達也と服部
「おい!魔王」
「はぁ~、いい湯だな~」と魔王
ってめ、人が緊急の用事だってのに
「お前後で絶対殺す」
バシャーンという音がして
「あべがぼべべべ・・・ぶはぁ」「ちょっとびっくりするじゃない!?」
溺れたのかよ・・・湯で
それにお前の話し方の方がびっくりだわ・・・
「レベルスコープの事で聞きたい」
「ああ、任せなさい」「ワシが作ったから何でも答えようぞ」
「このスコープで測れるレベルっていくつまでだ」
「レベル99までじゃな・・・」「どうかしたのか?」
「それ以上だとどうなる?」
「さぁ~な」「そんな主人公今まで出会ったことないからの」
服部・・・お前は・・・・
「分かった」「また連絡する」
「うん、じゃあ~ね~」
お前はいつかしばいてやるよ、魔王
「まも、魔王様、もしかして達也君はレベル99超えの主人公に出会ったんじゃ・・・」
「ねぇ、なんで噛んじゃうの?そこ」「なんで摩耗ってなるの?」
「ってそんな主人公に出会ったら世界が平和になるな」
「そうですとも、達也君に限らず、まもう様も瞬殺ですじゃ」
「なんで訂正すらしないの?舐めてるの?馬鹿にしてんの?」
「まあ、確かに瞬殺される、な・・・」
「だが、そんな奴が存在する訳ないから大丈夫じゃよ、魔女よ」
・・・
・・・・
とりあえずレベルスコープを使ってみたが、勇者の数が半端ではない
そこらじゅうに反応があるため、ミクシーを袋に詰めた
「悪いな、ミクシー」「すこし我慢してくれ」
・・・・・・・
ぴろ~ん、ぴろろ~ん
気遣った俺が馬鹿だったよ・・・
とりあえずどうしようか?
この場で片っ端から主人公を殺すにしても、それなりに準備が必要だ
この間のアレックス レベル5でさえタイマンしたら無防備な俺が負けていたかもしれないからな
どうしたものか・・・
とりあえず金はあるから(魔王がブラックカードくれた)金の心配はいらないが・・・
宿に泊まるか・・・
宿の中ではミクシーを袋から取り出す
レベルスコープが反応している
まあ、宿だから主人公の1人や2人はいるだろう
ジェシカ レべル3 トミー レベル4 ルイス レベル2
とこの宿に泊まっているのはこの3人でレベルはアレックス以下、か・・・
この間の毒をもっと強力にすればそれで事足りるな
達也は毒の調合を始めた
もともとの知識で作った毒をゴンザレスやアレックスは喰らった
そしてレベル1なら死に至り、レベル5でも十分効果はあった(死ななかったが)
スライム達の草原で採取した毒草を袋から取り出しすり潰す
マスクと手袋は必須なのは化学の授業や知識で分かる
「おいミクシー、ポイズンフラワー取ってくれ」
そのポイズンフラワーとやらはミクシーの口にすっかりおさまっている
は?
「何やってんだお前!?吐け」「死ぬぞ!!!」
まだ飲みこんでいなかったのだが、ほんの少しのエキスでミクシーはダウンした
馬鹿やろう
ポイズンフラワーは最初の町のサンダーバードで人々に聞いて採取したもの
毒性は話しを聞くだけで分かった
超猛毒
一般人がその成分を少しでも摂取すれば、1分で死に至る
一応、解毒薬を買っておいてよかった
ミクシーに飲ませてベッドで休ませる
・・・
・・・・
達也は2時間はかかる毒の調合を30分でやってのけた
「よし、あとは勇者どもの食事に盛るだけ」
達也は勇者の食事に盛った
スープだったり、肉にだったり
それが夕方で今は夜中
レベルスコープに何の反応もないのだから3人の勇者は死んだことになる
ピピ
いや、たった今反応した
「新しい主人公が泊ったのか・・・」
「!!!!!!!!!!!!」
「服部!!!!!!」
反応したのはレベル??のかつての親友服部
朝にロウソクが瞬殺されてたった今日でまた反応するとは!!
逃げなければ、死ぬ
いや、ちょっと待て
俺は魔物じゃない
逃げる必要は無い筈だ
服部からすれば、俺はこの世界に迷い込んだ人間になる
なんせ格好は勇者とはかけはなれた私服、武器もない
「久しぶりだな・・・達也」
その静かで重い声は突然背後からした
「っ!!!!服部」
「どうしてお前がここにいるんだ?」昔と変わらない重みのある声は達也にプレッシャーを与える
達也に勉強も運動も肩を並べ、人脈にいたっては達也が負けていたほどの人間がここにいる
「俺はな、今勇者をしているんだ」
知っている
それはスコープで確認したから
場の空気が重い
空気がピリピリするという表現の意味が分かった気がした
そして俺のやろうとしている事が全てお見通しかのように
これから裁きが下るかのように
「そこの魔物はなんだ?」
ほらな・・・多分コイツは全てお見通しだ
あえて遠まわしに聞いているに違いない
「俺の仲間だ!」
「どうして魔物が仲間なんだ?」
「とまあそんな事聞かなくても知っているけどな」
やっぱり
「今朝、達也を見たんだ」
あの時にすでに見つかっていたのか!!
「それでこの町まで追いかけてきた」
「達也のやろうとしている事は知っている」
くっっ
「だから、俺が達也を殺すその前に、昔の友人として話がしたかった」
俺もだよ・・・
「だけど、達也が腑抜けでガッカリだ」「今すぐお前の心臓に手が届きそうだ」
ゾッとした
それは俺が久しく忘れていた感覚
敗北知らずの俺が知る筈もない感覚
今それがリアルに伝わる
このままでは
「死ぬ」
ズドォォォン
服部の剣の一振りで、宿が全壊した
一振りでなんて威力してやがる!?
達也はミクシーを抱えてひたすら走った
くそっ、やべぇ、死ぬ、死ぬ、死ぬ!!!!!!!!
おまけ
通信機について
達也と魔王が頻繁にやり取りしているのは通信機によって行われているもの
アプリにテトリスがあり(登場してはいないが恐らく他のゲームアプリも存在する)、ミクシーがドップリハマっているが実はまだ便利な機能がある
レベルスコープは100メートル以内にいる主人公に対して反応するが
実はこれ通信機の機能なのである
別の機械が反応しているわけではなく、通信機が「ピピ」と反応して達也に知らせているわけだ
他にも、地図を現す事も、町の情報なども見ることのできる優れ物
要するに、ス○ホやアイ○○ンのような便利な通信機なのである