2 ヘーベ学園というところ。
ヘーベ学園。世界的に有名な資産家の娘、息子たちが通う学園校。
幼、小、中、高、大と当部があり、全寮性である。要するに幼当部から入ってたらここがもはや家も同然。
大学部までいたら十五年くらいいることとなる。私なら自分が誰の子かマヒしてわからなくなりそう。
「……迷った」
しまった。ちゃんと門をくぐったことはあったが女子寮しか行ったことない。
これをまさしく迷子状態という。父に電話で訊くべきか。いや万が一立て込んでいたら申し訳ない。
兄や弟に電話をかけるのも抵抗があった。
苗字が違うのもあるし私とは見た目が似てないとか言われ、兄の周りに引っ付いてたら周りの女子に力強く押され邪魔者扱いされた記憶しかないからだ。
要するに兄妹なのにルックスの差がすごいのだった。
そんな兄や弟に案内してもらってる最中に女子の知り合いに出くわせてみよ。とても面倒なことしか起こらないと私は想像を膨らませる。
私の苗字は桃野、母方の苗字だ。だが兄三人も弟も父方の苗字で白井である。
なぜ私だけが違うのかは直々にわかる。
よくよく考えてみると今日は始業式。切れ目の良い日に転校というわけで私がここにいる。
どうしよう…、兄弟を呼ぶ気はあまりなかったが本当に呼べなくなるとは…。
寮部屋案内してもらったときに一緒に案内してもらうべきだった。
うじうじと頭を悩ませていると高等部の制服を着た男女が心配してきてくれた。
「えっと、大丈夫ですか?」
「君、噂の転入生?」
噂?!え、私最近の注目の話題ですか、
「噂かはわからないけど転入生です、体育館に行きたいんですけどこの学園広くて迷っちゃて…」
「本当に似てるなぁ…」
「えぇ?」
そう言われ男子に凝視された。
「やめろ、瑠衣。体育館案内する」
女子の子はすごく淡々としていた。雰囲気は少し素っ気くとあまり愛想がない感じ。
「優ちゃん冷たく感じるかもだけど気にしないで~、今はちょっと緊張しがちだから素っ気ないけどいつもは優しい俺の彼女」
優ちゃん、の彼氏さんだったのか。
にこにこと彼女のことを喋る彼。
「俺は信田瑠衣っていうんだ」
「…佐賀野だ…」
佐賀野優ちゃんと信田瑠衣くんか~
「私は桃野望架です、Aクラスだったけな…」
二人はびっくりしたような表情をしていた。
「…大変だな、」
2に到達しました!!
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