危険な恋の四重奏(カルテット)~ 13 ~
ピピピ..チチ..ピチチチチ..。
「う..ん...。」
都会生活では余り聞く事の無い鳥の囀りに、私は眠りの中から引き上げられる。
うっすらと開いた視界に映る、見慣れない天井。
あぁ、そうだった。昨日から早苗と美穂の三人で旅行に来ていたんだった。
横に顔を向けると、美保と早苗、スヤスヤと寝息をたてている。
おかしいなぁ、ワイン飲みながら二人と喋ってて...昨日、いつの間にか寝たんだろう。記憶がない。それにしても..。
「ウウ..あぃだだだ....。足が痛い、しかも、肩や腕までって..。何で...?」
何故だろう、寝返りを打とうと、力を込めただけで身体中に痛みが走る。ヒドイ筋肉痛っぽい。
昨日トリッキングしたから?それにしては、肩が痛い理由が分からない。
それに、結構歩いた自覚はあるけど、あの位でこんなにも痛くなるもんなの..?運動不足のつもり無かったんだけど。やっぱりもっと運動した方が良いかなぁ。
身体の痛みを何とかやり過ごし、起きあがろうと動かした膝に、滑らかな毛皮が触れる。
「ん?」
覚えの無い感触に、首を傾げながら、そろりと布団をめくる。
「.........。」
「....ポッ。」
イラッ(怒)
目繰り上げた布団の中、朝一に見てムカつく存在ベストスリーに入る存在と、現在進行形で目が合ってます。
しかも、上目遣いで此方を見ながらもじもじしている。実際は毛で分からないですが、雰囲気的に頬を染められたっぽいです。
「昨日のリムリン..た..逞しくて、す..ステキだったミュ...。キャッ言っちゃったみゅ!」
そして、気持ち悪いウサハムは頭のおかしな事を言いながら、再度、布団にもぞもぞと潜り込んでいく。
神様、コレは殺しても良いですよサインでしょうか。
そして、隠れる様に被っている布団の隅からソッと顔を出し、こちらに暑くるいし視線を向けてくる。
「でも、リムリンになら、このままミームのイチバン大切なも...」
「ぃやかましいわ、気色悪い!!」
ガラッ!ズバンッ!!
気持ち悪いソレを、窓の外へと力の限り投げ飛ばす。
不法投棄はいけない事だとは知っていましたが、我慢の限界でした。アイツはこのまま森の住人になるか、肥料になってくれないか切実に希望します。どうして魔痕は、ミームを、返品してしまったのだろう。
そして、人間は激しい怒りの前では痛みを忘れるのだと学びました。
起きあがるのもあんなに辛かったにも関わらず、ミームをブン投げる瞬間は痛みを全く感じませんでした。
「んむぅ..リリ..?どうしたの...?」
「ムニャ..今何時ぃ...?」
窓枠に手をかけ、怒りに震ていると、後ろで二人がもぞもぞと動く気配がする。
しまった、余りの怒りに二人が寝てるのを忘れてた。
「ゴメンゴメン。布団の中に気持ち悪いのが居て、思わず叫んじゃった。」
慌てて窓を閉めて振り返ると、眠そうに目を擦りながら二人がゆっくりと体を起こした所だった。
「気持ち悪いの?虫?」
「大丈夫~?刺されたりしてない~?」
「大丈夫、大丈夫。気持ちは削られたけど、ケガは無いよ。起こしてゴメンね。まだ5時前だし、もう少し寝ていて。」
時計に目をやると、まだ五時にもなっていなかった。普段ならまだ夢の中に居る時間である。
「だね。すごい快晴だし。ん~よく寝た。」
「ん~ん、起きるぅ~」
美穂が大きく伸びをし、その横で早苗がてきぱきと布団を畳む。
昨日あれだけベロベロのぐでんぐでんだったのに、今の姿には、全くアルコールの影はない。つくづく元気ね、二人共。
「ね、まだ朝ご飯までに時間あるしさ、3人で朝の森林浴に行かない?」
「はいはい~!。賛成ぃ、行きたいで~すぅ。」
美穂の提案に、早苗が諸手をあげて同意する。
「え..森林...。」
昨日の昼間にあった色々な事(フェアリーデン関係)の事が頭を駆け巡る。
「昨日、ここの地図見たら20分位歩いて森を抜けた所に湖があるんだって。」
「うわぁ~行ってみたい~。こんなに早かったぁ、誰も居ないかもよぉ~。」
「...湖.......。」
更に頭の中を、厨二少年が飛びかかって行ったウネウネの蔓で被われた魔痕の姿が蘇る。
うん、総合的に考えて断固として中止を勧めるべきだと思います。
「えっと、止めとか...」
「じゃ~早く行こ~。ほらほら、リリちゃんも早く~。」
バッサバッサと勢い良く浴衣を脱いで行く二人の姿にソレ以上の言葉は続けられませんでした。
まぁ、フェアリーデン関係の変なのが出てきたらぶん殴って物理的に殺すか、通報して社会的に殺すかしたら良いかな。
リムリンのかっこいい戦闘シーン期待していた方すみません。朝チュンです。
前日の夜のあれこれは、日を改めて番外編として書く予定してます。
後、次の更新は9時になります。




