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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE024:4階層への手掛かり

 お腹いっぱいにご飯を食べた姫那一行はこれからの事について話していた。


 「これからどうしよっか?」

 「とりあえずはこの3階層の攻略だよな。条件もまだわかってないし、どう攻略したらいいか検討もつかないが」

 「でも2階層の時と一緒のような感じならあのグレモリーを倒した時点で条件はクリアしてそうなんだけどな」


 夏生の言う通りで、グレモリーはこの街の頂点だった。

 という事はそのグレモリーを倒したのだから4階層への転移陣があってもおかしくはない。


 「僕も着いていってもいいですか?」


 しばらく黙っていた葵が唐突に切り出した。


 「何言ってるの?」


 それに対して姫那がキョトンとした顔で聞き返した。


 「やっぱりダメですよね。ごめんなさい」

 「いやいや、そうじゃなくて!葵ちゃんはもう私達の仲間でしょ?」

 「え?」

 「私達はみんなもう仲間だと思ってるよ!ねぇ夏生!」

 「そうだな。グレモリー戦で俺達は転がってただけで、姫那と一緒に戦ってくれたのは葵だからな。俺達は全員そう思ってるぞ。葵は違うのか?」


 葵は泣きそうな顔になりながら自分の思いをみんなに伝えた。


 「僕は、、皆さんがいいなら一緒にいたいです!皆さんと一緒にいたらこんな世界でも楽しく過ごせそうって思えるんです!」

 「私も一緒だよ!葵ちゃんといると笑顔になれるし、絶対に毎日が楽しくなるよ!だからこれからも一緒にいこう!」


 泣きそうだった葵の顔は姫那の言葉を聞いている時にはもう泣いていて、聞き終わった後には号泣していた。

 葵も本当はわかっていた。みんながいい人だという事も、もう仲間だと思っていてくれている事も。

 だからこその不安があった。

 それは姫那達に会う前にいた仲間の存在だった。

 自分だけ生き残って他のみんなは悪魔に喰べられてしまった。

 その恐怖が頭から離れなかったのだ。

 だから会ったばかりの自分にこんなに良くしてくれる人達を失うのが怖かったのだ。

 でも、グレモリーという強敵を倒し、今こうやって笑ってご飯を食べれている事をすごく嬉しく思い、そしてこの人達なら一緒にいて安心できて、この先も生き抜いていけると感じたのだ。


 「皆さん、ありがとうございます!皆さんのような人達に出会えて僕は本当に幸せ者です!」


 号泣しながら喋っていてあまり何を言ってるかわからないが、これは悲しくて泣いているのではなく、嬉しくて泣いているという事は誰もがわかった。

 そして、泣きじゃくる葵を姫那は優しく抱きしめた。


 「ほんと可愛いんだから〜!もう女の子でいいじゃん!」

 「それはダメです!てゆうかそんな抱きしめられたら恥ずかしいですー!」


 こうして葵は本当の意味で姫那達の仲間になったのであった。

 そして、話はこれからどう行動していくかに戻った。


 「さて、じゃあこれからどうやって4階層に行くのか、その方法を模索していこうか」

 「あ、それなんですけど、僕ちょっと心当たりがあります!」


 夏生が本題に入ると葵から思わぬ言葉が飛び込んできた。


 「心当たりがあるってどういう事?」

 「4階層って書いてる看板みたいなやつじゃないですか?」

 「そう!そうだ!葵、その看板が何処にあるのか知ってるのか?」


 夏生が興奮気味に聞く。


 「僕が見たのは街の外の砂漠です!」

 「砂漠なら俺達もここに来るまでに通ってきたが何もなかったと思うが」

 「夏生さん達はどちら側からこの街に入ったんですか?」

 「どちらからって、入り口からだよ」

 「違います!どっちの入り口から入ったんですか?って事です!」

 「入り口が二つあるのか?」

 「そうです!鳥居のような大きな門がある入り口と、その逆側にある石の扉です!」

 「俺達はその大きな門の方から入ってきた!」


 葵がいたグループは鳥居の門ではなく石の扉から入ったらしく、葵曰くそちら側に看板はあったらしい。

 その扉を見つけたのも葵達がたまたま石の扉の方から来ただけであった。


 「葵ちゃんすごーい!グレモリーの時もそうだけど、大活躍だね!」

 「じゃあそこに行けば4階層への手掛かりが掴めるな。ありがとう、葵」


 姫那に褒められ、夏生やみんなに感謝され、照れて顔が赤くなる葵。


 「もう!またそんな顔赤くして!可愛すぎるって!」


 また抱きつこうとする姫那を察知して葵が姫那の顔を抑えてそれを防ぐ。


 「そう簡単には抱きつかせないですよ!僕も高校生です!ちゃんと学びます!」


 葵の言葉にみんなが言葉を失った。

 そして、もう一度聞き直す。


 「葵ちゃん、今高校生って言った?いや、言ってないよね?聞き間違いだよね?」


 自分に言い聞かすようにもう一度問う姫那。


 「え?聞き間違いじゃないですよ?僕は高校3年生ですよ!」

 「え!まさかの同い年じゃん!なんかもう葵ちゃんの全てが嘘に見えてきたよ、、」

 「嘘ってなんですか!」

 「だって性別偽装に年齢詐称って、もう詐欺師じゃん!」

 「何も偽ってませんー!」


 姫那は葵をルーナと一緒くらいだと思っていたので、自分と同い年だという事をしばらく信じられないのであった。


 「俺より歳上かよ。なんか姫那とあった時と同じような感覚に陥っているんだが」


 夏生も信じられないという顔だったが、なぜか少し懐かしさを感じていた。


 「同い年なら敬語で喋るのやめようよ!」

 「僕、なんかこの喋り方が慣れちゃっててなかなか直せないんです!だから気にしないで下さい!」

 「そっかー!なら仕方ないか!」


 一頻り葵の話題で盛り上がったところでエルサリオンが本題に入る。


 「そろそろ4階層の話に戻そうか。とりあえずその看板の場所に行くか?」

 「そうだな。行ってみない事には何もわからないしな」

 「僕も看板に何が書いてあるのか気になって見に行ったんですけど、何書いてあるか全くわからなかったんです、、」

 「その辺りはエリーがいるから大丈夫だ。エリーが読んでくれる」

 「あれを読めるんですか?」

 「あぁ。俺はみんなと違ってこの世界出身だから読める」

 「え?エリーさんはここの人なんですか?」

 「人とゆうかエルフだな」


 そう言いながら尖った耳をぴくぴく動かす。


 「あ!ほんとだ!エルフなんて初めて会いました!」

 「そういう事で俺が文字を読む。葵はその看板のところまで案内してくれ」

 「はい!わかりました!」


 話し合いがまとまったところで4階層について書かれているであろう看板を目標にレストランを出発したのだった。

葵が見た看板には4階層への情報は書いてあるのだろうか。

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