プロローグ
サラリーマンの顔は凍りつき
笑顔の少ない学生が歩き
主婦が口から文句を垂れ流し続ける
冷たく寂しい時代。
偶然発見された世紀の二大発見により
人類は大きく、そして華々しく進歩した。
現代魔法学の誕生である。
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2049年の冬
エジプト カイロ郊外にて
一人の考古学者がある発見をした。
新たに発見された遺跡のような建築物の中にある
驚くほど精巧な金属製の箱に
大きめのウラン鉱石が詰まっていた。
それと同時に発見された石板にその用途や採掘方に関する
あらゆることが書いてあった。
中でも驚かれたのは
放射能物質が「魔法」を行使する上で
必須材料になるという事実だ。
~~~~そして~~~~
2050年の秋
イギリス オックスフォード大学にて
とある研究チームが放射能物質に対する
人体の耐性を劇的に向上する"劇薬"の開発に成功した。
それは副作用を伴うものの使用者はたった1粒で
生身で「像の足」に触れることが可能になり
体内に放射性物質を貯蓄出来るようになる。
当初は放射線治療時の副作用を軽減する目的で開発され、
試験段階で多くの患者の頭に髪を生やした。
副作用もとても軽く、医学界で革命だと騒がれた。
そして、一人の患者が「奇跡」を起こした。
視神経に癌を患っていた女性が
突然、全てが見えると騒ぎだしたのだ。
医師の診断の結果、視力は未だ戻っておらず
見える筈もなかった。
だが彼女には全てが見えていた。
昨日まで自力で立てなかった彼女は
自らの足で走り、高く飛び、テニスを始めた。
そして彼女は口から火を吹いた。
なんのトリックもなく口から火を吹いたのだ。
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この二つの奇跡は瞬く間に世に知れ渡り
政府の隠蔽もあっという間に暴露された。
人類の手で魔法が証明された瞬間である。
読みづらかったら言ってください