14. うちのペットと初出勤
私は、少し緊張した面持ちで新しい職場へと向かっています。
「大丈夫よ。 私に全て任せておけば良いわ。」
「ありがとう。」
不安げな私を見てか、抱っこされているピョニッコが励ましてくれました。
心の準備が整う前にお店に着いてしまいました。
何故かこういう時の道って短く感じちゃいますよね?
「皆集まって、今から朝礼始めるわ。 今日から社長も皆と一緒に働く事になったわ。」
私は、軽く挨拶する程度で後は、ピョニッコが説明等をやってくれます。
こんなに頼りになるペットは、他にはいないでしょう。
私のピョニッコに対する評価を上げている間に話は、終わった様です。
「・・・・と言う事で私と社長は、年末の商店街作戦会議に行って来るわ。」
「「「「いってらっしゃ~い。」」」」
「・・・・作戦会議?」
良く分からないままピョニッコに付いて行きます。
移動中に軽く説明してくれましたが商店街の生き残りをかけて、イベントが近づくと各お店の代表が集まり、お客さんを集める為の作戦会議をするそうです。
新参者の私達は、この商店街のルールや商売の在り方を勉強させてもらう為に参加するのです。
「お、会長待ってましたぜ。」
居酒屋さんの大将にがそう言ったので後ろを振り返って見ましたが誰もいません。
「今日からナオが本格的に働く事になったから皆と挨拶していて遅れたわ。」
「なるほど。 これで俺達の商店街も安泰ってもんですね。」
「ええ、大船に乗った気でいてちょうだい。」
ピョニッコと大将の会話に私は、首を傾げずにはいられませんでした。
話に付いていけないまま、商店街の人達が集まっている部屋へと連れて行かれ、そのまま上座に座らされました。
この時、嫌な予感しかしませんでした。
「皆、良く集まってくれたわ。 これより、第2回商店街作戦会議を行うわ!」
「「「「おおぉぉぉ~~!!」」」」
・・・・第2回って、もしかして今までしてこなかったて事じゃないですよね?
そして、何でピョニッコが仕切っているのでしょうか?
「そして、皆に報告があるわ。 気づいている人もいると思うけど会長の座をナオに譲ろうと思うわ。」
「「「「おおぉぉぉ~~!!」」」」
初参加でそんな大役譲られても困るんですけど~!!?
「いやいや、私素人ですよ?」
「大丈夫よナオ、ここに居る皆も素人よ。」
「何一つ大丈夫な要素が無いんだけど!!?」
良く分からないまま、商店街の会長にされた私は、やけっぱちでするしかありませんでした。
「そ、それでは、年末年始の年越しイベントについてですが・・・・」
「あの~、クリスマスイベントは?」
「ダメよ。 ナオは、クリスマスにいい思い出は無いからそっとしておくのよ。」
「あ、ごめんなさい。」
グフッ!
一人の質問にピョニッコが答えて、私の心をえぐっていきます。
「そうか、ナオ君は一人でずっと過ごしていたのか。」
ずっと一人じゃないから! 家族と過ごしていた時もあったから!
と声のした方へ目を向けると
「社長!? 何でここに居るんですか!!?」
「あらナオ、お客の意見も大切よ。 社長の見る目を評価して、スペシャルアドバイザーとして参加してもらったのよ。」
うんうんと頷く皆。
それから会議は、一様纏まって、年末年始の何をするのか決まりましたがこの商店街の未来に不安しか感じませんでした。