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「行くぞ!1…2…3!」
タイキが言った。
それに合わせてサキ、マサトシ、タイキの三人がシャッターを上げようと力を籠める。
しかし、シャッターはびくともしない。
「何だよこれ……!」
マサトシがシャッターを蹴った。
「そんなに苛々しないでくださいよ……」
サキが控えめに言う。
「うるさい!」
案の定、怒鳴られた。
タイキとサキは顔を見合わせた。
「もう一回やってみよう」
タイキが言った。
サヤカとサトシは階段を下りて一階に来ていた。
すると、どこからか人の声が聞こえてきたのだ。
「誰かいるんだわ」
サヤカがそう言って声のする方向に向かった。
サトシも走り出そうとした、その時、今までに感じたことの無い激しい頭痛がサトシを襲った。
「くっ……!」
壁に手をついて、頭を抱え込む。
ふと、前を見ると今までとは違う景色が広がっていた。
場所は同じだ。
けど、人が沢山いる。
制服を身に纏った学生、やスーツ姿の大人たち。
皆、笑っていた。
「それ………く………」
微かに声が聞こえた。
女の大人が子供たちに声をかけている。
「何を……見ようとしてるんだ……?」
サトシは呟いた。
一体……何を……。
「み…………は………」
また、聞こえた。
………止めろ……止めてくれ!
心の中で叫んだつもりが、声に出てしまった。
「どうしたの?」
サヤカが振り向いた。
「何でもない………何でも………」
と、言ってみるが、何でもなくなかった。
……俺は……何を見たんだ……
「歩ける?」
サヤカが手をさしのべる。
「大丈夫だ」
サトシはサヤカの手を除けて、ヨロヨロと歩き出した。
「ホントに?」
サヤカがサトシの顔をのぞきこんだ。
多少の鬱陶しさを感じながらも、サトシは「大丈夫」と頷いていた。
「ねぇ、見て!」
サキが真っ暗な廊下の先を指差した。
「どうした?」
タイキがその方向を見る。
「人が……」
サキが呟く。
確かに人がいた。
二人。
男性と女性。
「すみません!貴方達、ここが何か分かりますか?」
女性が近付いてきて言う。
「いえ……分かりません……」
タイキが答える。
「そうですか……」
女性はガックリと肩を落とした。
「ごめんなさい、力になれなくて……」
サキが謝る。
「いえ、良いんです。私達も何が何だか……」
女性も頭を下げる。
「あんたら、ボケッとしてないでシャッターを上げるのを手伝え」
マサトシが毒づく。
「手伝ってくれますか?」
タイキが二人に訊いた。
「勿論!」
二人が同時に答えた。
「そう言えば、二人とも名前は?」
タイキが訊いた。
「私はサヤカ、彼はサトシよ」
女が答えた。
「駄目だ……びくともしない……」
サトシがうなだれてその場に座り込んだ。
「もう一回やってみます?」
タイキが訊く。
「これって……窓から出た方が早いんじゃ……?」
サヤカが言う。
「確かにそうかも」
サキが賛同する。
「窓、開けられないか?」
タイキが質問した。
「見てみるよ」
サトシが窓に近付く。
しかし、少し見ると首を横に振りながら帰ってくる。
「駄目だ、中と外が逆になってる」
「と、言うと?」
サキが首を傾げながら訊く。
「鍵が外にある。あれじゃ開けられない」
「何だよそれ!」
マサトシが言った。
「落ち着いてください。開けられなくても、割ることは出来るんじゃないの?」
サヤカが提案した。
「じゃあ、早くやろう」
サトシが近くの教室に入って生徒用の椅子を担いできた。
皆、早く脱出したいのは変わり無いようだ。
サトシが窓の方に向く。
「離れてろ!」
皆、窓かは離れる。
サキは耳を塞いでいた。
サトシが思いっきり、椅子を窓に投げつけた。
割れた…………と、思ったが、窓には傷ひとつ付いていない。
「何でだよ!?」
サトシが叫んだ。




