10勝9敗で俺の勝ちだったな」

 「いや、夏生さんあの向き方はズルです!右か下か曖昧すぎます!」

 「ギリセーフだよあれは」

 「いいなー!私もあっち向いてホイしたかった!」

 「姫那さんがやったら誰も勝てないですよー!洗脳して終わりじゃないですかー!」

 「お前ら緊張感のかけらも無いな。それよりも中の事について話そう。と言ってもこれといって変わった事はなかったが」


 姫那達が見た壁の中の街は不自然なところはほとんどなく、普通の街といえば普通の街だった。

 だが、唯一普通の街とは変わったところがあった。

 それは、上から見たところこの街にはほとんど住宅しかないという事だった。

 普通の街なら住宅以外にも何かあるはずだ。

 そして一際大きな建物群がそびえ立っている場所があった。

 それは街の中心に位置し、それを囲うように住宅が配置されていた。


 「その建物群にたぶん悪魔のトップがいるな」

 「たぶんな。もしそうじゃなかったとしても街自体もそれを守っているような感じだった。あそこに何かあるのは間違い無いだろう」


 そして話はどうやってこの街に入るかに変わった。


 「さて、どうやってここに入ろうか」

 「入り口を今から探すのってしんどくない?もう上から入っちゃえばいいんじゃない?」

 「まぁそれもそうだな。別に上から入っても問題無さそうだったんだろ?エリー」

 「むしろそれが一番隠密に入れると思う」

 「じゃあ決まりだな。早速上に行こう」


 こうしてルーナは姫那を、エルサリオンは夏生と葵を抱えて壁の上から中に入った。


 「びっくりするほどすんなり入れたな。罠があると言わんばかりに」

 「まぁさすがにここまで高い壁の上から入ってくるやつなんて考えてないんだろうな」


 能力も封じてる者が100mの壁を越えるなんて誰であっても考えない。

 そして、何か能力を使える者が悪魔以外にこの街にいる事も考えないだろう。

 何故なら悪魔以外は囚われた奴隷なのだから。


 「なんかビバリーヒルズみたい、、」


 ルーナが呟く。


 「ビバリーヒルズってあの高級住宅地の?」

 「うん!私あそこに住んでたからなんか家に帰ってきちゃった感じがするよ」

 「え!ルーナあんなところに住んでたの?すごいお嬢様じゃん!」

 「お嬢様なんかじゃないよ〜!別にそんなにいい場所でもなかったし、、」


 ルーナが何か寂しげな顔をしているのが、全員がわかった。


 「ルーナ?」

 「あ、なんでもないよ!それよりこんな目立つところにずっといたら見つかっちゃうよ!隠れられそうなところに行こうよ!」

 「う、うん、、」


 ルーナは話を変えて誤魔化した。

 あまり話したく無さそうだったので、みんな深く聞こうとはしなかったが、姫那はいつもと違うルーナが少し心配になった。


 「とりあえずここだったらあまり目はつかないだろうから、これからどう行動していくか相談しよう」

 「そんな事決まってるだろ。あの中心のところにいけば悪魔のボスがいるんだろ、だったらそこしかいく場所はないだろ」


 エルサリオンも最終目標はそこだ。だが、それまでの道のりについて考えるつもりだったが、、


 「まぁ確かに夏生の言う通りだな。難しい事考えずそこに向かっていけばいいな」

 「難しい事なんてわからないし、大きい家に行くってだけならわかりやすくて簡単だよ!」


 中心の家に行くということは悪魔のボスと戦うという事。それを簡単と言えてしまうのは姫那だけである。


 「もうなんかお前が何を簡単と言っても疑わねぇし、驚かねぇよ」


 夏生は悪魔に嫌悪感しかないが、姫那を相手にしたら悪魔ですら可哀想と思ってしまうくらいであった。

 そして今回、悪魔の用心深さが姫那達が思っている以上のものなのだと姫那達はまだ知らなかった。

ルーナは過去に何があったのか。

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