力の代償、嘲笑う女
「ふふふ…面白いね。輪廻に消えゆく魂達よ、世界の感応者アイネスが命じる。この手に集い我が身に宿れ、ソウル・アブソープション。」
アイネスは先程の核爆弾で死んでいった大量の魔法使いたちが戦場から追い出される前にその魂を吸収していった。
「さて…次はカーラかな…ふふふ…アハハハハハハハハハハハハ!破滅を運んであげるよ!」
アイネスはカーラに到着すると魔法研究所へ降り立った。
アイネスはわざとらしく神々しいオーラを噴出させながら門の前に降り立った。
カーラでは神が進行されているため、アイネスの姿を見た門番たちは直ぐに膝をついた。
「ふふふ、責任者の所に案内して?」
「わ、わかりました!」
アイネスは研究所の中を堂々とあるき、責任者の場所にたどり着くと一つの魔法陣を記入した紙を手渡した。
「こ、これは!?」
「私が聖戦の手伝いをしてあげます。この魔法陣を使いなさい。さすれば敵を地獄へ落とすことができるでしょう。」
「あ、ありがとうございます!」
そう言うと膝をつきアイネスを崇める。
アイネスは心のなかでは笑っていた。
それは狂気に満ちた笑いだ。
手渡した魔法陣は死神との契約と言う魔法だ。
一番最初にこの魔法を創りだした者のところへ魂を運ぶ魔法だ。
この魔法を使うと死神が召喚され、敵を無差別に殺していく。
更に一定以上の生命がこの魔法を使うと呪いがかかる。
それは苦しんだ挙句心臓が破裂し、死に至る。
呪いで死んだ者の魂も同じ場所へと運ばれる。
「使うか使わないかはあなた達次第。それでは私は帰る。」
所長が顔を上げるとアイネスは既に居なかった。
「アハハハハハハハハ!人間たちが私の創りだした物を使う度に魂達が私のもとに集う!そして私に力を与えてくれる!」
アイネスは狂気の笑いを高らかに声を上げていた。
核で魔法使いたちが一掃された次の戦争。
ネルビス軍は"核の爆心地"を軍全体の八割の兵士で進軍していた。
ここで一気に畳み掛けるようだ。
魔法使い達は迫り来る兵士や戦車が迫ってくるのを見ていた。
それに魔法使いたちはどよめき、焦っていた。
「け、賢者殿!こ、これでは私たちは!」
「大丈夫だ。魔法研究所から新しい魔法が伝授された。」
「新しい魔法…ですか?」
「そうだ。どうやら黒い翼の神が授けてくれたらしい。」
「神が…ですか?」
「あぁ。授けられた術式は神代時代文字と複雑な式で書かれていて複写しか出来なかったらしい。だから何が起こるかは使ってみないとわからない。」
「そんな魔法を…。」
「神から授けられた魔法だ。きっとこの状況を打開してくれる。」
そう言いながら複写された魔法陣を魔力を使用して地面に描いていく。
「さあ!皆よ!この魔法は大量の魔力を消費する。だから皆で発動させるぞ!」
そう言うと魔法使いたちは描かれた魔法陣に入り、魔力を流しこんでいく。
同時に魔法陣が光り出し、魔法使いたちの魔力を吸い込んでいく。
「くっ。結構キツイな。」
魔法陣に吸い込まれる魔力が一点に集中し、光り輝くとそこにはローブを着た骸骨が佇んでいた。
手には大鎌を持っている。
「ひっ!?」
何人かの魔法使いはそれに驚き逃げ出したり腰を抜かす者も居た。
「召喚されし者よ!あの愚かな異端者達を血祭りにあげよ!」
賢者がそう言うと死神はネルビス軍へと向かっていった。
ネルビス軍が飛んでくる大鎌を持ったローブ姿の異型を目視すると戦車砲やアサルトライフルの弾丸が一斉に発砲した。
しかし、異型の目の前で何か不可視の障壁に阻まれ届くことはなかった。
「うわ!こっちに来るな!うわああああああああああああ!」
大鎌が振り下ろされ兵士が真っ二つに切り裂かれ、大鎌を横に振るうと兵士たちは腹部から腸を当たりに撒き散らしながら切り裂かれていく。
あらゆる方向からライフル弾や戦車砲が飛んでくるが、異型には通じず只々兵士は切り裂かれて行く。
異型は戦車に狙いをつけると大鎌を振り上げ戦車のハッチ部分に振り下ろした。
大鎌は戦車に食い込み、異型は大鎌を勢い良く手前に引いた。
戦車は切り裂かれ内部の人が露出した。
死神の大鎌が鍋を掻き回すように戦車の中を掻き回す。
中に居た人は大鎌により切り裂かれ、かき混ぜられたことにより多人数の戦車の器に入った肉塊料理だ。
死神は満足すると続けて兵士達を殺していく。
