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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE004:エルフの街と異能力者

 この世界でモンスター以外の生物に初めて出会った。

 それは人間かと思いきや、エルフだった。


 「まさかエルフに会えるなんて思わなかった!この世界にはまだまだ色んな種族の生物がいそうだね!」

 「お前な〜、さっき俺ら殺されそうになったんだぞ?」

 「そうだけど、無事だったじゃん!それに結果的にこうやって街にも入れてもらえてるんだし!」


 エルフの長老に案内され姫那達は街に入らせてもらっていた。


 「さっきはエルサリオンがすまんかったの。改めて謝らせてくれ」

 「いや、俺らもいきなり街に入ってしまったし、そこはおあいこという事で」

 「そう言うってくれるとありがたい」


 街に入って周りを見回してみると、街というより集落という感じで自然が溢れている。

 流石はエルフの住む場所だ。


 「そういえば、わしの自己紹介をしてなかったな。この集落の長の《アルフィリオン》じゃ。よろしくの。そして此奴が《エルサリオン》。ほれ、挨拶せぃ」

 「ふん。こんな奴らにする挨拶なんて、、痛っ」


 長老に殴られていた。


 「すまんの。根は悪いやつじゃないんじゃ」

 「あ、全然大丈夫です」

 「俺は石田夏生。この世界とは違う世界から来た人間だ」

 「わ、私は西條姫那です。同じく違う世界から来た人間です」


 最初の事もあり、姫那はまだ少し怯えてるみたいだ。



 「そうか、異世界人か。久々に会ったわい。ところで、わしもエルサリオンと同じく疑問に思ってる事がある。何故この地が見えたんじゃ?」


 長老が不思議そうに問いかける。


 「最初に見つけたのは俺じゃなくて姫那なんだ。でも姫那も何故見えていたかはわからない、というか普通に見えてたらしい。そうだろ?」

 「うん。別に何かしたわけでもないし普通に見えてました」


 その返答に対してもエルフは不思議そうにしていた。


 「実はここには魔法がかけられてて外からは見えなくしてあるんじゃ。なのに、それが見えていたとなるとわしらにとって一大事なんじゃ」

 「そういう事か」


 夏生は何かわかったみたいだ。


 「夏生わかったの?どういう事?」

 「どういう事なんじゃ?」

 「俺たち実は特殊な能力が使えるんだよ」

 「特殊な能力?もしやお主ら異能力者だったか!でもそれでも辻褄が合わん。異能力者でもここは見えんようにしてある」

 「この世界ではそう呼ぶのか?まぁでも多分それだ。俺は剣の類をなんでも創造できる。そしてこいつは洗脳系の能力だ」


 この世界では能力を持ってる人を異能力者と呼び、能力をギフトという。


 「洗脳系の異能力者?そんなものは聞いた事がないぞ!」

 「俺の能力は聞いた事あるのか?」

 「昔の話じゃが、この街を作る前に異能力者に何度かあった事があるくらいで、その中に似たようなギフトがあった。それよりも、洗脳系のギフトとはどのような能力なんじゃ?」


(長老は俺達以外にも異能力者に会ってるのか。その異能力者も転生者かな。もしいるなら会いたいな)


 「その前に、その異能力者にはいつ頃会ったんだ?」

 「あれは150年くらい前かの」

 「あんた何年生きてるんだよ」

 「わしの話はどうでもよい。それより能力の話を、、」

 「わかった、わかった。姫那」


 夏生が遮るように返事をする。


 「うん。洗脳って言ってもなんでも洗脳できるわけじゃなくて、自分に意識が向いてる生物に対して違う方向、違う人に意識を変えさせるって言う能力で、さっきわかったけど自分が認識できない速さの相手に洗脳はできない」

 「なるほどの。なんとなくわかった。洗脳系の異能力者は騙す事はできないという事か」

 「そういう事だ」


 夏生が答える。


 「え?どういう事なの?」


 姫那は全然わかってないみたいだ。


 「だーかーら、姫那に魔法で何かを隠したり逆に洗脳したりとかそういう類の魔法は無効って事だ。姫那が洗脳系の異能力者だから無効化できるんだよ。だから俺には認識できなくても姫那には街を認識できたんだ」

 「なるほど!それって私すごいんじゃないの?」


 何百年と生きているエルフの長老ですら見た事も聞いた事もないギフトを持ってて、さらに魔法も無効化するなんて異能力者がすごくない訳がない。


 「まぁまぁなんじゃないか」


 調子に乗らせるのも癪だったのでテキトーにあしらった。


 「そっかー、まぁまぁかー」

 「いや、十分すごいじゃろ。この何百年も生きてるわしですら見た事も聞いた事もないギフトなのじゃから」


 夏生の思いとは裏腹に、夏生が思った事と全く同じ事を長老はわざわざ口にしていた。


 「やっぱりすごいですよね!?すごいんだって!夏生!」

 「あぁ、そうみたいだな」


 嬉しそうにしてる姫那にあからさまに嫉妬する夏生であった。


 「夏生殿のギフトもすごいぞ。特に色々な剣を出せる異能力者は初めて会ったわい」

 「ありがとう」


 優しくフォローしてくれる長老。


 「まぁそんな事よりもこれからどうしていくかを考えないとな」


 そう、ここはダンジョン。どうやって脱出するかを考えなければならない。


 「とりあえず、ここから3階層に行くにはどうしたらいいのですか?」


 姫那が問うと夏生が反応した。


 「お前、3階層があるってわかってたのか?」

 「何言ってるの?2階層があるんだから3階層もあるでしょ!」


 姫那はドが付くほどの天然で、天然特有の稀に鋭い事を言う事がある。それが今発揮されたのだった。


 「わしらも3階層への上がり方なんて知らんよ。知ってるのは上がるには条件があるという事だけじゃ」

 「条件?」

 「そうじゃ。その条件を達成しないと上の階層には行けない。でも条件の内容はわし達エルフにもわからない。それに、それがわかっていたらもう既にわしらもここから出てたわい」

 「なんでこの街から出るんですか?」

 「ここはわしらの故郷じゃないからじゃ」


 長老曰く、元々はもっと上の階層に故郷があるらしいが、他種族の襲撃によりこの2階層まで逃げるしかなかったらしい。

 どうやらこのダンジョンは下の階層に行くは簡単だが、上に行くのは難しいみたいだ。


 「それでこんなとこに隠れて街を作ってたのか」


 夏生はなんでこんな所に街を作ってるのかが不思議だっが、これで合点があった。


 「でもエルフって強い種族のイメージなのにそれより強い種族ってなんなの?」


 姫那は現実世界で漫画が趣味だったから、その辺りの知識は詳しい。


 「悪魔族じゃ」

 「悪魔族?そんな種族までいるのか、この世界は」

 「奴らのせいで俺達の故郷は、、」


 今までずっと口を閉ざしていたエルサリオンが怒りを露わにして喋った。


 「だから違う種族が近づいてくると過敏に反応してしまうんじゃ」


 そういう事かと姫那と夏生は納得した。


「わしらの故郷は【空中都市アルフヘイム】ここよりもさらに自然がありふれたまさに聖域じゃ」

エルフの街の秘密、異能力者について少し明かされここからさらに盛り上がってきます!

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