EpiSodE102:強欲
エルサリオンはここまで5つの島の悪魔を倒していた。
そしてエルノールも4つ目の島の悪魔と交戦しているところだった。
「はぁはぁ」
「疲れが溜まってるようだな。俺達はまだまだ体力が有り余っているぞ」
「疲れなんか溜まってない!それにお前ら何人いようと悪魔なんかに絶対負けない!」
「はは!そうか、せいぜい頑張れよ」
(とは言ったものの、こんなに連戦になると流石に疲れるな、、)
エルノールは強がってはいたが悪魔との連戦の疲れは確実に蓄積されていた。
そんな時頭によぎるのは尊敬する兄や応援してくれる母、期待してくれる父の姿だった。
(兄上はこの程度で疲れたりしない!それに母上や父上の期待を裏切るわけにはいかない!こんなの余裕で切り抜けるはず!だったら僕もこんなところでのんびりしている場合じゃない!)
「はぁぁぁあああ!」
エルノールは悪魔を一刀両断した。
「絶対にお前ら悪魔なんかにアルフヘイムを奪わせない!僕と兄上がなんとしても守る!」
エルノールがエルサリオン、ララノア、エドラヒルとの会話を思い出して、自分がこのアルフヘイムを悪魔の手から守る事を再度強く決意した。
そして少し時間を遡って、、
エルサリオンは長老のアルフィリオンの元にいた。
「エルサリオン、これはどういう事じゃ?」
「長老。悪魔が攻めてきた」
「、、やはりそうか」
「あぁ。母上の未来予知でも攻めてくる直前にしかわからなかった」
「ララノアの能力でも、、か。それほど悪魔の力が強いという事じゃな」
「あぁ」
ララノアの能力は未来予知という観点から、守りに特化した能力だった。
今までララノアが未来を予知して外した事はなかった。
だが、この未来予知は予知に関しては完璧だったが、一つだけ欠点があった。
それは力の差があればあるほど予知できる時間が変わってくるという事だ。
例えばララノアの方が魔力が多く、強いのであれば何十分、何時間も前に予知はできるが、逆にララノアよりも強いなら予知した時間からのスパンが短くなるのだ。
そして、ララノアにはもう一つ未来予知の恩恵として使える能力があった。
それは危機感知だ。
自分の身に危険が迫ると、無意識のうちにその起こるであろう危機の内容がよぎるのだ。
それが今回の未来危機感知であった。
「そうか。お前はどうなんじゃ?ここまで戦ってきたんじゃろ?」
「ここまでの悪魔は大した事なかった。ほとんど体力も使わずに来れた」
「じゃが、ララノアがそこまでギリギリの予知となると、、」
「あぁ、悪魔の中に相当強い奴がいるのは間違いないだろう」
「そういえばお前の家族は何処にいったんじゃ?」
「母上と父上は家で待機している。エルノールは俺と逆側から悪魔を倒していってるはずだ」
「そうか、、お前ももう行くんじゃ。他の島も助けてやってくれ」
「、、わかった。長老もここから出るんじゃないぞ」
「誰に言ってるんじゃ。わしの心配などせんでよいわ」
「昔とは違うんだ。もうジジィなんだからな」
「ジジィ扱いするじゃないわい。もうええから早くいけぃ」
アルフィリオンはエルサリオンを追い出すように次の島に向かわせようとしたその時。
「お前がエルサリオンか?」
そこには明らかに今までとは雰囲気が違う悪魔が立っていた。
「お前は、、誰だ?」
「おいおい、先に質問をしたのは俺だぞ。まぁいい、俺はマモン。七大悪魔の強欲のマモンだ」
(やはりそうか)
エルサリオンはマモンが放つそのオーラで目の前の悪魔がマモンだと察していた。
「おい。何を黙っている。お前は俺の質問に答えてないぞ?お前はエルサリオンなのか?」
「、、お前の言う通り、俺がエルサリオンだ。俺に何か用か?」
「あぁ、そうだな。俺の配下の悪魔を何人かやってくれたみたいだな」
「お前達悪魔がこのアルフヘイムを侵略してきたからだろう。それがなければ争いが起こることもなかった」
「違うなぁ」
「違う?何が違うって言うんだ?」
エルサリオンが言っている事は何も間違ってはいなかった。
だがマモンの常識からしたらそれは全く違っていた。
「お前らエルフが俺達にさっさとこの地を明け渡さないからこんな争いが起きてるんだ」
「は?」
エルサリオンはマモンが言ってる意味がわからなかった。
「だからお前達が抵抗をするから犠牲者が増えると言っているんだ。お前達が早くここを俺達に渡せば俺達もお前達に危害を加えるつもりはなかった。それを俺達の提案を聞くや否や攻撃してきたのはお前達だ」
「提案?提案とはなんだ?」
「さっきも言っただろう。俺達にこの場所を明け渡せと。そうしたら危害は加えないと言ったのにそれを聞く耳も持たず、、」
「そんな提案乗るわけがないだろう!」
マモンが言い終わる前にエルサリオンが言葉を返した。
「は?何故だ?俺達と争いたいからか?エルフは戦うのがそんなに好きなのか?」
「そういう事じゃない!このアルフヘイムを易々と渡すわけがないと言っているんだ!」
エルサリオンの言葉にマモンは不思議そうな表情を浮かべていた。
「この場所は命よりも大切なのか?お前達は馬鹿なのか?」
「それも違う。命よりも大事なものはこの世にない」
「じゃあただの馬鹿という事か?」
「誇りだ!このアルフヘイムには俺達エルフの誇りがある!それを守る為に戦っているんだ!」
不思議そうな顔をしていたマモンが、今度は呆れたような顔になる。
「はぁ。誇りの為に命を張るのか。なら俺はその誇りさえも奪おう」
「なんの理由があってお前は俺達の誇りを奪えるというんだ?」
「何かを奪うのに理由なんていらない。何故なら俺は強欲の悪魔だ。誰よりも奪う事に生き甲斐を感じるんだよ」
「そんな理不尽な理由で奪われてたまるか!」
「なら守ってみろ。守れるならの話だがな」
「そうさせてもらう」
そう言うと、エルサリオンはものすごいスピードでマモンに攻撃を仕掛けた。
だがそれに対してマモンも難なく反応してそれを防ぐ。
ただ、それはエルサリオンも予想していたみたいで、すぐに次の攻撃に移った。
「なかなか速いじゃないか。もっときてみろ」
「じゃあお構いなく、、」
エルサリオンは魔法も使って本気でマモンに攻撃をし続けた。だが、、
「はぁはぁ。なんだお前は」
「もう終わりか?」
マモンはエルサリオンの全ての攻撃を防ぎ、無傷の状態で立っていた。しかも驚く事にマモンは最初にいた場所から一歩も動いていなかったのだ。
「これが、、七大悪魔の力か」
「じゃあ次はこっちから行くぞ」
そう言うとマモンはエルサリオンにも見えない速さで動いた。
自分の攻撃は全て防がれ、相手の動きは全く見えない。力の差は歴然だった。
そんな相手にエルサリオンはここからどう戦うのか、、
圧倒的力を持つマモンに勝機を見出す事はできるのか。




