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「早くしてよ!」
サヤカがサトシに文句を言った。
「やってるよ」
サトシは言いながらダイヤルする。
しかし、電話は繋がる気配を見せない。
「くそ!」
サトシは受話器を叩きつけた。
その時、四人の背後で大きな物音がした。
振り向くと、サキが倒れている。
頭を打ったのか痛そうにさすっていた。
「大丈夫?」
四人が駆け寄る。
しかし、サキは一点を見つめる。
「どうした?」
サトシがサキの肩を叩く。
「え……あっ……すいません……」
それで、サキはハッとなり言う。
「何をみたんです?」
タイキが訊いた。
「は?」
サキは思わず訊き返す。
″何をみたんです?″
不自然な質問だった。
普通だったら
どうしたんですか?
何があったんですか?
等が自然な質問だ。
しかし、タイキは
″何をみたんです?″
と、言った。
サキが何かを見たのを知ってる様に。
「何で?」
サキはタイキの顔を思わず見つめた。
タイキは微動だにしなかった。
「それより……」
サヤカがアルバムに目を向ける。
「何でここに写ってるの?」
サヤカがそう言いながらマサトシに目線を移動させる。
「ねぇ、マサトシさん?」
その瞬間、マサトシは凍りついた様に動かなくなった。
「どう言うことだ?」
かろうじて出た言葉がそれだった。
「惚けるんですか?」
サヤカが問いつめる。
マサトシは首を傾げた。
「そうですか……じゃあ、これを見てください」
サヤカがそう言って、アルバムをマサトシに手渡した。
それを見たマサトシは再度固まった。
タイキとサトシが覗きこむ。
「何ですか?どう言うことですか?」
サトシが言った。
「知らない……俺は知らない……」
マサトシはうわ言の様に繰り返している。
その時、マサトシの様子が一変した。
辺りをおろおろと見渡す。
アルバムを足元に落とした。
「何だあんたら?どうしてここに居るんだ?」
マサトシが慌てて訊いた。
「どうしたんですか?」
サトシが顔を覗きこむ。
「くそ!こんなことしてる場合じゃない!」
マサトシは時計に目をやった。
「間に合わない!」
マサトシは走って職員室を飛び出た。
「追いかけろ!!」
サトシが叫んだ。
皆、職員室から出た。
サキは立ち止まり、床に落ちているアルバムに目をやった。
一ページ目が開かれたままだった。
そこの校長の写真の欄に、マサトシの写真が写っていた。
その写真の下には名前が書かれている。
安西 正俊
それが彼の名前だった。




