EpiSodE013:姉妹
暑い。非常に暑い。気温は40℃は超えているであろうこの暑さ。
水は節約して飲まないといけない。ルーナの飛空で運んでもらう事もできるが、二人を運ぶというのは消費が激しいらしく3分くらいしか継続飛行ができないのだ。
「ごめんね。私がもっと長く飛べれたらよかったのに、、」
「大丈夫だよ!日頃運動しない私にはいい運動だよ!」
そうは言っているが、やはりこの灼熱の中を歩くのは誰であってもキツい。
ルーナにはすぐに姫那が強がっているとわかったし、みんなも会話が少ない。
「みんなー!元気出そうよ!もう少ししたら街とか出てくるかもしれないじゃん!」
「お前も空元気じゃねぇかよ」
「あまり無理はするなよ」
「無理なんてしてないもん!めちゃくちゃ元気だし!」
と言いながら一人走り出した。
「アホだな」
「あぁ、アホだ」
夏生とエルサリオンは暑さのせいで光を失った目で見ている。
「ねぇ、姫那」
そんな事をしている姫那にルーナが意味深げに話しかける。
「どうしたの?」
「お姉ちゃんって呼んでいい?」
「え?」
いきなりの事で一瞬姫那は戸惑った。
「ダメ、かな?」
「全然いいよ!むしろお姉ちゃんなんて呼ばれた事ないから妹ができたみたいで嬉しい!」
「ほんと?よかった〜!ずっとお姉ちゃんって呼びたかったんだけど、迷惑かなって思って」
「ルーナが妹みたいになって迷惑なわけないじゃん!」
ルーナは満面の笑みを浮かべて喜んだ。
「よーし、なんかまた元気出てきた!みんないくよー!」
「うん!お姉ちゃん!」
何の力かわからないが力が漲ってきてきた姫那であった。
「俺たちの方が絶対体力あるのに、なんであいつらの方が元気なんだよ」
「こんな状況なのに姫那もルーナも楽しそうだな。それにしてもなんにもないな」
2階層と同じ現象に陥っていた。
どれだけ歩いても何もない。ゴールの見えない時ほど精神的に疲れる。
「夏生、エリー!見てきたけど、あっちの方に街みたいなところがあるよ!」
姫那はルーナと一緒に空を飛んで上空から見ていた。
下から見るより上から見た方が遠くを見渡せる。
結果としてそれが功を奏し、下からでは見えなかった街を見つける事ができた。
「結構大きそうな街だったよね!」
「うん!誰かいそうな街だったよね!」
この数時間の間に二人とも本当の姉妹みたいになっていた。
「そうか!やっとまともな飯にも有り付けそうだな!」
3階層に入ってここまで何を食していたかというと、倒した魔物の肉を食べていたのだ。
普通の環境なら少しくらい食べずとも問題ないだろうが、ここは砂漠。体力も著しく消費する。
体に害はないのか、それは全くわからなかったが、こんな砂漠の真ん中に他に食べる物などもちろんない。
だから手段を選んでる場合ではなかったのだ。
でも流石に生で食べるのはやめた方がよさそうだったので、岩で焼いてから食べた。
砂漠では岩の上は天然のフライパンのように高温になっている。
食感はパサパサだし、お世辞にも美味しいとは言えない味だが、食べて体力を付けないといけないから味は考えず口に運んでいた。
大食い自慢が味を考えず食べるそれと一緒のようなものだ。
「どれくらい先だった?」
「んー、十キロくらいかなー?あの砂丘を超えたら見えると思うよ!」
「よし、とりあえずあの砂丘の頂上を目指すか」
目標ができた事によって全員の士気が高まり、前進するスピードも上がった。
そして、街が近づくにつれて魔物が多くなってきていた。
「なんかどんどん魔物が多くなってきてないか?」
「そうだな。まるで街を守るかのようだな」
「もし魔物が街を守っているのならその守られている街も怪しく思えてくるな」
普通、魔物が街を守るという行動は絶対にしない。
何故なら魔物は意思を持たない。
魔物の行動原理は単純で、例えば腹が減ったから食べる。目の前にいる存在が邪魔だから倒そうとする。
こういったように基本的には魔物は意思の疎通など全くできないのだ。
それが街を守っているかのように向かってくる。
これは一つの例外を除いてあり得ない。
ではその例外とは何か。姫那だ。
姫那は魔物の行動を強制できる。だがそれを今使っているはずがない。
ならば姫那以外の誰かがこの魔物の軍勢を操っている。そう考えるしかない。
「まぁどちらにしても俺らもそろそろやばいし、街に行く以外の選択肢はないな」
「何さっきから二人でコソコソ話してるの?魔物いっぱい出てきたしこっち手伝ってよー!」
「ごめんごめん。それにしても姫那、一人でだいぶ戦えるようになったな」
エルサリオンが姫那の戦いぶりを見て関心する。
「えへへ!私も成長してるんだよ!エリーはやっぱり見る目あるなー!」
すぐ調子に乗る姫那。
そして、戦いに参戦しようとしたらエルサリオンはまた驚かされた。
「なんだその戦い方は」
「すごいでしょー!ルーナと一緒にずっと飛んだりしてたからね!」
姫那はルーナに抱えられ飛びながらすごいスピードで魔物を薙ぎ倒している。
「あいつらの戦い方、むちゃくちゃだな」
見ていた夏生も関心と呆れが入り混じった言い方で呟く。
「お姉ちゃん!そろそろやばい!」
「オッケー!魔物の動き止めるから降ろして大丈夫だよ!」
そう言うと、魔物が全く動かなくなり、姫那とルーナが危なげなく降りてきた。
とても今日出会ったとは思えないレベルの連携だ。
「この二人実は元の世界で本当の姉妹だったとかないよな?」
「顔も全く違うし、それはないだろう。たぶん」
夏生とエルサリオンは助ける必要があるのかなと思ったが、助けないというのも違うので姫那が思考誘導した魔物達を一掃した。
「夏生とエリーすごーい!一瞬で魔物がいなくなった!」
必殺仕事人のような仕事の速さを見てルーナが目を輝かせている。
羨望の眼差しで見られている夏生とエルサリオンは満更でもない様子だ。
「まぁこれくらいは普通だな。なぁエリー」
「あぁ。いつも通りだ」
嬉しいのにそれを隠そうとしている二人を少し可愛いと思う姫那であった。
「もう魔物もいなくなったし、とりあえず進んでみようよ!」
「それなんだが、進む事は進むが警戒を強めていこう。街に近づくにつれて魔物が多くなっていくのはなんか変だ」
「わかった!ルーナ手繋いで行こっか!」
「うん!」
夏生は本当に仲が良い二人だと思いながら街への警戒心を強めた。
そして第一目標の砂丘の頂上まで来た。
「着いたー!」
姫那とルーナが声を揃えて叫ぶ。
「やっと街が見えた」
「ここから見る限り普通の街っぽいが、行ってみるまで何があるかわからないな」
「でもその前に手前にいる魔物達を倒さないとだね!」
街は見えたが、その前にやはり街を守るようにして魔物がさっきよりも更に多く待ち構えていたのだった。
姫那とルーナは固い絆で結ばれた。
そして、魔物に守られている街。この街はどんな場所なのだろうか。




