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スリル  作者: 会原 夏武
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風が吹いた。

サヤカは自分の腕を擦った。

「タイキとサキちゃん、大丈夫かな?」

隣を歩くサトシにサヤカが訊いた。

「さあ、無事を祈るしかないな」

サトシがため息混じりで言う。

「これからどうするの?」

サヤカが訊く。

「さあ」

サトシが呟いた。

「どこに行くの?」

サヤカが訊く。

「ちょっとたんま、質問攻めにするのは止めてくれ。俺だって何が何だかわからないんだから」

サトシがサヤカを止めた。

「ごめん……」

サヤカが俯く。

そして、二人は再び歩き始めた。


「やめろおぉぉ!!」

タイキは女から逃げていた。

曲がり角でサキと別れ、運悪くタイキの方に来たのだ。

前方に見える曲がり角を曲がる。

しかし、そこは行き止まりだった。

「くそ!」

タイキが壁を叩いた。

女は走るのを止めてゆっくりと近づいてくる。

口元に不気味な笑みを浮かべながら。

「来るな……!!」

タイキが言う。

しかし、女はタイキの目の前まで来ていた。

そして、女はタイキの耳元まで顔を近づけた。

息遣いがタイキの首筋を不気味に撫でた。

「私ね、ずっと待ってたんだよ……貴方達が来るのを……」

女がタイキの耳元で呟く。

「何だ……あんた誰だ?」

タイキが訊いた。

「なにも覚えてないのね………良いよ、教えたげる。私の名前はね、チサト……」

その瞬間、タイキの顔が真っ青になる。

「まさか……なんで……」

タイキが首を振りながら呟いた。

チサトが静に笑う。

「まあ、なんでも良いけど、あんたも死んじゃいなよ」

チサトが鎌を両手で握りしめた。

「止めてくれ……すまない!本当にすまない!!」

タイキが頭を下げる。

「私はね……あの時から……辛くて、悔しくて、仕方がないんだよ!!」

チサトが叫んだ。

と、同時に鎌をタイキに降り下ろした。

鮮やかな色の血が廊下に飛び散った。

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