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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE026:4階層突入

 転移陣により4階層へ転移中の姫那一行。4階層はどんな場所なのか話していた。


 「次はどんなところなんだろうね!1階層が洞窟で2階層が草原で3階層が砂漠だったから、次は氷雪地帯とかかな!」

 「そんな場所だったら数日で氷漬けにされちゃうよ、お姉ちゃん!」

 「僕、あの場所から出た事なかったので、楽しみです!」

 「何処に出たとしてもどうせ碌な場所じゃないんだろうけどな」

 「そろそろ着くぞ。出口が見えた」


 そして4階層に転移されたのだが、その場所はまさかの空であった。


 「ちょっと!やばいやばい!ここ空だよ!落っこちる!」

 「はぁ。やっぱり碌な場所じゃなかったな」


 夏生は空中で腕を組み、あぐらをかいて結構冷静だが、姫那がテンパっている。


 「何そんなに落ち着いてるの夏生!?落ちたら4階層に来て早々死んじゃうよ!」

 「慌てるなって。ルーナとエリーがいるだろう。それに葵も巨大化すれば衝撃は和らげるだろう」


 エルサリオンは羽を出す事ができ、ルーナは飛ぶ事ができる。


 「僕はちょっと衝撃を和らげるとかそんな技術はないかもですー!」

 「俺が夏生と葵を抱える!ルーナは姫那を頼む!」

 「わかったー!お姉ちゃん、こっち!」

 「うん!」


 ルーナの方に空中を平泳ぎで泳いでいった。

 そして全員が無事地上に降りることができた。


 「なんとか降りれたね!ほんと死ぬかと思った〜!」

 「私とエリーがいるんだからあれくらい大丈夫だよ!空中なら任せて!」


 ルーナが最高のドヤ顔をみんなに決め込む。


 「それにしても、またすごいところだな4階層は」


 4階層は樹齢100年以上はありそうな木々が生い茂った密林地帯だった。


 「この木の数と太さはなんだ?ここまで立派な木を何本も見たのは初めてだ」

 「似ている」

 「どうしたのエリー?」


 エルサリオンが懐かしそうな顔をしながら木々を見つめている。


 「この場所は俺の、エルフの故郷アルフヘイムにすごく似ている」

 「そうなの?エリーの故郷ってこんな感じなんだ!なんかすごいね!」

 「似ているだけだけどな。アルフヘイムは浮遊島だからこことは似ても似つかない場所だ。アルフヘイムはもっと綺麗だ」

 「そっかー!私も行ってみたい!」


 この大自然より綺麗なアルフヘイムを全員が見てみたいと思ったのだった。


 「悪魔から取り戻せた暁には是非来てくれ。それよりも夏生、わかるか?」

 「なんとなくだがわかる」

 「え?なんのこと?」


 夏生とエルサリオン以外は感じ取れてないみたいだ。


 「人の気配を感じない、だろ?」

 「そうだ」

 「じゃあ、この島が無人島って事?」

 「たぶんだがな。人以外の生物はいるかもしれないが」

 「何それ、逆に怖いんですけど!」


 エルサリオンは直感が異常に効く。

 一方で夏生が何故この気配の無さに気付けたかというと、ずっとエルサリオンと一緒にいる内に感覚でわかってきたのだ。

 これは夏生のギフトではない。この世界に来る前からの生まれ持った夏生のポテンシャルの高さがあってこそ実現できた芸当だった。


 「空から見た感じ、この島はそんなに大きくはなくて、海の孤島だ。一度海岸の方に行ってみよう」

 「なんか今までよりも冒険って感じがして楽しそうだね!」

 「お前はいつもびっくりするほど緊張感がないよな」

 「そんな事ないよ!お腹減って動けなくなったらどうしよ〜とか、ご飯が出てきても嫌いな物があったらどうしよ〜とか。ちゃんと考えてるんだから!」

 「食べ物の心配しかしてないじゃねぇか。お前の脳みそは食べる事だけしか考えれないのかよ」

 「食べる事って大事じゃん!美味しい物を食べる事が私の生き甲斐なのです!」


