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1 桃の花が咲く頃のピンチ

すまん、父よ…。心の中で謝った。


父がわんわんと泣いていた。普通なら立場逆なんだろうな~…。

これじゃまるで私が泣かせた光景だよな。

第三者目線から見たら異様な光景でかなり不思議であろう。



「父さんは望架が心配なだけなんだ望架には兄ちゃんたちより青春を桜花させてほしい。高校生活は今しかないんだ」



わかってはいた。今しかないなんて

いつになく真剣に言う父に戸惑った。

お父さんはそうやって優しく言ってくれるけど私自身が一番許せなかった。


青春桜花して母にどんな顔で手を合わせればいい?

母は笑って喜んでくれるだろう。でも自分がやはり許せなかった。

いじめなんて当然の罰だ。泣けなかった。つらくても苦しくても。母の痛みに比べたら軽くて。



「そうだ、望架は何かやってみたいこととかないのか?」



やってみたいこと。人生で一度や二度真剣に考えた時期はあった。

が、今の私が「やりたいこと」なんてとても言えるはずがなかった。


だが父のキラキラと輝かした瞳で私の返事を待ってる姿を見るととても「ない」とは言えなかった。


私がやっても許されること…。前に母が言っていたことを思い出す。




『望架はたくさんの人の悩みを聞いてあげてその人たちの悩みを解決してあげてね。』




にっこりと優しい笑みで言う母の姿を思い出した。



「…悩み解決部……」



ボソッと私は小さな声でそう言った。



「やりたいことあんじゃん、よかった~」



父は安心したように肩を落とした。


だから転校のことは気にしないで。そう言うつもりだった。



「お父さん」



あれ?返事がない。

後ろ振り向いてもいない。周り辺りを見回してもいない。



「…まさかだよね…?」



ははは、そんなわけないよな~

さすがにないと思った。スマートフォンの不在着信に気づくまでは



『望架~!父さん今から手続きしてくる!青春桜花はすぐそこだぞー!!』


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