EpiSodE014:歓迎の街
街を目の前にして、大量の魔物と戦っている四人。
どれだけ倒しても次から次へと無限に砂の中から現れる。
「これじゃキリがないな」
『思考停止』
「ほんとに何なのこの数は?流石にそろそろ疲れてきたんですけど!」
夏生とエルサリオンは少し違和感を覚えた。
姫那は今まで複数の相手を一気に洗脳出来ただろうか?
否。できてない。
知らない間にまた成長して新しいギフトを手に入れていたみたいだ。
そんな姫那を見て色々な意味のこもったため息をつく夏生とエルサリオン。
「ちょっとあいつの成長速度、反則じゃね?」
「嫉妬してしまうほど早いな。今度また秘訣とか聞いてみよう」
「そんな事聞いても絶対まともな返事返ってこないだろうぜ」
「それもそうだな」
最近は姫那に全てを持っていかれてるとしみじみ思う二人であった。
「姫那ー!またなんかすごい能力増えてるじゃねぇか」
「うん!なんか最近できるようになったんだ!でもこれは相手の動きを止める事しかできないの!」
姫那曰く、思考停止は思考誘導とは違う。
思考誘導は単体に行動を強制するが、思考停止は行動を強制するのではなく、動きを止める事しかできない。その代償に複数体にかけれるようになったみたいだ。
「それができれば十分だろ。えげつないチート能力だよ!」
姫那のギフトの効果もあって、あれだけいた魔物が動きを止め、スムーズに倒せた。
本当に便利な能力だと改めて実感した。
「とりあえずは一通り片付いたな」
「そうだね!街ももうすぐそこだし、また魔物が出てくる前に早く行こう!」
四人は少し急いで街に向かった。
そして、ついに街の目の前まで来た。
【歓迎の街・アボリジャバロ】
街の入り口にそう書かれた木製の鳥居のような門がある。
「あれだけ魔物が立ち塞がってるのに歓迎の街かよ」
「人間っぽい人もいるし、とりあえず入ってみようよ!」
「そうだな。こんなとこでずっと立ち止まってても仕方ないしな」
夏生とエルサリオンを先頭に街へ入っていく。
ガヤガヤ、、、
街の中では出店やエンターテイナーですごく賑やかで、活気が溢れている。
「この街、外との差がすごいな。ここに全てが集められてるって感じだな」
「とりあえず何処かでご飯食べようよ!」
「私も食べたーい!お腹すいた!」
「俺も食べに行こうって言いたいんだが、まずはこの街の通貨とかはどうなっているか確認しないとな」
何かお金のようなものがあるのであれば、今姫那達は一銭も持ってない。
タダで食べれる訳もないだろうし、お金が必要なら何処かで手に入れないといけない。
「確かにそうだね!私聞いてくるよ!」
タッタッタ、、、
姫那は走って一番近くのレストランっぽい店に入っていった。
タッタッタ、、、
すぐ戻ってきた。
「お金いらないってー!」
「本当か?」
「うん!旅でここに来たって言ったらタダで食べて良いよって言ってくれた!」
(こういう時は普通逆じゃないか?)
旅の人間は何の知識もない上に、その場所の基準を知らない。
という事は商業者からしたら格好の獲物なのだ。
それを無料で提供するなど、普通はありえない事だ。
無料ではあっても無償ではないかもしれない。
「姫那とルーナはあんな感じだから俺達が警戒していかないとな」
エルサリオンも夏生と同じ事を思っていたみたいだ。
「お前がいてくれてよかったよ、エリー」
自分と同じ考えをしていた仲間がいて少しホッとする夏生であった。
エルサリオンは何のことかわかっていない表情だ。
「いいんだよ。俺の独り言だ」
エルサリオンの肩をポンと叩く。
姫那とルーナはもう店に入っている。
「俺らも行こうぜ」
「あぁ」
夏生とエルサリオンも店に入る。
「こっちこっち!」
姫那に呼ばれて席に座る。
「いらっしゃいませ。皆様が異世界人というのは本当なのですか?」
「姫那、そんな事まで言ったのかよ」
「え?うん、ダメだった?」
見知らぬ人には自分の素性をあまり明かすべきではない。特にエルサリオンを除く姫那達はこの世界の人間ではないのだ。それはこの世界の住人にとって善なのか悪なのか、少なくとも出会った時のエルフは異世界人にいいイメージはなかった。
この街ではどうなのか。
「えぇそうですが、それがどうかしましたか?」
「やっぱりそうなんですね!この街は異世界人の方を大歓迎しています!今日は是非ゆっくりしてくださいね!」
店員は最高の営業スマイルで歓迎してくれた。
それがとてつもなく不気味に見えた。
「すごい歓迎してくれてるね!流石歓迎の街だよ!」
「お姉ちゃん!このお肉すごく美味しいよ!今までの魔物の肉とは大違いだ!」
なんの警戒心もなく美味しそうに肉を頬張る二人を見て、夏生とエルサリオンも少し気を張りすぎではと思い、一緒に肉を食べた。
「確かに美味い。久々にまともな肉を食べたな」
「本当にタダでいいのかな?お金払ってって言われても全く持ってないけど、、」
「まぁ店の人がいいって言ってるんだから大丈夫だろう」
久しぶりの美味しい食事を堪能して店を出ようとしたらさっきの店員が話しかけてきた。
「皆様、もう今夜の宿などはお決まりですか?」
もう日も落ちてきていたからここで宿を探そうとは思っていたがまだ決まってはなかった。
「いや、何も決まってないです」
「そうですか!でしたら、この街の宿は泊まり放題なので是非何処でも泊まってください!異世界人の方はこの街の住人からしたら勇者みたいな存在なので」
「宿までタダで泊めてくれるんですか?それはちょっといくらなんでも、、」
「いいんですいいんです!ここにいる間は是非この街を楽しんで下さい!」
大盤振る舞いすぎて何か裏がありそう。そう思わずにはいられなかった。
とりあえずその店を後にした。
「あなた達異世界人なんですって?是非ウチの宿に泊まっていって下さい!」
「こっちも是非泊まって下さい!」
あちらこちらの宿屋から声がかかり、タダで泊めてくれると言う。何故なのだろうか。
「とりあえずこの街を一周してみて、どんな所か確認するか」
今できる事はこれくらいしかない。
「行きたーい!」
姫那とルーナは観光気分だ。
そして、街を散策する事にした。
何処に行っても声をかけられる。いつの間に自分達がこの街に来ている事がこんなに広まったのか。
疑問を抱く事ばかりである。
「私達すごい人気だね!なんか本当に勇者になったみたい!」
「俺らが人気ってゆうか、異世界人が人気なんだろうな」
ずっと街を歩いてどんどん奥の方に行くと人も少なくなっていた。
一つ全員が驚いたのがこの街には木や草が生えているという事。
ここは砂漠の真ん中の街だ。なのに大きな木、生い茂った草。ここには自然があるのだ。
そして、更に進んでいくと人もいなくなり、古びた教会のような建物がポツンと建っていたのだ。
西條姫那
能力〈ギフト〉:洗脳系のギフト
・意識誘導
・思考誘導
・自己洗脳
・思考停止




