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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE012:三人目

 みんなが潤って出発してから一時間。魔物も出てきたりしてるが、順調に進んでいた。


 「夏生!エリー!!」


 またまた姫那が叫ぶ。


 「あいつは何かにつけて叫ばないと生きていけないのか?今度はなんだ」

 「とりあえず行ってみようか」


 夏生とエルサリオンが到着すると湖の時同様、二人はまた驚愕した。


 「人が倒れてるよ!」


 なんと一人の女の子が倒れていたのだ。

 そして、少し疑問に思う事がある。

 こんな中学生くらいの女の子が一人でしかも1階層じゃなく、ここ3階層で倒れてる事があまりにも不自然すぎる。

 そういった事を考え、夏生は警戒していた。


 「水飲ませてあげよう!」


 姫那はそんな事全く考えずに助けようとしている。


 「ちょっと待て!敵かもしれない奴なのに、そんな簡単に助けたら、、」

 「何いってるの!こんな小さい子が倒れてるんだよ?敵とか味方とか関係ない!助けてあげないと!」


 姫那は純粋で単純で真っ直ぐだ。今夏生が何を言っても無駄だろう。

 エルサリオンもそれをわかって、夏生の肩に手を置き首を横に振っていた。


 「はぁ。まぁ敵だったとしても戦えばいいだけだし、大丈夫か」


 姫那が水を飲ませると少しむせて目を覚ました。


 「あ!起きた!」


 起きた女の子は太陽に目を細めながら姫那の顔を見つめた。

 そして、我に返ったかのようにキョロキョロしながら抱き抱えられていた姫那からバッと離れた。


 「あなた達誰?」


 起き上がって女の子がこちらを見て怯えている。

 よく見るとすごく美しい少女だ。

 綺麗な光るようなブロンドのロングヘアーに青い瞳、それはエルフのような美しい容姿だ。


 「お前の方こそ誰なんだ?」


 夏生が剣を片手に警戒した表情で問う。


 「剣を構えながらそんな顔しないでよ!怖がっちゃうでしょ!」


 そう言って夏生を叩く姫那。


 「ごめんね?怖がらせちゃって!私は西條姫那。この人が夏生でそっちの人がエリーって言うの」

 「正確には俺はエリーじゃなくてエルサリオンだがな」


 夏生は姫那に叩かれて少しふてくされている。

 エルサリオンは軽く手を挙げて挨拶をする。


 「私と夏生は別の世界から来た人間でエリーがエルフだよ!」

 「姫那さんに夏生さん、その名前もしかって日本人ですか?」


 思いもよらぬ返答に姫那も夏生も一瞬思考が止まったが、すぐに聞き返した。


 「うん、そうだよ!君も転生されたの?」

 「はい。私はルーナ・サンチェスって言います。アメリカ人です」


 ついに三人目の転生者に遭遇したのだ。


 「やっぱりそうなんだ!よろしくね、ルーナちゃん!」

 「こちらこそよろしくお願いします」

 「それで、なんでこんな所で倒れていたの?」


 ここは3階層だ。こんな少女が1階層から上がってこれないだろう。

 なら誰かと一緒に居てはぐれたというのが一番考えられる。


 「なんでって言われても、いきなりここに転生されたんですよ?」


 ルーナ曰く、1階層からこの3階層まで来たのではなく、元から3階層にいたというのだ。

 それで一人でずっとこの砂漠を彷徨ってて、水にも有り付けず力尽きていたらしい。


 「なるほどねぇ。それだったらこんな子が一人で倒れてるのも辻褄が合うな。こっちに来てからどれくらい経つんだ?」


 転生者はみんな1階層に転生されると思い込んでいたがそうではなく、どこにでも転生されるかはわからないが、少なくとも3階層までには転生されるらしい。


 「み、三日目です。たぶん」


 夏生は第一印象が悪く、怖がってしまって姫那の後ろに隠れてしまっている。


 「夏生怖いよね!ごめんねぇ」

 「異世界人なら姫那や夏生のように何かギフトがあるんじゃないか?」

 「確かにそうだね!特別な力とかある?」


 姫那が問う。


