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3. うちのペットの名は。

流れる風景を楽しみながらのささやかなドライブ。

もちろん旅の御供は、助手席でシートベルトを齧っている兎。


 ※兎の歯は、一生伸び続けるらしく、歯をすり減らす為に常にモグモグ何かを齧る習性があります。

  コード等の危険や齧られて困るモノは、歯の届かない所に置きましょう。


今度こそ買い忘れがない事もチェックして、家へと帰ります。


「これ、美味しくないわ。 ぺっ、ぺっ」

「そりゃそうでしょう。 もうすぐ、家に着くから我慢してて。」

「しかたないわね、このバックでも齧っているわ。」

「それはダメ!!」




物理的にも精神的にもボロボロになってようやく家に着きました。

とりあえず、大家さんにペットを飼う事を報告しなくてはいけません。


ピンポ~ン

『どちら様ですか?』

「こんにちは、宮園です。」

『はいはい、今開けますね。』

「はい。」


「どうしたのかしら?」

「すいません、急きょペットを飼う事になりまして。」

「いつもうちのナオがお世話になっています。今度からここに住まわして貰う事になりました兎です。」

「あらあら、喋る兎なんて珍しいわね。 それに礼儀正しいわ。」

「はい、私もビックリです。 いろんな意味で」

「お褒めにあずかり光栄です。」

「大家の大家よ。 よろしくね。」

「不束者ですがよろしくお願いいたします。」




こうして、兎が猫をかぶると言うわけのわからない状態でなんとか大家さんの許可を得る事ができました。


「はぁ、ここがあなたの新しい家だよ。」

「こじんまりしているわね。 まぁ、良いわ。」

「じゃ、ゲージは、ここに置いておくね。」

「ダメよ、そこは日当たりが良くないわ。」


そう言って、部屋中を物色しだす兎。


「ここが良いわ。 このクッションや本棚、どけてくれるかしら?」

「・・・・はい。」


そして、その日から私のくつろぎスペースは、占拠された。




兎がせっせと何かの準備をしています。

紙にペン、牧草や水受けを並べて置いています。


「何しているの?」


私の一言で驚き顔で振り向いてこちらを凝視してきました。


「えっ? 何?」

「ナオ、ダメよ。 ペットを飼うならまず一番最初に決めないといけない事があるわ。」

「・・・・それは何?」

「はぁ~、ペットの名前よ。」

「えっ、うさちゃんじゃないの?」

「あれは、愛称よ。 飼われる前のペットに飼い主より先に名前を付ける様な教育はしてないわ。」


そういえば、この子は、あのペットショップで偉い立場の人?、兎でした。

そうだね、名前つけるのが普通だよね。


「じゃ、何にしようか?」

「私に相応しい優雅で美しい名前にしてちょうだい。」


とんでもなくハードルを上げてきました。


「うさ子は?」

「あなたちゃんと考えているの? 安直すぎるわ。」

「う~ん、うさ美は、どうかな?」

「イマイチ、パッとしないわ。」

「じゃ、ラビアンろ・」

「ダメよ、その名前は、いろいろな所から怒られるわ。」


兎が何故その辺の問題に詳しいのか不思議で仕方ないけど今は、名前を付ける方に集中しよう。

そして、色々と名前を挙げていきましたが中々お気に召す名前がないらしい。

私は、やけっぱちで名前を挙げて行きます。


「ぜぇぜぇ、じゃ、ピョニッコとか・・・・?」

「あら、良い名前じゃない? あなたにも多少のセンスは、あったようね。」


私は、君のセンスがわかりません。


「じゃ、その紙に命名って書いてくれるかしら。」


私は、言われるがままにペンを走らせます。

そして、並べられた牧草と水受けの間に置くように指示されます。


「こうかな?」

「そうよ。 でわ、私を兎神に見立てて、私が言う事を復唱してちょうだい。」


兎神って何!?

と思っていると何かの儀式が始まっています。

私は、慌てて復唱します。


「私は、この兎にピョニッコと命名します。」

 「私は、この兎にピョニッコと命名します。」

「ピョニッコを大切に育てる事を誓います。」

 「ピョニッコを大切に育てる事を誓います。」

「ピョニッコに私の全てを委ねます。」

 「ピョニッコに私の全てを委ね、られるか~!!」

「ちっ。」


危うく、変な契約を兎神の前で結ばされる所でした。

だから兎神って何!?



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