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「なぁ………しろよ………い………」
声が聞こえる。
これは……私の声だ。
数人の少女が輪になっている。
何かを囲んでいるのか?
しかし、焦点が定まらず、よく分からなかった。
「おい、サキ!」
サトシに肩を揺すられはっとなる。
「大丈夫か?」
サトシはサキと向き合った。
「えっ……あ……うん……」
サキは呟くように答えた。
「なんか、ボーッとしてたぞ?」
サトシがサキの顔を覗きこんだ。
「それから……鼻……」
サキはそう言われ、自分の鼻の辺りを触ってみる。
指には赤い血が付いていた。
鼻血だった。
五人は廊下を歩いていた。
体育館を目指して。
体育館もまだ調べてない所だった。
彼は見ていた。
……もうそろそろか……?
彼は笑った。
今度は声を上げて。
不気味に。
背後から笑い声が聞こえた。
五人は一斉に振り向いた。
「何……今の声?」
サヤカが震えた声で言う。
「さぁ?いい予感はしないな。行こう」
サトシが言った。
「調べてみないんですか?」
タイキが提案した。
「馬鹿かお前は!いくはず無いだろ!!」
その意見はマサトシにより即却下となった。
笑い声が響く廊下を、五人は駆け足で通りすぎた。
少しすると、体育館の入り口についた。
サトシがドアの取っ手に手をかけた。
ドアを押すと音もなく開く。
冷たい空気が肌を撫でた。
中は真っ暗だった。
サキは思わず身震いした。
ひんやりとした、気持ちいいとはとても言えない空気が廊下になだれ込んできた。
普通の学校は体育館に行くには一度外に出るか、そうでなければ、入り口付近に外へ出られる階段や扉等が有る筈だが、この学校と思われる場所はそうではなかった。
廊下から直接体育館に入る形なのだ。
それ以外の出入り口は無し。
不思議な構造だな。
と、サキは思った。
体育館の中は真っ暗で何も見えない。
おまけに、窓のカーテンを全て閉めているせいか、月明かりも射し込んできてない。
……本当の暗闇はこう言う事を言うんだな……
と、そこでサキはふと、思い付いた。
『本当の暗闇はこう言う事を言うんだな』
確かにサキはそう思った。
……それじゃあ、私はここに連れてこられる前は『こんな暗闇を』見たことがない?
勿論、その確証はどこにもない。
サキ自身が直感的にそう思ったのかもしれない。
だけど……
サキは考えるのを止めた。
もし、ここでその謎が解けても、脱出出来るわけではない。
解ったところで何になるんだ。
サキは考えるのを止めた。
疑問は次から次へと沸いてきた。
考えても考えても、追い付かないほど。
ここはどこか?
今はいつか?
サキ以外の四人は何者か?
なぜ風が吹くのか?
鈴の音は何か?
視線を感じるのは何故か?
たまに見る男は何者か?
サキは本当にサキ自身か?
次から次へと沸いてきた。
頭が破裂しそうになる位いに……。
お正月休みと言うことで、しばらくお休みさせていただきます。
皆さんにとって、2013年が素晴らしい年でありますように。
それでは、さようなら~★