 さっきのルーナ並みのドヤ顔を決める姫那。

 夏生はその顔を見て、もう何を言っても無駄だと思い、諦めたのだった。


 「道という道が何処にもないな。やっぱりここに人は住んでなさそうだ」


 動物の足跡すら全然ない。この島は人間以外の生物もいないのかもしれない。

 そうなってくると一つ問題が生まれる。

 何もないからこそこの4階層の攻略条件が全くわからなくなるのだ。

 3階層の時も手掛かりはなかったが、あの街に悪魔がいて、悪魔の組織のようなピラミッドが出来上がっていたからこそグレモリーを倒したら手掛かり、若しくはそれが条件だろうと予想ができた。

 だが、ここまで何もないとなると予想すらできないのだ。


 「今までの統計上、手掛かりになる物は必ずあるはずだ。特に看板は絶対何処かにある」


 1〜3階層には全て何処かに看板があった。

 今まで絶対にあった物がここにきていきなり無くなるという事は考えにくい。

 この島に必ずある。そう確信にも近い仮説を立てている。


 「小さいと言っても一つの島だし、このままじゃちょっと看板を見つけるまでに時間がかかり過ぎるから二手に分かれて探そうか」


 エルサリオンが別れて探す事を提案する。


 「そうだな。これじゃ効率が悪過ぎるな」

 「よし、じゃあチーム分けは、まず空を飛べる俺とルーナは別々だな。そして、夏生と俺も別々の方がいいだろう。俺は二人くらいなら抱えて飛べるからチーム分けは、、」


『姫那チーム』

 姫那・葵・エルサリオン


『夏生チーム』

 夏生・ルーナ


 「これが一番いいチーム分けだと思うんだが、夏生はどう思う?」

 「俺もこれが一番だと思う。これでいこう」

 「お姉ちゃんがいないのは嫌だけど、今回は仕方ないよね。夏にぃで我慢する!」

 「悪かったな。一緒にいるのが俺で」


 夏生とルーナという異色コンビ結成だ。

 そして姫那の方はというと。


 「よーし!看板探し頑張ろー!」

 「頑張りましょー!」

 「俺はずっとこのテンションに付き合わないといけないのか、、」


 姫那はいつも通りだったが、その相手をいつもしている夏生がいない分、必然的にエルサリオンが相手をする事になってしまうのは言うまでもない。

 その事にチーム分けした後に気付き、先が思いやられるエルサリオンだった。


 「ここでは連絡方法も何もないし、エリーが看板を見つけたら文字を読めるが、俺らの方が見つけても何書いてるかわからないからとりあえず一度反対側の海岸で落ち合うようにしよう。エリーの方が見つけたら内容だけ読んで落ち合った時に共有してくれ」

 「わかった、そうしよう」


 そしてこれからの作戦を立てながら歩いていたら海岸に着いた。


 「とりあえず海岸に着いたな」

 「あぁ。じゃあどっちに行くか決めようか」

 「こっちがいい!こっち!」


 姫那が一方向を指差す。


 「なんでこっちがいいんだ?」

 「なんでって、なんとなくだよ!」


 早くも振り回されるエルサリオン。


 「まぁどっちでもいいけどな。俺らこっちでいいか夏生?」

 「いいぞー。じゃあ俺達はこっちだな」


 2チームが進む方向に分かれる。


 「お姉ちゃんに会えないの寂しいな〜」

 「大丈夫だよルーナ!すぐに反対側の海岸で会えるよ!それに冒険みたいで楽しそうじゃん!」

 「そっか。そうだね!夏にぃと二人だから楽しめるかわからないけど、反対側でお姉ちゃんに会えるのを楽しみに頑張るよ!」

 「あはは、そうだね!」


 流石に夏生を不憫に思う姫那であった。

 それに気付いた夏生は気にするなと言う顔で無言で姫那にアイコンタクトを取る。


 「まぁ危険な事はないと思うが、全員気を抜かず行こう」

 「そうだね!」


 2チームに分かれての無人島探索開始!

4階層の手掛かりを得る為、探索開始!

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