最初の主人公は
勇者殺しの旅といっても実際、魔王や魔女がついてくるわけではない
もちろん魔王は倒される運命とかそんな事もあるだろうが、俺が断った
俺の手で正義ぶる主人公もとい勇者を殺してやりたいからだ
そんな訳で「はじまりの町」とか呼ばれる町に来た
名前は「サンダーバード町」
中二病患者がいる町なのか?と思ったがまあいい
とにかくレベル1くらいの主人公が集まる町らしいな
まあ、ゲームで言うと、名前や性別、得意武器などを選んだあと最初に居る町みたいな感じか
そういや、魔王とこんなやり取りをしていたことを思い出す
・・・
・・・・
「あ、忘れとった・・・スキルの杖」「大抵全ての能力が得られるが3つまでじゃった!」
「いや、最初は様子を見るからスキルの杖はいらない」
「バホホホホ頼もしいの」
おまえ本当に魔王か?
もっとまともな笑いかたしろよ・・・
「あ!あとこれ」
なんだ?
「主人公レベル発見スコープ魔王特性バージョン」
長い・・・
「略してレベルスコープ」
最初からそう言え
「使い方は簡単です♪」
なんで通販風なんだ
「半径100メートル以内にいる主人公のレベルが分かります」
「だからこれは・・・・ってまだ説明の途中~」
もう面倒だからスコープ奪って俺は外に出た
・・・
・・・・
そう言うわけで俺はまだスキルを1つも身につけていない
3つしかできないと言われた時点で、2つ瞬時に考え付いたのだが、まずは知恵だけで、己の頭だけで勇者様を殺してみたいと考えた
殺すって表現が比喩かもしれない
この手の世界は本当に殺すことができず、「ゲームオーバー」といった具合で納まるかもしれない
だが、まあいい
魔法やらなんやら使える主人公を知恵だけで殺せるのなら、やはり俺は優秀な人間だ
その事を確かめることが出来るだけで、この世界に連れてこられた価値はある(魔王には言わんが)
本当に人間の世界はつまらなかった
だって俺より優秀な人間がいないのだから
中学のころにいた俺に匹敵した奴も、高校では離れるしな
とりあえず主人公ってのがどんなのか観察させてもらうぜ
達也は宿の裏側に隠れた
もちろんレベルを知るだけだったら、こんなに近くに寄る必要はない
本人を確認して、人間観察をして弱点を見抜く
これは達也が部活で特に活用していた特技でもある
もちろん教師にも、恋愛にも、様々なことで応用できるが
・・・
・・・・
「ゴンザレス レベル1
武器 木製の大剣 スキル なし
防具 私服、おなべのふた 魔法 なし
装飾品 母の形見 」
俺は昔、魔王に母ちゃんを殺された
それ以来父ちゃんの姿はなくなり、俺は・・・・
・・・
・・・・
長い
もういいだろ
お前のステータスを見て笑いをこらえる俺の身になれ
なんだよ木製の大剣って
それで何が倒せるんだよ
普通に喧嘩しただけで勝てそうだわw
もう少しレベルの高い主人公はいないのか?
この程度だったら俺じゃなくても、そこいらの喧嘩の強いヤンキーでも勝てるぞ・・・
ただ
正義ぶる奴は嫌いなんだ
殺してやろう
ってか、この宿に火ぃつけるだけでマジで倒せるんじゃね!?
ん?何の騒ぎだ??
「きゃー魔物が出たー!!!誰か助けてー」
魔物が町に現れたのか
序盤の町だから大した魔物ではなさそうだ
ほら、ゴブリンとかスライムとかあの辺のレベル
おっと、ゴンザレスとか言う主人公が宿を飛び出して戦いに行ったようだ
様子を見るか
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5分程度眺めていたが魔物をさっさとゴンザレスは倒していた
まあそれもそうだろう
こんな雑魚が倒せなくて魔王が倒せるわけないからな
と言う訳でお前みたいな奴に知恵を使う必要もないと思ったから、宿の食事に毒を盛ることにした
さようなら主人公さん
お前のレベルじゃその毒は消えないように出来てるんだ
その後、ゴンザレスは苦しそうに倒れて動かなくなったのを見て達也は宿から離れた