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ウエストエデン


普段なら宿で数日間休んで、次の四天王がいるエデンへ向かう達也達だが、今回は違った


たった今、倒したカーティスの事すらもうすっかり忘れているようだ


そして、怒りに満ちた達也はすぐに出発をしようとした


「お前ら・・・ついて来い」「最後の四天王だけは何があっても殺してやる」


フローライトがそれを聞いて驚く


「はぁ、はぁ、無茶よ!達也!!私たちはもう魔力が・・・」


息を切らしながらフローライトは必死に訴える


それもそうだろう、魔力が無い状態で四天王と戦える訳がない


だが


「魔力が、どうしたんだ?」


達也は冷たい目でフローライトを睨みつける


まるで、逆らえば殺すと言っているかのような冷たい目にフローライトはこれ以上しゃべる事が出来なかった・・・


「魔力が無ければお前達はついて来なくていい・・・俺だけで行く」


明らかにおかしいと見かねたバハームートが口を開く


「達也・・・何をそんなに焦っている?」


「最後の四天王は人間界から来た奴だ・・・」


まだ意味が分からずバハームートは続ける


「それがどうした?」


「ソイツは俺の父親を昔、殺したんだよ・・・!!」


「今すぐにでも殺してやりたい!!!バハームート、ウエストエデンに乗せて行ってくれ!」


もちろん、バハームートも達也の意見に反対であった


いくらなんでも四天王と二連戦など無茶にも程がある


「達也、我も今のブレスで魔力が底をつきそうだ・・・休息を取った方がいい」と言うのだが


「・・・・いいから乗せて行けよ!!殺されたいのか?」


会話の成立しない頭の悪いセリフ


だがここで討論になり、最悪、戦いになる訳にはいかない


流石にこの状態で達也に逆らえば命が危ないと感じたバハームートは言う事を聞いた


父さん、今から坂田を殺してくるから


必ず見つけて殺してやるよ・・・


・・・

・・・・


辺り一面が焼け野原のようで、戦いの生傷を残していた・・・


崩壊したサウスエデンからバハームートに背中に乗り、達也達はイーストエデンに向かった


ここから何時間か飛行すれば、すぐにイーストエデンに着くだろう


フローライトは乗りながら考えていた・・・


このまま四天王と戦って大丈夫なのだろうか?


私もミクシーもバハームートも魔力の残量が少ない事は明白だ


達也だって残りの魔力が少ないハズだ


今戦っても勝てるかどうかさえ分からないというのに・・・


下手をすれば全く相手にならないで全滅という事も起こりうる


そもそも、こんなに感情的に動く達也は初めてだ


いつもきちんと情報を把握し、頭で冷静に動く彼はどこに行ったのだろう?


だが、今までにそういう事が無かったと言えば否定はできない


なぜなら、主人公を殺す瞬間、達也はこのように冷たい目をしていたからだ


特に正義感の強い主人公の時に顕著に表れていた


止めの刺し方が人間の行いとは思えないような感じだったのだ


口には出せなかったが・・・


しかし、今回の達也は次元が違う、もう一人で別世界に居るかのようだ


話しかけても反応が無いし、大きく揺さぶってみても睨みつけられるだけ


それを見かねたバハームートが声をかけても、飛行に集中しろ、というだけだった


必死に殺す方法を考えている目、どういう風にいたぶってやろうと考えている目


以前の達也は本当にどこに行ったのだろうか?


ミクシーもずっと震えて私の懐にいる・・・


私も正直恐い・・・


今戦っても勝てるか分からない四天王よりも、どんどん人殺しの目になっていく達也を見るのが怖くて仕方がない・・・


・・・

・・・・


「殺す、殺す、殺す・・・必ず殺す・・・」


何かに取りつかれているかのように達也は呟く


達也はずっとブツブツ坂田賢太郎を殺す方法を考えていたのだ


冷静に考えれば、宿で数日間休息した方が成功率が上がることなど、達也でなくとも、魔物でも誰でも分かるハズだ・・・


だが、達也はブラッドナイフを血がにじむほど握りしめ考え込んでいた


ポタポタ血が滴る中


「殺す、殺す、殺す・・・」達也は呟いていた


・・・

・・・・


たつやはどこにいったのだろう?


おねーさんのふところでぼくはおびえることしかできなかった


まえのやさしいたつやは?


いつもきをつかってくれたたつやは?


こんなにつめたいめをするたつやにしたのはだれ?


こわい


こわいよ・・・


たつやがいなくなっていくのがこわい


さみしい


たつやがぼくたちからはなれるのがさみしい


もどってきて!


