終演
こんなに小さな舞台もあったものだ。
ちょっと油断すれば、腕も足も落下する。
こんな私でも観てもらえるのですか?愛される価値を噛み砕く。
裸でもいいのに、乾いた衣装に身を包む。萎んだ羞恥を覗くの?
ここで倒れ込むのですね?
いつか見た、弓なりの歓喜を今ここで!
無駄に浮き出た血管に、優しくとどめをサシテクダサイ。
私の存在がぼやけるように、照明の光源が増殖する。
罠に迷い混むように、貪りつく匂いを断ち切るように、あなたは私の鼻と口に触れている。
小さすぎる舞台に、腕と足を残して私は高度30㎝を落下する。
幽霊も身近に感じる混濁が、いつも私を待っている。
観られているのですね。
一方通行のトンネルの入り口で、口元隠した美男美女が覗きこむ。いつか見た、白目の恍惚を今ここで!
はだけた服はそのままに、私はここで放射冷却に戸惑うだけ。
ここで眠り込むのですね?
用意された、舞台。いつか見た、空白の未来を今ここで!