1 桃の花が咲く頃のピンチ
桃野望架。別れの時期の三月。桃の花が咲く三月にピンチ到来。
「望架。もしかしていじめられてないか…?」
父に心配かけたくないと思った私は今までずっと黙ってきた。でも今日バレてしまった。
私は父の不安気な顔を見て仕方なく本当のことを話した。
「うん…。超いじめられてる」
「ん…?」
「え?」
「いやいやいや、なんでそんな堂々とした顔でいじめられてる宣言するの?!もっとこう、泣くとか辛いよ…みたいな雰囲気雰だよね普通?!」
「え、慣れた」
私のその淡々とした一言に父はフリーズしていた。
そして父は泣き崩れた。
「ごめんよ~、望架。父さんが悪かった…!一緒に父さんの学校に行こう!!」
「無理、やだ。ていうかお父さん何にも悪くないし」
父が言ってるのは白井家三代目として理事長を務める幼・小・中・高・大が付属である「へーべ学園」のことだった。
無理な三つの理由、それは…
一つ目は父が理事長として働く「へーべ学園」は超がつく程の「資産家」や「御曹司」たちの集まりだ。
世界的に有名な大金持ちたちが通う中、当然他の学校とはわけが違う。資金も相当な額である。
二つ目の理由。私には三人の兄がいる。兄たちは私と違ってやりたいこと、将来の夢に向かって留学したり父が理事長をやっている付属学園に通っていたりする。そしてこれから受験生を迎える一人の弟がいる。要するに既にすごいお金がかかっていて弟のことを考えたらもっとかかるということ。
三つ目。こんないじめは母の痛みに比べたものにならないくらい軽い。
これは罰にもならない。当然だった。
「なんでだよ~」
わんわん泣く父には悪いがこのこと言ったら言ったで父は心配するな。と言って
転校の話をグイグイと押してくるに決まっている。頭の中で押される自分が目が浮かぶ。