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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE002:姫那の能力

 私は少しムカついていた。

 何故私には何も能力が無いのかと。

 だって隣にいるこの男にはチート級の能力が与えられてるのに、私には何もないなんて普通に考えておかしな話だ。


 「とりあえずこっちに来てからの事を振り返って考えてみよう」


 夏生が言った。


 「考えてるんだけど、全然それらしい事がなかったんだよね。

 こっちに転生されていきなりバケモノに追いかけられて、気付いたらいなくなってて、、」

 「なんで気付いたらいなくなったんだ?」

 「そんなの私にわかるわけないじゃん!どっかいけーって思ったら、いきなり雄叫びが聞こえなくなってキョロキョロしてどっか行っちゃったんだって」


(どっか行けと思ったら本当にどこかに行ってしまった、、これが姫那の能力か?)


 夏生はイケメンだし運動神経もいいし頭脳明晰という、男も女も憧れる全てが揃った人間だった。


 「もしかして、姫那の能力って心理誘導とかそういうのじゃない?」

 「心理誘導?何それ?」

 「相手を自分が思うように誘導できる能力だよ」


 もしそういう能力なら私には完全に不向きな能力だ。

 何故なら私は人の心を読むとか心理学的な事が何よりも苦手だからだ。


 「そんな能力私には扱えないよ!」

 「普通の心理誘導なら心理学をわかってないと無理だけど、姫那の能力はそういうのをすっ飛ばして、姫那が思うだけでそうなる能力じゃないかな?別にモンスターに何をしたって訳でもないんだろ?」

 「うん、勝手にどっかにいっちゃった」


 もしそれをできるなら夏生以上にチート能力だ。

 だって思うだけで洗脳ができるのだから。


 「とりあえず一回試してみよう」

 「試すってどうやって試すの?」


 今はモンスターもいないし、まさか夏生に試すわけには、、


 「俺で試してみよう」


 そのまさかだった。


 「夏生で試すって、それ大丈夫?私全くもって自信ないんだけど!」

 「まぁ軽いやつだったら大丈夫だろ」

 「軽いやつって何!」


 そんな話をしていると、

 「ヴォォオオオ」


 キメラのようなモンスターの雄叫びだ。


 「いい所に実験台が来たな」


 夏生がそういうと同時にモンスターがこっちに向かって来た。


 「物凄い勢いでこっち来るよ!」

 「姫那!なんでもいいからあいつを洗脳しろ!」

 「な、なんでもって、一番難しいやつじゃん!んー」


『向こういけ!』


 全力でどこかに行くように叫んでみたら、モンスターは急に止まって来た道を引き返していった。

 見事洗脳が成功したのだ。


 「見て、夏生!成功したよ!あれ?夏生?」


 夏生の様子が変だ。

 すると、、


 コツコツコツ


 「ちょ、ちょっと、何処行くの?夏生!」


 夏生がモンスターが歩いていった方向に向かって歩いている。


(もしかして、夏生まで洗脳にかかった?)


 「夏生!しっかりして!」


 肩を持ったら夏生が正気に戻った。


 「あれ、俺今どうしてたんだ?」

 「私の洗脳に夏生もかかっちゃったの」

 「まじか。なんで俺まで洗脳したんだよ」

 「夏生に向けてやったんじゃないよ!逆になんでかかってんのよ!」

 「俺が知るかよ。まぁでも、とりあえず姫那の能力は洗脳ってことはわかったな」


 そう、今ので確定した。私の能力は洗脳。


 「でも問題があるな。制御が全くできてない」


 どれだけ強い能力でもそれを使いこなせるようにならないと意味がない。


 「一緒に行動していて、毎回巻き添え食らってたんじゃこっちも堪ったもんじゃないからな」

 「それもそうだね。今のままじゃ使い物にならないし」


 という事で、とりあえずこの洞窟を散策しながら能力の制御に励んだ。


 散策して気付いたのはモンスターはキメラみたいなバケモノだけじゃないという事。

 スライムのような弱そうなモンスターもいたのだ。

 スライムに脳があるかわからないが、、いや、ないと思うけど一応効果はあるみたいだからずっと試していたらこの能力の出来ることと出来ないことがあるのがわかった。


 例えば、さっきみたいに『あっちいけ』とか私自身から意識を逸らす事は出来るが、洗脳されてる対象が自分自身を傷つける行動を取る事を強制する事はできないみたいだ。

 極端に言えば『自決しろ』と言っても全く効果が得られないのだ。

 他にわかった事は、洗脳対象が敵意を持ってない相手に対しては攻撃はしないという事。

 どういう事かというと『横にいる仲間を倒せ』と言っても、仲間に敵意を持ってないからこれも効果を得られない。


 この能力の主体はあくまでも《姫那の存在を認識させないようにする》という能力みたいだ。


 「自分の能力についてなんとなくわかってきたけど、これって凄く扱い難しくない?」


 そう言う姫那の言葉に夏生も同じ事を思っていた。

 姫那はこの能力を使って自分から意識を逸らす事はできるが、モンスターを自力で倒す事はできない。

 つまりはモンスターを倒してくれる誰かに依存する能力なのだ。

 姫那に倒す力があればいいのだが、言わずもがな、それは無理だった。


 「姫那が自力でモンスターを倒せたらいいけど、それは無理だろ?」

 「あんな非現実的なバケモノ無理に決まってんじゃん!スライムとかならなんとか大丈夫だけど」


 と言っても、まだスライムを倒す事も一苦労なのだが。


 「課題はまだまだあるが、とりあえずは能力についてある程度理解出来たし及第点だな」


 夏生の言う通り、自分の能力を把握してるのとしてないのとでは大きな差がある。

 それをどう使いこなすかはこれから鍛錬を積んでいけばいい話だ。


 「姫那の能力も把握できたし、先に進んでみるか。幸い俺は剣士だから姫那とも相性がいいし」

 「そうだね。でもこの洞窟からどうやって抜け出すんだろう?」


 一番の問題はそこだ。

 ここから抜け出す方法をまだ見出せてない。

 そもそも出口があるかすらわからない。

 そう思い、頻出する多種多様のモンスターを倒しながら進んでいると、看板みたいなものが刺さっていていた。

 そして近づいてみると、現実世界の言葉じゃないが何が書かれているかが何故かわかった。

 そこには、、


【これより先は2階層】


 そう表記があったのだった。

いよいよ本格的にダンジョンっぽくなって来ました!

2階層には何が待ち受けているのやら、、

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