食事問題
前回のあらすじ
旅を始めたリンスとワン公。
しかし、ある問題に直面する。
犬に食べさせてはいけないものは沢山ある。
玉ねぎやブドウやナッツ、チョコレートなどをはじめとして、調べるとかなりある。
フィクションの中で食べてようが、実際に食べると危険なものも多い。
さて本編に戻るが、
犬をお供にした場合、問題になってくるのが食事内容だ。
主人公リンスはホモサピエンス、私たちが俗に言う「人間」だ。
成長期の若者であるリンスにとって、食事は重要なものであった。
「これは!?」
「無理だ。 下痢になる。」
「じゃあこれ!」
「駄目だ。 というか、お前にとっても毒だ。」
代り映えのない食事にうんざりしていたリンスは、新しい献立を模索していた。
しかし、ここはド田舎。スーパーは少なく、コンビニもない。
動物用のレストランはあるが、そこで出されるものは、リンスの口には合わなかった。
わがままに聞こえるかもしれないが、これはリンスにとって譲れないものであった。
「わかった! 食うよ! 死にはせん!」
「いやよ! うんこをまき散らす犬ぞりなんて!」
食事なんて生きるために必要な栄養が取れればいいんだ
―なんていう人もいるが、リンスは「食事」が好きだった。
「う~ん・・・ 空腹じゃ何も思いつかないわね・・・」
リンスはおもむろに鍋から沢山のキノコを口に運んだ。
「あっ お前それ何個もいくと・・・」
リンスの意識が遠のいた。
次に視界に入ったのは夜空だった。
どれくらいの時間がたったかはわからないが、一日や二日じゃないだろう。リンスは直感でそう感じた。
「目が覚めたか」
どうやらワン公が看病をしてくれたようだ。
リンスは、毒キノコの過剰摂取と疲労が重なって倒れたんだと説明を受けた。
「なるほどね・・・ありがとう。
そうね・・・私の体に、毒キノコへの耐性魔法をかければ・・・
あっそうだ。」
そういうと、リンスはワン公の口を開け、呪文を唱えながら玉ねぎを放り込んだ。
「っ!?! なにすんだ! 近くにトイレはないんだぞ!?」
「大丈夫よ。 アナタに玉ねぎに対する耐性呪文をかけたわ。
つまり・・・」
「つまり?」
「献立に玉ねぎが増えるってことよ! ひゃっほーい!!!」
「・・・駄目だこいつ。 毒で頭をやられたか。」
翌朝、ワン公は下痢にはならなかった。
リンスはうつろな目と、半開きのにやけ顔をして座っていた。
つづく