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スリル  作者: 会原 夏武
3/15

3

「行くぞ!1…2…3!」

タイキが言った。

それに合わせてサキ、マサトシ、タイキの三人がシャッターを上げようと力を籠める。

しかし、シャッターはびくともしない。

「何だよこれ……!」

マサトシがシャッターを蹴った。

「そんなに苛々しないでくださいよ……」

サキが控えめに言う。

「うるさい!」

案の定、怒鳴られた。

タイキとサキは顔を見合わせた。

「もう一回やってみよう」

タイキが言った。


サヤカとサトシは階段を下りて一階に来ていた。

すると、どこからか人の声が聞こえてきたのだ。

「誰かいるんだわ」

サヤカがそう言って声のする方向に向かった。

サトシも走り出そうとした、その時、今までに感じたことの無い激しい頭痛がサトシを襲った。

「くっ……!」

壁に手をついて、頭を抱え込む。

ふと、前を見ると今までとは違う景色が広がっていた。

場所は同じだ。

けど、人が沢山いる。

制服を身に纏った学生、やスーツ姿の大人たち。

皆、笑っていた。

「それ………く………」

微かに声が聞こえた。

女の大人が子供たちに声をかけている。

「何を……見ようとしてるんだ……?」

サトシは呟いた。

一体……何を……。

「み…………は………」

また、聞こえた。

………止めろ……止めてくれ!

心の中で叫んだつもりが、声に出てしまった。

「どうしたの?」

サヤカが振り向いた。

「何でもない………何でも………」

と、言ってみるが、何でもなくなかった。

……俺は……何を見たんだ……

「歩ける?」

サヤカが手をさしのべる。

「大丈夫だ」

サトシはサヤカの手を除けて、ヨロヨロと歩き出した。

「ホントに?」

サヤカがサトシの顔をのぞきこんだ。

多少の鬱陶しさを感じながらも、サトシは「大丈夫」と頷いていた。


「ねぇ、見て!」

サキが真っ暗な廊下の先を指差した。

「どうした?」

タイキがその方向を見る。

「人が……」

サキが呟く。

確かに人がいた。

二人。

男性と女性。

「すみません!貴方達、ここが何か分かりますか?」

女性が近付いてきて言う。

「いえ……分かりません……」

タイキが答える。

「そうですか……」

女性はガックリと肩を落とした。

「ごめんなさい、力になれなくて……」

サキが謝る。

「いえ、良いんです。私達も何が何だか……」

女性も頭を下げる。

「あんたら、ボケッとしてないでシャッターを上げるのを手伝え」

マサトシが毒づく。

「手伝ってくれますか?」

タイキが二人に訊いた。

「勿論!」

二人が同時に答えた。

「そう言えば、二人とも名前は?」

タイキが訊いた。

「私はサヤカ、彼はサトシよ」

女が答えた。


「駄目だ……びくともしない……」

サトシがうなだれてその場に座り込んだ。

「もう一回やってみます?」

タイキが訊く。

「これって……窓から出た方が早いんじゃ……?」

サヤカが言う。

「確かにそうかも」

サキが賛同する。

「窓、開けられないか?」

タイキが質問した。

「見てみるよ」

サトシが窓に近付く。

しかし、少し見ると首を横に振りながら帰ってくる。

「駄目だ、中と外が逆になってる」

「と、言うと?」

サキが首を傾げながら訊く。

「鍵が外にある。あれじゃ開けられない」

「何だよそれ!」

マサトシが言った。

「落ち着いてください。開けられなくても、割ることは出来るんじゃないの?」

サヤカが提案した。

「じゃあ、早くやろう」

サトシが近くの教室に入って生徒用の椅子を担いできた。

皆、早く脱出したいのは変わり無いようだ。

サトシが窓の方に向く。

「離れてろ!」

皆、窓かは離れる。

サキは耳を塞いでいた。

サトシが思いっきり、椅子を窓に投げつけた。

割れた…………と、思ったが、窓には傷ひとつ付いていない。

「何でだよ!?」

サトシが叫んだ。

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