2 ヘーベ学園というところ。
「…望架が悪いわけじゃないんだ。クラスの雰囲気があんまり良くないの」
「え?」
放課後。誰もいない空き部屋で佐賀野と瑠衣くんはAクラスの『過去』について語ってくれた。
私はてっきり倒れて始業式をめちゃくちゃにしたのも一つの原因だと思っていた。
「元々うちのクラスはあんまり仲が良くなくてね」
「担任も今の真海じゃなかったしな。まあ今の担任がどれだけ悪いのかはわからないけどな」
「優ちゃん」
瑠衣くんは佐賀野のその言い方に苦笑いしながら言った。
「担任運も確かになかった。前の担任は俺らのことを見ているようで見ていない。わかっているようでなにもわかっていない。そんな担任だった。クラスの奴もすごく荒れて収拾がつかなかったとき、そんなときまとめたのが『百樹桃華』。」
「望架にすごく似てる」
「え、私に?!」
「桃華は髪の毛がストレートで黒髪だったけど顔はすごく似てる。特に困った笑顔とか」
「重ねてるんだ、みんな…。桃華ちゃんが眠りから覚めないから…」
「桃華ちゃんに何かあったんですか…?」
「…階段から突き落とされたんだ。一か月前の誕生日の日に」
「まあ誰が突き落としたか未だわからないかままだけど」
「うん。桃華ちゃんは好かれるのと同時に嫉妬とか恨みも買うことが多たんだ」
「前なんて私の彼氏をとったって言われて大騒ぎだったしな」
「そして今、一か月後に望架ちゃんが来た。たまたま顔が似てて名前が似ていた。みんな桃華ちゃんのことで頭が離れない中、君が来た。みんな頭の中でわかっていてもまだちゃん桃華との記憶が残ったままなんだ」
とても疑問に感じた。
「なんで桃華ちゃんとの記憶残しちゃいけないの?」
きょとんとする私に佐賀野も瑠衣くんも目をまん丸くし唖然としていた。
「なんでって…。嫌、だろ…?…桃華と顔と名前が似ているからって避けられて好き勝手言われるの」
「そりゃあ最初はびっくりしたけど佐賀野と瑠衣くんが私をかばってくれたじゃない。それにね、逆を返して考えれば、周りが認めたってことは私がここにいてもいいっていう証明することするができる。だから。ね?」
そんな私のために桃華ちゃんとの大切な記憶をなくさないで。私はそう言って笑った.
「望架ちゃんって強いんだね…」
「ああ。俺らが思っているよりかずっと、な」