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スリル  作者: 会原 夏武
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4

「何で……」

サキが呟いた。

「知らねぇよそんな事……」

サトシがぼそりと言った。

「とりあえず、落ち着こう」

タイキがパニックに陥っている皆に言う。

「落ち着けだぁ?落ち着いてられるか!落ち着ける方がおかしいだろ!!」

マサトシが怒鳴る。

「怒鳴らないで下さいよ。頭、痛いです……」

サヤカがしゃがみこむ。

「知るか……そんなこと」

マサトシは壁にもたれかかる。

「で?」

サトシが皆の顔を一人ひとり除き混むように言った。

「次はどうする?」

誰も答えられなかった。


……くそっ!やくたたずばかり集まりやがって……

マサトシははらわたが煮えくり返るほど、怒っていた。

自分が何故、こんなにも苛々しているのか分からない。

「うっ……!」

マサトシを頭痛が襲った。

始めの時のあの痛みと同じだった。

頭をプレスされているような……。

次の瞬間、景色が入れ替わる。

場所は同じだが、ごくごく、ありふれた日常の学校だった。

学生服の人達が目の前を通り過ぎていく。

……何だ……これは?

次の瞬間、景色が元に戻る。

「どうかしたんですか?」

マサトシの異変を感じ取ったサキがマサトシに訊いた。

「いや、何でもない」

マサトシが言った。

サキは不審そうにマサトシを見つめた。


彼は見ていた。

そして『見せて』いた。

……まだ、あいつらは気付いていない。

あいつらの行動は彼には全てお見通しだった。

彼は彼女に手招きした。


五人は全ての階の非常口も試してみたが、開かなかった。

「どうするの?」

サヤカが言った。

「さあ?どうしようも無いだろ」

サトシが素っ気なく答える。

サキは壁に背中を密着させて、座りこんでいた。

「なあ、お前!」

突然、声が聞こえた。

見上げると、マサトシがサキを指差していた。

「制服を着ているんなら、ここの生徒なんだろ?」

マサトシが興奮したように言う。

「そんな事……言われても」

「そうか……お前、ここの責任者とグルなんだろ!?上司は誰だ!?」

「はぁ?」

……無茶苦茶言う人だ。

「マサトシさん、止めてください。記憶が無いのは皆同じなんです」

タイキがその場を納める。

マサトシはう~んと唸った。

「そうですよ。不安なのは皆一緒です」

サヤカも言う。

マサトシは不機嫌そうな顔をしてその場にどかりと座った。

「しっ!静かに!」

その時、サトシが言った。

「どうしたんです?」

タイキが訊く。

「聞こえないか?」

サトシが口に人差し指を当てながら、呟くように言った。

皆、耳を澄ます。

シャリン……シャリン……

確かに聞こえる。

「何か……これ?」

サキが言った。


不気味だった。

……これは、鈴の音?

サキは考えていた。

でもなんで?

ここに居る人達と関係があるのだろうか?

しかも、だんだんと近付いてきているような……

「なぁ、近付いてないか?」

マサトシが言った。


「もう……何、これ?」

サヤカが頭を抱えた。

その時、サヤカの目の前の景色が変わった。

沢山の人が行き交う廊下。

そこに、異様に目立つ人物が……。

他の人と同じなのに、何故かサヤカにはそういう風に見えるのだ。

……あれは……私。

その人物は、サヤカ自身だった。

笑顔で、しかし、緊張したぎこちない笑顔で、子供たちに声をかける。

声は聞き取れず何を言っているのかは分からない。

次の瞬間には現実に戻っていた。

……一体、何なのよ?

軽く頭が痺れた。

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