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満たされるは欲ばかり

作者: 忍足ゆあ

今日は給料日。


既に何回巡って来たであろう一月に一回の給料日。仕事の成果が目に見える日。


ただ、3週間ほどでお財布は随分寂しくなる。いったい何に使っているんだか知らないけど、気が付けば羽が生えて飛んで行ってしまっている。



真奈は銀行のATMから給料ありったけを引き出した。手数料節約のため、必ずATMでの操作は一ヶ月に一回しか行わない。

自分の給料ではじめて買ったブランド物の財布がいつも以上に分厚くなるのを感じてほくそ笑んだ。

どうせ支払いとかで1週間の内に消えてしまうお金だけど、今だけはこの手に収まっていることがうれしい。

金額は満足のいくものではない、と言ってしまえばおしまいなのであえて追求はしなくなった。

働き始めの頃は結構気にして、同期の友達ともいろいろ文句を言っていたのだが。

慣れてしまえば気になるものでもない。


「さぁて、買い物しようかなぁー」


月に一度の贅沢、買い物。


先月はマンションの更新月だったから我慢していたのだが、今月はなんにも心配するものなんてない。

いうなれば思う存分買うことが出来る。そう思っただけで、体が軽くなって足取りがさらに軽やかになる。

お気に入りの洋服屋さんを回り、三軒本屋を巡って、日が落ちきった頃に大好きな日本酒の肴を買って帰る。

お決まりのパターンだけど、これが真奈にとって極上の贅沢でありストレス解消法であった。


幼い頃は欲しいものがありすぎて、親に伝えきれず歯がゆかった。

アルバイトが出来るようになって、学生の身分では欲しくても手が届かないものが多くあった。

短大を出て就職してからは、節制しないと日々の生活が危うくなることを知った。

そして、就職してから3年。

ようやく今になって、自分の丁度いい頃合いというものが図れるようになった。

と言うより欲しいものと必要なものが、吟味出来るようになったのかもしれない。




お金稼いで、思う存分買い物できるようになって、物欲を満たすことは出来るようになった。


でも、届かないものがあった頃は夢も一緒に買っていた気がする。




そう、思うと。


今満たされているのは欲だけで。


私はまだからっぽのままだ。


そう思いながらも、私は今月も欲を満たす為に。

そう思いながらも、私は今月も明日の私の為に。



買い物を続ける。


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― 新着の感想 ―
[一言]  これは誰が語り手なのでしょうか?「真奈は〜」と読んでいくと、第三者がその役目をしてるように読めます。しかし突然「私」が出てきます。一体どういうことでしょうか?僕は、これは小説として破綻して…
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