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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE032:海底都市・クルアラント

 「ふぅ、やっと着いたな。下に転移されてから結構長かったな。それにしてもここは本当に悪魔が住む都市なのか?」


 夏生の目の前に広がっていた光景はとても悪魔が住んでいるとは思えないような街だった。

 そこはとても華やかで活気に溢れていた。アボリジャバロの時と同じような感覚にはなるが、何か少し違う気がした。


 「これは、、3階層のあの悪魔の街とは少し違うな。色んな種族がいる。それにしても数が多すぎるぞ」


 3階層の時と違うのはその数だ。倍くらいは違う。

 そして何か少し違和感も感じたが、それは何に対しての違和感なのか今は全くわからないのであった。


 「ついに別れ道だね!どっちに行こうか?」

 「お姉ちゃん、ここに何か彫られてるよ!」


 それは夏生が彫った目印だった。


 「こっちって書いてあるねー!これ夏生が彫ったんじゃない?私達がついて来れるように!」

 「その可能性が高いな。でもこれが悪魔の罠という事も考えられる。慎重に判断しないとな」

 「流石にここを手分けして進むのはリスクが高過ぎますしね!どうしましょうか、、」

 「今まで悪魔と戦ってきてわかった事は、あいつらは魔物と違って人間並に知能が働くという事だ。それを考えるとこれが罠の可能性も捨てられない、、」


 エルサリオンはどっちに進むべきか悩んでいた。

 これは頭が切れるからこその悩みだ。考えれば考える程どちらを選んだらいいかわからなくなっていく。良い部分でもあり、悪い部分でもある。

 それを補うのは単純な頭の持ち主だ。つまり、、


 「エリー!そんな難しく考えてても何も解決しないじゃん!ここは夏生が彫ったこの文字を信じようよ!」

 「いやだからその文字が夏生が書いたかどうかすら怪しいんだよ」

 「大丈夫だよ!これは夏生だよ!たぶん!それに夏生右利きだし、右に行ってると思う!」


 それは流石に無理矢理すぎると全員が思ったが、何故か姫那のこういう時の言葉には信じてみたいという気持ちにさせる何かがあるのだ。


 「どんな理屈だよ。でも、、わかったよ。じゃあ右に行こうか。みんなもそれで問題ないな?」


 ルーナと葵も姫那の意見に全くの疑念を抱かずに同意したのだった。


 「よーし!そうと決まればみんな行くよー!私についてきてー!」

 「「はーい!」」


 意気揚々と号令をかける姫那に、ルーナも葵もノリノリだ。

 それを見てエルサリオンは少しは緊張感を持てと言おうと思ったが、すぐに無駄だと気付きただただ姫那についていった。

 こうして遠足に来てるかのような三人の少し後ろをエルサリオンが歩いていたら、前から姫那の声がした。


 「エリー、、これって悪魔、、なのかな?」


 エルサリオンが姫那に呼ばれて見に行ってみると、確かに悪魔がやられた後だった。


 「これって夏生がやったのかな?」

 「あぁ、間違いなくこれは夏生だな」


(夏生、、、やはりここまで悪魔を憎んでいるんだな)


 「アガ、ガ、、」


 夏生は悪魔を殺せていなかった。いや、殺していなかったのだ。

 これは夏生の無意識領域下の選択だった。

 夏生自身、殺したつもりではいたのだが、悪魔を憎む心が無意識のうちに生き地獄を味わわせる事を選択した。

 それにエルサリオン達はもちろん、夏生自身も気付いていないのだ。


 「この悪魔からはもう何も聞けなさそうだな。逝かせてやろう」


 そう言うとエルサリオンは瀕死の悪魔にとどめを刺した。


 「夏生、やっぱりちょっと心配だなぁ。3階層の地下の時から悪魔に対しての反応が異常だよね。人間が悪魔に喰べられた後の牢屋を見てそこからって言ってたけど、、」

 「そうだな。俺もここまでとは思っていなかった。もし今後夏生に何かあったなら、俺達が助けてやらないとな」

 「うん!」

 「私もいつもの夏にぃがいい!」

 「僕もお力になります!」


 みんな夏生にはいつもの夏生でいて欲しいと思っている。だからこそ誰かがピンチの時は全員でカバーするのが仲間なのだ。


 「悪魔がいたって事はこの先がたぶん海底都市の中心部なのだろう。そこには悪魔が何人もいるはずだ」

 「じゃあまた夏生が悪魔と戦ってるかもしれないよね?」

 「あぁ。負ける事はないだろうが、色んな意味で夏生を一人にさせておくのはあまりよくない」

 「そうですね!早く追いつきましょう!」

 「夏にぃ」


 ルーナが不安そうな顔で俯いている。


 「ルーナ!夏生は絶対大丈夫だよ!夏生を信じよう!」

 「うん、そうだね!ありがとう、お姉ちゃん!」


 四人は気を取り直して前に進み出した。

 そして姫那達も【海底都市・クルアラント】に到着した。


 「ここが、海底都市でしょうか」

 「夏にぃ何処にいるんだろう?それにこれって人なのかな?それとも悪魔なのかな?」

 「全く人気がないならまだしも、ここまで多いと俺にもわからない。それにこの街にはいろんな種族がいる」

 「ほんとだね!色んな人がいて楽しそう!とりあえず中に入ってみよう!」


 中には普通に入れた。

 入ってみると、エルサリオンも夏生と同じ違和感に気付いた。


 「ここ、何かおかしくないか?」

 「何がおかしいの?街としては普通じゃない?」

 「エリーさん、何か気付いたんですか?」

 「夏にぃがいた?」


 その違和感にはエルサリオンしか気付いていなかった。ただ、エルサリオンも何に対しての違和感かわからずにいた。


 「いや俺の勘違いかもしれない」


 今、夏生の事以外で悩み事を増やしても考える事が多くなるだけでみんなの負担を増やしてしまうと思い、今は伏せる事にした。


 「この人の多さの中夏生を探すのなかなか難しいから手分けして探す?」

 「別行動は危険だ。3階層の時のようにこの街にいる奴らが全員悪魔という事はないだろうがどれだけ悪魔がいるかもわからないからな」

 「ほんとだ!あの看板にもこの海底都市に悪魔がいるって書いてたもんね!」

 「そうだ。だから全員で固まって周りも警戒しつつ夏生を探そう」

 「わかった!」


 エルサリオン達は悪魔を警戒しながら夏生を探していた。

 そしてそこで姫那がある事に気付く。


 「なんかここの人達ってみんな同じブレスレットしてる人多いよね!流行ってるのかな〜!」

 「同じブレスレット?」

 「え、うん!みんな銀の同じマークのブレスレットしてるよ!」


 エルサリオンもよく周りを見てみると確かに同じ物を腕に付けている人がちらほらいる。


 「あのブレスレットはなんだ?何か理由があって同じ物を付けているのか?」

 「どうかしましたか?エリーさん!ぶつぶつ一人で何言ってるんですか?」

 「葵、お前はなんでみんな同じブレスレットを付けてると思う?」

 「そうですね、、確かに僕も変だなと思いますが、同じ物を付けてる理由は全くわからないです」

 「そうか。そうだよな。やはりもう少し観察するしかないか」


 海底都市・クルアラントはどういう街なのか。

 そして夏生は何処に行ってしまったのか。これから起こる事は誰も予想が出来なかった。

海底都市・クルアラントに隠された秘密とはなんなのか。

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