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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE041:強さとは

 4階層の話をする前にエルサリオンが少し気になった事があった。


 「そういえば夏生とルーナのそのブレスレットは外せないのか?それがあるとギフトが使えないんだろ?」

 「全く外せないんだこれが。外せていたらあんな奴らにボコられてねぇよ」

 「私さっき外してもらったよ!」


 全員が立ち止まりルーナの方を向く。


 「外してもらったって誰にだよ!?」

 「え、お姉ちゃんだよ?」


 いやいや、どうやって姫那がこのブレスレットを外したんだ。姫那のギフトは洗脳系だし、あり得ないだろ。とみんな思った。


 「どうやって姫那がブレスレットを外せるんだよ」

 「なんかお姉ちゃんが触れたら外れたんだよ!ね!お姉ちゃん!」

 「うん、外れろ〜って思ったらなんか外れたんだよ!」


 姫那自身も何故外せたのかわかってないみたいだ。

 その事実を確かめる為に夏生も姫那に腕を差し出す。


 「じゃあ俺のも外してくれ」

 「やってみるけど、外れなかったらごめんね!」


 そして、ルーナの時と同じように念じると夏生のブレスレットも外れたのだ。


 「本当に外しやがった。お前のギフト本当になんなんだよ。仲間の俺でも怖くなってきたぞ」

 「私にもわからないよ!いきなり外せるようになったんだから!どうやって外せてるのか教えてほしいくらいだもん!」


 ここでエルサリオンはある事を考える。

 これは先程葵が言っていた姫那の覚醒に原因があるのではないかと。

 夏生がある事に気付いた。


 「そういえばさっきもブレスレットをしている店員にも姫那のギフトが通用してたよな?」


 そう、今までならブレスレットに触れている時はギフトは発動しなかった。

 3階層の檻の中でも全く使えなかったのだ。


 「うん、結構賭けだったけどいけたね!よかった!」

 「お前それ無理だったらどうする予定だったんだよ、、」


 覚醒の事を知っている葵とエルサリオン以外はなにが起きたのかわかってなかった。

 そして葵とエルサリオンも覚醒が関係あるとは思っているが、それ以上何もわからなかったのだ。

 もちろん姫那もわからない。というよりはわかろうとしていないと言った方が正しいだろうか。


 「まぁ結局洗脳できたし、結果オーライじゃん!」


 この時、姫那に何が起きていたかというと、実は姫那のギフトは生命体だけではなく、無機物にも影響を与える事ができるようになっていたのだ。


 「俺はこんな馬鹿げた力を使う奴が敵じゃなくてよかったと今本気で思ったよ」

 「俺もだよ」


 夏生の言葉にエルサリオンも同調して、他のみんなも頷いていた。


 「何よみんなー!なんか化け物を見るような目で見て!私だって意味わかんないんだから!」


 みんなの自分を見る視線がいつもと違う事に姫那は少しだけ嫌な気持ちになった。


 「姫那、お前何か勘違いしてないか?俺たちは姫那が化け物とか1ミリも思ってないぞ」

 「そうだよお姉ちゃん!私を助けてくれた時も本当にかっこよかったし、私が男だったら絶対惚れてたもん!何より私の為にあんな姿になってまで助けてくれてすっごく嬉しかったんだよ!」

 「そうですよ!逆にいつも頼りっぱなしで申し訳ないなって思うくらいです!」

 「そういう事だ。みんな姫那に何度も救われている。俺達は姫那に感謝してもしきれないくらいだよ」

 「みんな、、」


 みんなの言葉に姫那は必死に涙を堪えようとしていたが、全然堪えられず涙が溢れていた。


 「だから安心しろ。俺らはこれからもずっと家族だからよ」


 夏生が柄にもない事を言った為、みんな目が点になった。


 「言ってる事はわかるけど、なんか夏生がそれを言うと変だな」

 「うん、夏にぃじゃないみたい!なんか変!」

 「夏生さん大丈夫ですか?いつもと違って変ですよ!」

 「お前らな、、」


 そんなやりとりを見て姫那も可笑しくなってきて、感動で泣いていたが笑いが止められなくなって泣いてるのか笑ってるのかわからない状態になった。


 「変だけど、夏生ありがとね!やっぱり私はみんなが大好きだ!」


 過ごした時間は長くはないが、切っても切り離せない絆が姫那達には生まれていた。


 「それはそうとさっきのルーナの言葉が気になったんだが、あんな姿ってどんな姿になったんだ?」

 「私もわからないんだ!その時の記憶が全くないんだよ!」

 「なんだそれ?」

 「僕から話します!姫那さんはルーナさんを助ける時、別人のようになったんです。それは多分ルーナさんを助けたいと姫那さんが強く思った事によってそうなったんだと思います!」

 「そうだったのか。姫那はその後別に変化とかはないのか?」

 「うん、別にこれといって変わった事はないと思う!むしろ体も軽いくらいだよ!」

 「姫那さんはあまり自覚してないみたいですけど、あれ以降ギフトが更に強くなってると思います!それこそブレスレットを外せたりとか。今まで出来なかった事が出来るようになってますよね!」


 姫那も思い返してみると、確かにこの体が軽いのもあの記憶がなくなって以降だと思った。


 「私知らない間になんか変わっちゃったのかな?」

 「知らない間に強さの殻を破ったんだろう。家族の為にな」


 エルサリオンの言葉を聞いたルーナはすごく嬉しそうに笑っていた。


 「じゃあ殻を破って強さの上限が上がった事によって店員を洗脳したりブレスレットを外せたりできたって事なんだな。ギフトの成長か。なんかどんどん姫那に引き離されていってるな」

 「私は別に強くなくて良いんだけどね!みんなを守る事ができればそれだけでいい!」


 姫那は強くなりたいとは思った事なんてない。姫那が強くなっている理由としては強くなりたいという気持ちではなく、誰かを守りたいという気持ちが生んだ結果だった。

 夏生もなんとなくだが、姫那がどんどん強くなる理由がわかった気がした。


 「お前らしいな。まぁでも自分の能力の効果くらいは知らないと後々後悔するかもしれないぞ」

 「そうだよねー、、なんなんだろ、この能力」

 「予想としては無機物にも洗脳が作用するとかかな?」

 「無機物に洗脳って、そんな事あるか?」


 エルサリオンが予想した事を確かめるべく、いくつか試した。

 そしてそれはすぐに結果として現れた。


 サラサラ


 「まじかよ。本当に石が砂になりやがった」


 姫那は石を手に持ち砂になれと念じた。

 そうするとすぐに石は砂に変わったのだ。


 「砂になっちゃったね」


 自分でも何が起こったのかわかってなかった。


 「なんかもう洗脳の域を逸脱してるぞ」

 「あはは、なんかよくわからないけどすごいね!」


 もはや全員理解不能な姫那のギフトに笑うしかなかった。

 だが、同時にこのギフトがこれからのダンジョン攻略に間違いなく必要不可欠なものだという事も実感した瞬間であった。

書いてたら全然4階層攻略の話とは違う方向にシフトしてしまいました。

次こそは4階層攻略の内容にします!

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