第53話俺と弁当前編
遅くなりましたすいません。53話です。
「さてまずは千代だな」
俺がコスプレをして2日が経過した。
俺は朝早くからエプロンをし、弁当を作っていた。
「イワシの蒲焼き、ニンジン、トマト、キャベツかな? 血管を強くする食べ物」
俺が知識として知っている、血管を強くする物を弁当に入れる。
他にもいろいろあると思うが、今回は俺が知っているやつだけだ。
「キラキラキラ」
「ん?」
俺は視線を感じ振り向く。
「ワクワク、ワクワクなのです!」
文美さんが目をキラキラさせながらこっちを見ていた。
「雄一さん! おはようございますなのです!」
「おはようございます。文美さん」
文美さんが挨拶をしてきたので俺もする。
「雄一さん! 雄一さん! もしかしてそれはお弁当ですか!」
「はいそうですね」
「私のですか!」
「いえ千代の弁当です」
俺がそう言うと、文美さんの目からハイライトが消えた。
「またあの女なのですか!? どうして私じゃないんですか!? 雄一さん!?」
「え~と………クラスで一番初めに友達になったからですかね?」
「何で疑問系なのですか!? どうせなら、私のぶんも作りやがれなのです!?」
「は、はい!」
俺は文美さんの気迫に負け弁当をもうひとつ作る事になった。
□□□
「………千代おはよう」
「優! おはよう。何かちょっと疲れてない?」
「いろいろあってな」
弁当を作るまで文美さんの気迫が凄かった。
「それより千代これを」
私は作った弁当を千代に渡す。
「これ優が作ったの? どうして私に?」
「兄が作った弁当だ。千代に食べてほしいと言っていた」
私がそう言った瞬間、この会話を聞いていた生徒の空気が凍結した。
千代は思いっきり目を見開き硬直していた。
「千代? 大丈夫か?」
私は千代の肩を揺する。
ぱたんと千代が倒れた。
「千代大丈夫か!? 保健室へ運ばないと」
私は千代をおんぶし弁当を持つ。
「「「お姉さま」」」
千代を保健室に運ぼうとすると、クラスメイトが前に立ちふさがる。
「皆どうした? そこを退いてくれ」
「それは出来ませんお姉さま………だって」
「「「その女は罪をおかした!?」」」
「………はい?」
何言ってるんだ?
「どういうことだ?」
「その女は雄一さんに、愛夫弁当をもらった!?」
「はい?」
意味がわからない。
「我々の協定では、抜け駆け禁止というものがあるのです! それをこの女は破ったのです!」
「そんな協定いつから出来た!?」
「異端審問部が出来た当日です!」
いや出来たんなら言えよ!? 文美さん!?
「私はそんな協定が出来た事は、聞いていない故に通してもらう」
私は横を向き千代を抱えたまま走り出す。
「逃がしません!」
数人の生徒に囲まれた。
「ならこっちに!」
私は進路を変え走る。
「「「お姉さま!?」」」
また進路を絶たれる。
「くそ! なら「鬼ごっこは、終わりです! お姉さま!」何!?」
周りを見ると、完全に包囲されていた。
「お姉さま貴女に手荒な事をしたくありませんだから、その女を私達に渡してください」
「悪いが千代は友達だ友達を見捨てる事は、クズがやることだ」
「そうですか………なら仕方ないですね」
そう言い近づいてくる。
「おはようございますネ! ………何やってるんですカ?」
メアリーが来て一瞬だけ皆が、メアリーの方を見る。
今だ!
俺は窓まで走り窓を開け飛び降りた。
「「「えーーー!?」」」
皆の驚愕した声が聞こえてきた。
私は一回転し綺麗に着地した。←良い子は、真似しちゃ駄目だよ。
弁当の中は………よし無事だな。
「じゃあな皆! また明日!」
私はそう言い走り出す。
「「「待ってください! お姉さま!」」」
「優さん! 千代さん! どうしたんですカ!」
どうやら皆追ってくるようだな。
だが私はそう簡単に、捕まらない! 何故なら千代の命を、奪いにきそうな勢いだからな。
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