第107話俺と月下さんの誕生日
遅くなってすいません。107話です。
ピンポーン
「お兄ちゃん、いらっしゃい!」
彩夏ちゃんが、玄関を開けてくれた。
「こんにちは、彩夏ちゃん。お姉さんは、いるかな?」
「うん! お姉ちゃん、自分の部屋に、いるから、呼んでくるね!」
そう言って、彩夏ちゃんは、階段を上がって行く。
今日は、月下さんの誕生日である。
「雄一さん。お待たせ」
月下が、階段を下りてきた。
「いえいえ、そんなに、待ってないので、大丈夫ですよ」
俺は、そう言う。
「じゃあ、予定通り、町にいこうか」
「はい!」
月下さんは、誕生日に、俺と町に行きたいと、言っていたので、一緒に出かける事と、なっている。
「お兄ちゃん! お姉ちゃん! 行ってらっしゃい!」
俺と月下さんは、彩夏ちゃんに、見送られ、町へ向かった。
□□□
「あの~月下さん?」
「何だい、雄一さん?」
「どうして、喫茶店藤森に、来たんですか?」
今俺と、月下さんは、喫茶店藤森の、扉の前にいる。
「もちろん、じま………じゃなかった、昼食を食べる為だよ」
今絶対に、自慢って言いかけましたよね!?
「じゃあ、入るよ」
チリンチリン
「いらっしゃいませ、お客様、百八十度反転して、そのまま、お帰りください」
藤森さんが、俺と月下さんを見た瞬間、真顔で、そう言ってきた。
「おいおい、藤森さん、私と雄一さんは、お客だよ? そんな対応で、大丈夫?」
「………席にご案内します」
藤森さんは、明らかに、機嫌が悪い。
俺と月下さんは、席に座る。
「ご注文をどうぞ」
「私は、カツサンドと、ケーキセット、雄一さんは、何にする?」
「俺は、ハンバーグサンドと、ブラックコーヒー」
「かしこまりました」
注文を取った後、藤森さんは、厨房に、向かった。
「さてと、じゃあ昼食が、出来るまで、世間話でも、しようか」
「分かりました」
□□□
「お待たせしました。ご注文の料理です」
しばらく経つと、藤森さんが、料理を持ってきた。
「何かありましたら、お呼びください」
そう言って、藤森さんは、厨房へ戻っていった。
「雄一さん。あ~ん」
月下さんは、フォークを手に持って、ショートケーキの先端部分を、掬い上げ、俺の口の前にまで運ぶ。
ばこーん!?
「!?」
俺は、音のした方を見る。
「………」
藤森さんが、皿を素手で、割っていた。
「………」
皿を素手で、割ってあんな音が、出るのか? いや待て俺、ツッコミ所は、そこじゃない、お店の物を、割っちゃ駄目でしょ!?
「千代」
「お母さん」
渚さんが、出てきた、これは、怒られるな。
「私にも、ちょうだい、割るから」
「って、あんたもかよ!?」
俺は、思わず、そうツッコミを入れる。
「雄一さん。食べてよ~」
「月下さん。まず、温かい食べ物から、食べませんか?」
「それもそうだね」
俺と、月下さんは、料理を食べ始める。
「「………」」
二人の視線が、気になるな!?
□□□
「ありがとうございました~、雄一さん。もう他の女とは、来ないでください~」
「………」
疲れたなと、俺は思った。
「雄一さん。次は、何処に、行こうか?」
月下さんは、そう言ってくる。
「月下さんの、好きな所で、大丈夫です」
「そっか、じゃあ適当に、ぶらぶらしよう!」
そう言って、俺の右手を掴み、走り出す。
「そうだ、月下さん!」
「何だい、雄一さん?」
「誕生日、おめでとうございます!」
そう言って、俺は、ポケットに、入れていたプレゼントを、月下さんに、渡す。
月下さんが、ストップする。
「ここで渡すのかい?」
「すいません。こんな所で」
「良いよ、開けて良い?」
「もちろんです」
月下さんは、プレゼントを開ける。
「ペンダント………」
「それに、好きな、写真を入れてください!」
「雄一さん。ありがとう………良し! 今の私は、絶好調だ!」
そう言って、月下さんは、俺をお姫様抱っこで、持ち上げた。
「ちょっ!? 月下さん!?」
「このまま、町を駆け抜ける!」
そう言って、月下さんは、走り出す。
この後、月下さんは、俺をお姫様抱っこした状態で、町を駆け抜けた。
翌日、この事が、文美さんに、伝わり、月下は、説教をされた。
読んで頂きありがとうございます。