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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE017:街の秘密

 朝食は豪華なビュッフェで朝食にも関わらず、美味しかったのでお腹いっぱいに食べてしまった。


 「美味しかったね!私、お腹いっぱいになっちゃった!」

 「私もお腹いっぱーい!」


 姫那とルーナは仲が良すぎて食べる量も似てきたみたいだ。


 「お前ら程々にしろって言っただろ〜」

 「そんな事言ってる夏生もお腹いっぱいなんでしょ〜?」

 「うるせぇよ。俺はお腹いっぱいでも余裕で動けるんだよ」


 結局四人全員がお腹いっぱいに食べたのであった。


 「満足していただけたみたいでよかったです。今日もこの街を楽しんでいってください」


 店主が笑顔で話かけてきた。


 「はい!何から何まで至れり尽くせりで本当にありがとうございました!」


 それに対して姫那が感謝の言葉を伝える。


 「いえいえ。私どもの方こそこの宿に泊まっていただきありがとうございました。本日はどちらへ行かれるのですか?」


 ここで夏生は店員に探りを入れた。


 「今日は街の外れにあった教会にいこうと思います。あの教会は今は使われていないんですか?」

 「あの教会ですか。はい、昔はよく使われていたのですが、場所も場所なので今は全く使われておらず、現在は街の中心の教会を使っています」


 マニュアル通りの返事が返ってきた。

 マニュアル通り過ぎて逆に怪しくもなったが、こちらからこれ以上何か聞き出そうとしてもこっちが怪しまれるだけだったのでこの場では当たり障りない形で終わる事にした。

 そして、やはり街に出ると喋りかけられたり、何かを押し売りのように渡されたりと異世界人はすごい人気だ。


 「飲み物に食べ物にアクセサリーなんかも。もう持てないぞ」

 「本当にこんなにもらって大丈夫なのかな?少し怖くなってきたな〜」


 あの姫那ですら不安感を抱き始めている。


 「そういえば教会に行くのってやっぱり私が言ってた声の事?」

 「あぁ、そうだ。昨日の夜、エリーと話しててやっぱり無視できないなってなってな。この街は何かがおかしい気がする」

 「私もやっぱり気になる。あの声が本当に声だったら、、」

 「みんなで確認しにいこう」

 「うん!ありがとう!」


 その時、異変は起こった。


 「おねぇ、、ちゃん」


 バタンッ


 「え?」


 ルーナがいきなり倒れたのだ。


 「ルーナ?どうしたの?ルーナ??」


 姫那は何が起こったのかわかっておらず、ルーナに呼びかける。


 「・・・・・」


 全く返答がない。

 夏生とエルサリオンは何かにやられたとすぐに気付き臨戦態勢に入った。


 「姫那!ルーナを抱えててくれ!」

 「・・・・・」

 「姫那!!」


 バタンッ


 「くそ!姫那も倒れた!エリーは大丈夫か?」

 「大丈夫だ!だが何が起きてるんだ?」

 「わからない。でも何かに襲撃されていることは間違いない!」


 そして、夏生とエルサリオンにもそれは訪れた。


 「くっ、なんだ、これは!抗えない」

 「夏生!くそっ、俺にもきたか!」


 バタンッ


 順番に四人全員が倒れてたいった。

 全員倒れた事を確認すると隠れていた数人が四人の元に集まる。


 「お前達、は、、」


 夏生がギリギリ意識を保っていた。


 「こいつまだ意識があるぞ。ちゃんと寝てろ」


 ガンッ


 殴って気絶させられた。

 そして夏生が見た襲撃者の正体はこの街の住人だった。

 だが、見た事ない顔もいた。それは姫那達の動向を気にしていた人物で夏生が知らないのは当たり前。何故なら姫那達がこの街に入ってきてからこの時の為に一切姿を現さなかったからだ。

 更にその正体は朝、酒場で他の住人に敬語を使われていた人物だった。


 「こいつら全員あそこへ運べ」

 「はい。わかりました」


 そして、姫那達が運ばれた先は、、


 「ん、、ここ、は」


 夏生が目を覚まして周りを見渡すと、すぐ近くにエルサリオンが倒れていた。


 「おい、エリー。起きろ」


 エルサリオンの体を揺すって起こす。


 「ここはどこだ?」

 「たぶん、あの教会だ」


 そう。二人はあの街の外れの教会に運ばれていたのだ。


 「姫那とルーナはどこだ?」

 「俺もこの辺りを探したんだがどこにもいないんだ。俺らとは違うところに連れていかれたみたいだ」


 夏生達とは違う場所に連れて行かれた姫那とルーナ。まずは二人を探し出して救わなければならない。


 「見たか?俺らを運んだ奴ら」

 「見てはないが予想はつく。街の住人じゃないのか?」

 「そうだ。街の住人が数人で俺らを陥れた。そしてその中に見た事ない顔の奴もいた」

 「やはり姫那が聞いたあの声は間違いじゃなかったって事か」


 「やっと起きたか」


 聞き覚えのある声に二人が振り返る。


 「お前は、あのレストランの店員」


 夏生達に声をかけたのはこの街に来て一番最初に入ったレストランで接客をしていた店員だった。


 「はは。やはり異世界人は間抜けだな。ついでにエルフも。こんな罠にかかるとはな」


 正直何も言い返せない。実際自分でも間抜けだと思うし、警戒心がなかったとは言わないが、低かったのは間違いない。


 「姫那とルーナはどこだ?」

 「あの二人なら特別なところに監禁してある。お前らでは見つけられないところにな」


 監禁しているという事はまだ殺されてはいないという事。それを聞いてひとまず安心した。


 「何故俺たちを眠らせてこんなところに運んだんだ?目的はなんだ?」

 「よく喋るな。お前ら今の状況わかっているのか?質問とかできる立場じゃないだろう」


 その通りだ。今夏生達は手と足を拘束され、身動きが取れなくて圧倒的不利な状況にある。


 「それともお前達の能力でその縄を切るか?」


 夏生は目を見開いた。

 何故能力の事を知っている?この街では一度も使ってない。何故だ?

 頭の切れる夏生だが、どれだけ考えても全くわからなかった。


 「教えてくれ。何故能力の事を知っているんだ?」

 「ククッ、まぁいい。それくらいは教えてやろう。砂漠でお前達が能力を使うところを見ていたんだよ」

 「砂漠で見ていた?どういう事だ?」

 「鈍いな。お前達は砂漠で何と闘っていた?何にその能力を使った?」


 夏生達が闘っていたのは魔物で、もちろん能力も魔物に使っていた。

 夏生は2階層の事を思い出す。

 そして瞬時に思考し、一つの推測に辿り着いた。それは最悪の推測だった。


 「お前達、悪魔か」

 「やっと気付いたか。そうだ、この街に住んでいる住人全員が悪魔だ」


 街が近くになるにつれて魔物が多くなっていったのは街自体が悪魔の街だったからなのだ。


 「悪魔なのに何故俺たちをあんなにもてなしたんだ?」

 「悪魔の一番のご馳走は何か知ってるか?」

 「いや、知らない」

 「人間の肉だよ」


 衝撃の事実を知った夏生とエルサリオンはこの状況をどう打破するのか。そして、姫那とルーナはどこで監禁されているのだろうか。

この街の闇が明らかになりました。

これからどうやって切り抜けていくのか。。

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