 「あるけど、そんな強い力とかじゃないですよ」

 「どんな力なの?」


 再度姫那が問うと、ルーナが力を発動した。


 フワッ


 「え?」


 ルーナが空高くに飛んだ。


 「空を飛ぶ能力か」


 確かに戦いで強い力かと聞かれればそうではないかもしれない。

 だが汎用性において空を飛ぶという能力の右に出る者はいないだろう。


 「すごい力じゃない!空を飛ぶ能力とか羨ましいなぁ」

 「ありがとうございます。でも飛べるだけで他には何もないんですよね。変な化け物と遭遇しても逃げる事しかできないですから」


 それができれば十分だ。

 例えば夏生のギフトは攻撃する事には長けていても避ける事には不向きの能力だ。

 一方ルーナのギフトは確かに攻撃はできないかもしれないが『空を飛べる』これだけでそれを補って余りある有用性がある。


 「飛べるだけでもすごい能力だよ」

 「そう、、ですか?」

 「あぁ」


 いつもより優しい喋り方で褒める夏生。

 夏生は今ルーナの心を開かせる事に為に必死な顔をしている。

 そんな顔を見て可笑しくなった姫那は笑いを堪えられなかった。


 「なんだよ」

 「なんでもないよ!」


 夏生の不服そうな顔を見て更に可笑しくなった。


 「それと、触れてるものを浮かせる事もできます」

 「それって人も浮かせれるって事?」

 「いや、人には会った事なかったんで試した事ないですけど、岩とかそういうのは浮かせれました」

 「じゃあ私で試してみよっか!」

 「いいんですか?」

 「うん!いいよ!私も空を飛ぶのとか小さい頃からの夢だったし!」

 「わかりました。じゃあ、、」


 ルーナが姫那に触れると姫那も一緒に空に浮いたのだ。

 これは汎用性の高さが更に数倍増えたと言っても過言じゃない。


 「わぁぁあーー!すごい!私空を飛んでる!」


 幼い頃の夢が一つ叶ってテンションが上がりまくっている姫那。

 そして降りてきたルーナに夏生が、


 「それって二人同時にとかは浮かせれる?」

 「やった事ないんでわからないですけど、やってみますか?」


 人一人を浮かせるだけでもすごいのだが、二人を浮かせる事なんてできるのだろうか。


 ・・・・できた。


 「両腕で一人ずつ浮かせれるなんてほんとすごいね!」

 「自分でも二人を浮かせれるびっくりしてます。姫那さんと夏生さんはどんな能力なんですか?」

 「敬語じゃなくていいよ!あと呼び方も姫那って呼んで!私は洗脳系のギフトなんだ!」

 「俺も夏生でいいよ。俺は刃物を自在に創造するギフトだ。こんな感じで」


 夏生は日本刀を創造した。


 「じゃあお言葉に甘えて。姫那も夏生もすごい能力!ってゆうか、ギフトって何?」

 「自分が持ってる能力の事をギフトって言うんだよ!私達も教えてもらったんだけどね!」

 「そうなんだ〜!姫那の洗脳系のギフトってゆうのがイマイチわからないけどどんな感じの能力なの?」

 「んー、私のは口で説明するのが難しいんだよな〜。魔物とかが出てきてくれたら見せれるんだけど!」


 砂漠の真ん中でそんな事を喋っていたら砂の中から魔物が飛び出してきた。


 「うわ!噂をすれば魔物来た!」


 ルーナが最初に気付く。


 「ちょうどよかった!ルーナ見てて!」


 そう言うと魔物に思考誘導をかけて、身動き取れなくなっている。

 それを夏生が一刀両断。


 「え?なんで化け物が動かなくなったの?」

 「これが私の能力!相手の動きを制限したり行動を強制したりできるの!」

 「チートギフトじゃん!」

 「そうだろ?こんなギフトを見たら俺らのギフトなんてショボく見えるだろ?」

 「夏生のもすごいよ!」


 いつの間にかルーナと夏生は打ち解けていた。


 「そろそろ先に進もうか。なんかまた魔物が出てきそうだし」

 「そうだね!」


 三人目の転生者、空を飛ぶギフト持ちのルーナを仲間に加え、姫那達は3階層の攻略に挑むのであった。

ルーナ・サンチェス

能力〈ギフト〉:飛行系の能力

・飛空

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