17. うちのペットが20才!?
今日は、休みだというのに朝早くからキャッキャ聞こえる声で目をさましました。
声の主は、リビングで騒いでいるピョニッコと大家さんです。
「こんな朝早くから2人ともどうしたの?」
「見なさいナオ、この姿どうかしら?」
ピョニッコと大家さんは、振袖を着ていて、クルリと回って見せてきました。
「・・・・本当にどうしたの?」
「もう、ナオは、乙女心が解っていないわね。 そんな事だからモテないのよ?」
「いや、私も一応女なのですが?」
「しかたないわね。 今日は、成人式よ。」
「それくらいは、私も知ってるよ?」
「その成人式に行くのよ。」
「いやいや、絶対追い出されるよ?」
「言わなきゃバレないわ。」
「どう見てもバレると思うけど・・・・?」
町で有名な大家さんと兎が振袖着て、成人式に行って、バレない方がオカシイです。
「年齢もバレない様にちゃんと考えているわ。」
「違う! もうその次元の話じゃないから!!」
「安心しなさい、ちゃんとナオの分の振袖も用意してあるわ。」
「止めて!! 私が社会的に死んじゃうから!!!」
「知り合いに会わなければ大丈夫よ。」
「こんな小さな町でどうやって知り合いを回避しろと!!?」
「すべこべ言わずに着替える!!」
「イヤァ~~~~!!」
2人の魔の手に捕まり、抵抗むなしく着替えさせられました。
誰にも会いません様に誰にも会いません様に!!
楽しく大通りを闊歩する2人とは、対照的に私は、神にすがりながら後をついて行きます。
もうすでに本物の20歳には、チラチラと怪しまれているのですが悪あがきをしています。
「そんなにビクビクしていたら逆に怪しまれるわよ?」
「そう言われても・・・・。」
「見なさい。 これが毎年撮影されている成人式の写真よ。」
「これがどうしたの?」
「ここよ。」
ピョニッコに指された場所を見てみると大家さんが写っていました。
「大家さんが成人式の頃の写真?」
「それは、去年の写真よ。」
「えっ!?」
慌てて、写真をめくり、前の年、その前の年と写真を見て行くと大家さんが同じ場所に写っていました。
「何しているんですか!!?」
「フフフ、ナオちゃんと一緒の写真もあるわよ。」
「えっ?」
私が成人式を迎えた年の写真を見ると大家さんが写っていました。
「本当にいた!!!」
「ルミ子みたいに堂々としていたら毎年行っていてもバレないのよ。」
「ええぇ~・・・・。」
衝撃の事実にまだ頭の整理が出来ていない私でしたがとうとう式会場に着いてしまいました。
私達に気づいた係員の人が声をかけてきました。
「おっ、ルミ子さん、今年も来たんだね~。 今回は、ピョニッコちゃん達も一緒かい?」
「よろしくお願いするわ。」
思いっきりバレとるやないか~い!!!!
しっかり写真撮影まで参加させられた私達の写真は、兎カフェの休憩室に飾られる事になりました。