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「何で……」
サキが呟いた。
「知らねぇよそんな事……」
サトシがぼそりと言った。
「とりあえず、落ち着こう」
タイキがパニックに陥っている皆に言う。
「落ち着けだぁ?落ち着いてられるか!落ち着ける方がおかしいだろ!!」
マサトシが怒鳴る。
「怒鳴らないで下さいよ。頭、痛いです……」
サヤカがしゃがみこむ。
「知るか……そんなこと」
マサトシは壁にもたれかかる。
「で?」
サトシが皆の顔を一人ひとり除き混むように言った。
「次はどうする?」
誰も答えられなかった。
……くそっ!やくたたずばかり集まりやがって……
マサトシははらわたが煮えくり返るほど、怒っていた。
自分が何故、こんなにも苛々しているのか分からない。
「うっ……!」
マサトシを頭痛が襲った。
始めの時のあの痛みと同じだった。
頭をプレスされているような……。
次の瞬間、景色が入れ替わる。
場所は同じだが、ごくごく、ありふれた日常の学校だった。
学生服の人達が目の前を通り過ぎていく。
……何だ……これは?
次の瞬間、景色が元に戻る。
「どうかしたんですか?」
マサトシの異変を感じ取ったサキがマサトシに訊いた。
「いや、何でもない」
マサトシが言った。
サキは不審そうにマサトシを見つめた。
彼は見ていた。
そして『見せて』いた。
……まだ、あいつらは気付いていない。
あいつらの行動は彼には全てお見通しだった。
彼は彼女に手招きした。
五人は全ての階の非常口も試してみたが、開かなかった。
「どうするの?」
サヤカが言った。
「さあ?どうしようも無いだろ」
サトシが素っ気なく答える。
サキは壁に背中を密着させて、座りこんでいた。
「なあ、お前!」
突然、声が聞こえた。
見上げると、マサトシがサキを指差していた。
「制服を着ているんなら、ここの生徒なんだろ?」
マサトシが興奮したように言う。
「そんな事……言われても」
「そうか……お前、ここの責任者とグルなんだろ!?上司は誰だ!?」
「はぁ?」
……無茶苦茶言う人だ。
「マサトシさん、止めてください。記憶が無いのは皆同じなんです」
タイキがその場を納める。
マサトシはう~んと唸った。
「そうですよ。不安なのは皆一緒です」
サヤカも言う。
マサトシは不機嫌そうな顔をしてその場にどかりと座った。
「しっ!静かに!」
その時、サトシが言った。
「どうしたんです?」
タイキが訊く。
「聞こえないか?」
サトシが口に人差し指を当てながら、呟くように言った。
皆、耳を澄ます。
シャリン……シャリン……
確かに聞こえる。
「何か……これ?」
サキが言った。
不気味だった。
……これは、鈴の音?
サキは考えていた。
でもなんで?
ここに居る人達と関係があるのだろうか?
しかも、だんだんと近付いてきているような……
「なぁ、近付いてないか?」
マサトシが言った。
「もう……何、これ?」
サヤカが頭を抱えた。
その時、サヤカの目の前の景色が変わった。
沢山の人が行き交う廊下。
そこに、異様に目立つ人物が……。
他の人と同じなのに、何故かサヤカにはそういう風に見えるのだ。
……あれは……私。
その人物は、サヤカ自身だった。
笑顔で、しかし、緊張したぎこちない笑顔で、子供たちに声をかける。
声は聞き取れず何を言っているのかは分からない。
次の瞬間には現実に戻っていた。
……一体、何なのよ?
軽く頭が痺れた。




