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2. うちのペットをピッ

私が兎に追いついた時には、すでにレジの台によじ登っていました。

飛びついた台に前足で捕まり、プルプルと震わせながら上げる後ろ足がとても愛らしく見えたのは、秘密です。


 ※野兎で約50cmの高さ飛べるらしいです。


それに気づいたレジのおばちゃんが声をかけていました。


「あら、うさちゃん、レジの方に来るなんて、珍しいわね? ・・・・その後ろの人は、まさか!?」

「そうよ、私の新しい家政婦よ。」

「そう、ついに飼い手が見つかったのね。おめでとう! でも少し寂しくなるわね。」

「そうね、お互いこのお店が出来た当初からいるものね。」


レジのおばちゃんと話し込んでいる様だけど、……出来た当初から?

まさかの古参!?

何歳なのあの兎!!?


 ※本来、兎の寿命は、10年ほど。 ギネスでは、18年生きた子も居たらしいです。


「もう、私1人になっちゃうわね。」

「世話係の子も大分さまになって来たから後は、任せても平気だと思うわ。」

「他のスタッフの指導も私1人じゃ……」

「大丈夫よ、この店には、ちょくちょく顔を出すわ。」

「うさちゃん。」


ひしっと抱き合う1人と1匹、私は、少し悩んだが声をかける事にした。


「あの~、まだ飼うって決めた訳では……」


1人と1匹は、こちらをチラっと見て会話を再開した。


「もうこのまま、ここで一生を過ごすかと思っていたわ。」

「そうよね、こんなに魅力的なのになかなか飼い手が見つからなかったものね。」


再びこちらをチラっと見て会話を続けます。


「あの人なら大切に飼ってくれると確信したのよ。」

「うさちゃんが幸せになるのを願っているわ。」


チラチラこちらを見ながら会話されて、私は気付いた。

もう、逃げられないと。


「分かった、分かりました。 飼わせていただきます。」


肩を落とす私を余所にイェ~イ!とハイタッチをする1人と1匹。

するとおもむろに兎の尻尾に付いていたタグをバーコードリーダーだピッっとしていた。


「ぬいぐるみか!!」

「あら、ロックスで巻いているだけでタグピンが刺さっている訳じゃないわよ?」


思わずツッコんでしまいました。

ゲージや消臭砂なども次々とピッっとされて行きます。


「合計で、28万円になります。」

「……分割払いでお願います。」


なんだろう、このペット飼いに来て詐欺にあった気分は?

内訳は

 兎   240,000円

 ゲージ  30,000円

 消臭砂  2,000円

 etc.

となっていました。

確かに喋る兎だから安のかもしれないけれども。

何か納得できない。


 ※本来、兎の値段は、ピンキリですが3千円~5万円くらいだそうです。

純血(血統書付き?)で10万円前後くらいらしいです。


カード支払いを済ませた私と1匹の兎は、荷物を持って自動ドアをくぐるとそこには、来た時とは、別の光景が広がっていました。

両サイドに別れて、並ぶ店員さん達、そして後ろからさっきのおばちゃんが花束を持ってきました。


「うさちゃん、長い間お疲れ様でした。」

「「「「「「お疲れ様でした!!」」」」」」


花束を受け取る兎。

満期退職のサラリーマンかい!! っとツッコミそうになりましたが必死にこらえました。

そして、他のお客さん達の視線が痛いので私は、この場をすぐにでも離れたいと思っています。

少し早足で車に荷物を載せ、見送られながら家へと帰ります。




それから10分後、私は、ペットショップへ戻って来ています。


「いらっしゃいませ、ってうさちゃんどうしたの?」

「私のご飯を買うのを忘れていたらしいわ。 おっちょこちょいよね。 フフフ」

「あらあら、フフフ」


私は、そそくさとペットフード置き場に行って、熟練の店員ばりに銘柄を言う兎に言われるがまま指定された品を籠に入れてレジへと戻ります。

ちょっと?高級なペレット(ラビットフード)だった事が後日分かりました。


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