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スリル  作者: 会原 夏武
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8

「なぁ………しろよ………い………」

声が聞こえる。

これは……私の声だ。

数人の少女が輪になっている。

何かを囲んでいるのか?

しかし、焦点が定まらず、よく分からなかった。


「おい、サキ!」

サトシに肩を揺すられはっとなる。

「大丈夫か?」

サトシはサキと向き合った。

「えっ……あ……うん……」

サキは呟くように答えた。

「なんか、ボーッとしてたぞ?」

サトシがサキの顔を覗きこんだ。

「それから……鼻……」

サキはそう言われ、自分の鼻の辺りを触ってみる。

指には赤い血が付いていた。

鼻血だった。


五人は廊下を歩いていた。

体育館を目指して。

体育館もまだ調べてない所だった。


彼は見ていた。

……もうそろそろか……?

彼は笑った。

今度は声を上げて。

不気味に。


背後から笑い声が聞こえた。

五人は一斉に振り向いた。

「何……今の声?」

サヤカが震えた声で言う。

「さぁ?いい予感はしないな。行こう」

サトシが言った。

「調べてみないんですか?」

タイキが提案した。

「馬鹿かお前は!いくはず無いだろ!!」

その意見はマサトシにより即却下となった。

笑い声が響く廊下を、五人は駆け足で通りすぎた。

少しすると、体育館の入り口についた。

サトシがドアの取っ手に手をかけた。

ドアを押すと音もなく開く。

冷たい空気が肌を撫でた。

中は真っ暗だった。


サキは思わず身震いした。

ひんやりとした、気持ちいいとはとても言えない空気が廊下になだれ込んできた。

普通の学校は体育館に行くには一度外に出るか、そうでなければ、入り口付近に外へ出られる階段や扉等が有る筈だが、この学校と思われる場所はそうではなかった。

廊下から直接体育館に入る形なのだ。

それ以外の出入り口は無し。

不思議な構造だな。

と、サキは思った。

体育館の中は真っ暗で何も見えない。

おまけに、窓のカーテンを全て閉めているせいか、月明かりも射し込んできてない。

……本当の暗闇はこう言う事を言うんだな……

と、そこでサキはふと、思い付いた。

『本当の暗闇はこう言う事を言うんだな』

確かにサキはそう思った。

……それじゃあ、私はここに連れてこられる前は『こんな暗闇を』見たことがない?

勿論、その確証はどこにもない。

サキ自身が直感的にそう思ったのかもしれない。

だけど……

サキは考えるのを止めた。

もし、ここでその謎が解けても、脱出出来るわけではない。

解ったところで何になるんだ。

サキは考えるのを止めた。

疑問は次から次へと沸いてきた。

考えても考えても、追い付かないほど。

ここはどこか?

今はいつか?

サキ以外の四人は何者か?

なぜ風が吹くのか?

鈴の音は何か?

視線を感じるのは何故か?

たまに見る男は何者か?

サキは本当にサキ自身か?

次から次へと沸いてきた。

頭が破裂しそうになる位いに……。

お正月休みと言うことで、しばらくお休みさせていただきます。

皆さんにとって、2013年が素晴らしい年でありますように。

それでは、さようなら~★

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