五割り程度殺し終えると異型は突然止まると消えてしまった。
「ふふふ…ご苦労様。さぁ、貴方の刈り取って来た魂を私に頂戴?これで皆寂しくないね!うふふ…。」
死神がアイネスの体に入り込むと、アイネスの体に刈り取った魂達が馴染んでいく。
「ふふふ…。これで二つの国には破滅が待っている…、次はァあの国かなぁ?アーチェ。」
そう言うとアイネスはアーチェに向かっていった。
しばらく空を飛んだ後、アーチェに到着するとステルスモードに神力を変換すると戦争で使われている大規模科学転送魔導陣に干渉し、構造を改変した。
基本的な発動原理は変えず、追加機能として改変したのだ。
そして魔力コンデンサにも細工を始めた。
神力により魔力コンデンサを再構成し、以前より何倍もの容量を持つ物に換装したのだった。
「ふふふ…これでこの国も終わり。さあ!世界の滅亡もあと少し!こんな腐った世界なんて壊れてしまえばいいんだ!アハハハハハハハハハハハハ!」
そう言うとアイネスはアーチェから消えていった。
それと同時期。
「上級神様。」
「分かっている。」
「あのようなものにアレが使われるなど有ってはならぬものです。」
「あぁ。分かっている。(自然の感応者よ、いや、世界の感応者。正気を取り戻さないとこのままではお主を…。)」
「タイミングは世界を滅亡させた瞬間です。そこで我々の六芒神域封印を施します。」
「分かった。その時は頼んだぞ。」
「ああ、私の中の魂が疼く。神が余計なことをしようとしてる。それは阻止しないとなってね。アハハ。」
やがて戦争は以前よりも小規模なものへと変わっていった。
ネルビスでは兵士、国民、研究所などで大多数の人数が奇病に陥った。
なぜこんなにも奇病が発生するのかわからずネルビスでは混乱が起きていた。
それは兵士達の士気にも影響を与えている。
一方カーラでは戦場に出ていた魔法使いたちが苦しみ始めていた。
最初は魔力の枯渇かと思い、安静にさせていたが次々と苦しみだす魔法使いが発生し戦場は混乱に陥った。
これだけの人数が苦しみだすのはネルビスの兵器かと思われたが、ネルビスにも同じような奇病が発生しているとの参謀からの情報が入った。
双方の国内対処で戦争は一時停戦を余儀なくされたのだ。
ネルビスでは兵士、研究者、国民が次々と謎の奇病でしに行き、カーラでは破裂音と共に魔法使いたちが死んでいく。
そして死んだ人々の魂はアイネスに集まっていた。
アイネスは死んだ者の魂を取り込みより強大な力を着けていた。
それは腐った世界を破滅させるためだ。
しかし、双方は戦争をしている状態ではなくなり魂の供給が滞り始めた。
アイネスはそれに嫌悪感を覚えた。
「今更国民を大事に扱うの?私にはあんな事しておいて?憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!!!」
しばらくの静寂の後アイネスは笑い出した。
「ふふふ。アハハハハハハハ!ならこの手で滅ぼしてあげる!!!まずはアーチェから!さあ!魔法陣よ、起動しなさい!そしてその大陸ごと吹き飛ばせ!」
「ん?あれ?なんで魔法陣が起動して…。」
「おい!魔法陣を止めるんだ!とんでもない魔力が流れ込んでいるぞ!」
「え?これは…しかし、魔力コンデンサにこんな容量はないはず…。」
「報告します!魔法陣、魔力コンデンサに何者かの細工が施されていました!」
「なん…。これから何が起こる!」
「それが…文字が神代文字のため読めません。しかし、この魔力量から推定するに…。」
報告に来た担当者が言葉を渋った。
「そうか。これだけの魔力があったら大陸の一つぐらい吹き飛ばせるな。」
「所長…。」
「もう逃げられない。運命とは残酷なも―――――――。」
その瞬間魔法陣に細工された魔法が発動した。
それは大陸全てを吹き飛ばした。
元々魔法陣に施されていた魔力増幅効果や魔法の強化も合わせられたのだ。
そうして世界地図からアーチェと言う国と大陸が消え去った瞬間であった。
「ふふふ…魂が沢山流れてくる。皆一緒…皆一緒…。やっぱり根源魔法はいいものだ。本当は大陸半分程度だったけど、あの魔法陣のお陰で大陸まるまる吹き飛ばせちゃった。でも魂が沢山来たからいいか!」
アイネスは狂気の宿った笑顔でカーラに向かっていた。
次の標的はカーラに決めたようだった。