だけど


はなしかけることができないんだ


ぼくはふるえながらそうおもった


・・・

・・・・


「達也、少し落ち着け」


「・・・殺す、殺す、殺す」


バハームートが話しかけても達也は反応しない


「一度休んだ方が効率が良い事位、お前も分かっているハズだ!」


背中に乗っている達也は


「黙れ・・・アイツだけは殺す!絶対に許さない!!」


もうこれでは復讐に取りつかれている冷たい化け物だ


我が今抵抗した所で魔力のない状態では達也には敵わない


ここまで冷たい人間に我は出会った事がない・・・


過去がよほど残酷で達也にとって辛いものだったかを物語っているかのようだ


そして、考えている内に嫌でも着いてしまった・・・


イーストエデンが見えてくる


・・・

・・・・


イーストエデンが見えるようになると、ようやく達也がまともに話し出した


「バハームート、ここで着地しろ・・・」「奴に見つかっては意味がないからな・・・」


ここまできちんと判断できるのに、休むという考えは一切ないみたいだ


冷たいオーラを纏った彼は三体の魔物を待ちもせず、一人でイーストエデンに向かって歩きだして行った


ピピ


こんな時に限ってレベルスコープが反応する


「ロイ レベル45

 武器 聖剣エクスカリバー      スキル 聖剣エクスカリバー ホーリーソード

 防具 聖鎧ホーリーアーマー     魔法 火・水・氷上級魔法

 装飾品 聖飾 ホーリーペンダント                          」


現時点では、かなり強めの主人公だ


魔力が全員満タン状態なら簡単に勝てるが、今は魔力の残量が少ない


しかも、とても温存して戦える主人公とは思えない


そして、ロイがこちらの存在に気付く


「お前、勇者殺しだな?」


魔物を連れて歩く人間など、最近噂になっている勇者殺し以外いない


そのくらい誰でも分かる


「お前を制裁する!!!」


その言葉に達也はピクンと反応する


「お前が俺を制裁?・・・」


小さな声で言ったのにもかかわらず、空気がピリピリする


絶対零度のような冷たく張り詰めた空気は居る者全てを凍りつかせるようだ


ロイの背中には冷や汗が流れていた


いや、ロイだけではなく仲間のミクシー達も寒気がしていた事だろう


実際、四天王を倒すコイツに、こんな冷たい目をするコイツに敵うハズがないと本能が察しているかのようにも見える


「制裁を加えるのはこの俺だ・・邪魔をするな!!!今なら見逃してやれる・・・」


達也は無駄な魔力とかそう言う事を考えて言ったのではない


今すぐにでも四天王である坂田を殺しに行きたかったのだ


「ふざけるな!!ここでお前を倒すのが俺の役目!!」


まただ・・・また、正義ぶったセリフに実力のない奴の出しゃばり


何が俺の役目だ!!!


それで父さんは死んだんだ!!!


ロイはダッと駆け出して、腰から抜いた聖剣を達也に思い切り振る


ブンッ!!!


そこら辺の魔物なら一撃で斬り裂いてしまいそうなほどの剣撃


レベルが高いだけあって中々の剣撃だ


だが


パシッ・・・


静かに達也は聖剣を素手で掴む


ライズアップで手だけを強化し聖剣を簡単に掴む


「何!?」


「・・・・・」


グシャッ!!


無言で達也は聖剣を砕き、拳をロイに向ける


「くそっ、こうも簡単に聖剣が壊されるのか!?」


そして、思い切り拳を振った


ドゴォォン!!!!


デコピンで地面が抉れる程の威力だ


それを拳で怒りに任せてロイの顔面を殴り飛ばす


手榴弾が爆発したかのような轟音と共にロイは吹き飛ぶ


川で石の水きりをしているかのように、ロイは跳ねて飛んでいった


何十メートルも吹き飛び、岩にぶつかり煙を上げる


絶命しているか確認する価値もないと判断した達也は、そのままイーストエデンに向かった


しかし、イーストエデンの方向にロイは吹き飛んでおり、側を通過した時だった


ガシッ!!


「ま・・・・て、お前は行かせない・・・」


ロイがまだ生きており、達也の足を掴む


頭蓋骨は砕け、残り僅かな命のくせに俺の足を掴む・・・


「殺す、殺す、殺す、殺す・・・」


殺すがロイの事など言っていない事など本人ろいが一番良く分かっていた


ロイの事など一ミリたりとも見ていない達也はブツブツ呟いていた


掴まれた手を蹴り飛ばし、達也は先へ向かう


イーストエデン


その街は現代の人間界のような場所でビルやら建物やらで一杯だった


とてもRPGの世界とは思えなく、主人公などいるのか?と思うほどだった


だが、四天王が人間界から来た者なら納得は出来る


都会の風景とそう変わらないイーストエデン


唯一違うと言えば乗り物だ


空飛ぶバイクや車らしきものがあり、引っ切り無しに空を飛んでいて目障りだった・・・


人間界の未来を描いたような街、それを見るだけで達也は吐き気がした


坂田賢太郎が造る街


坂田賢太郎が居る街


無能で出しゃばりが管理しているゴミのような街


今すぐ、グチャグチャに跡形もなく破壊してやろう・・・


全てをなあ!!


「バハームート、もう一度あの大きなブレスを出せ」


もはや命令口調の達也に流石のバハームートも怒る


「いい加減にしろ・・・我がお前を殺すぞ?」そう言わずにはいられなかった


仲間であっても部下ではないハズだ


「いいから出せ!!!」


お互いが睨む中、ビクビク怯えながらミクシーとフローライトはそれを見ていた


ライズアップした拳がバハームートに向けられている


脅しではなく、本気の目でバハームートに向けられている


確かに魔力が少ない状態で達也と殺し合うメリットはあまりない、と言うより完全にない


「言う事を聞くのはこれで最後だ・・・」


バハームートは力を溜める


恐らくはこれで魔力のほとんどを使い切り、バハームートは戦えなくなる


そんな事も分かっているハズなのに、達也は街の崩壊を選ぶ


キュイイイン!!!!!!!


バハームートの口から高音が鳴る


エクサフレアの溜める時間が長いのは、先程の四天王戦で分かっている


それの三倍以上かかる時間でようやく溜め終わった


そして恐らく魔力がほぼ空になる


「エクサフレア!!!!」


口から一気にブレスを放出させる


ズドォォォォォォォン!!!!!!!!!!!!!!!


イーストエデンに向けられた強力なブレスが街のほとんどを破壊していく


達也達は街の外からそれを眺めていた


恐らく今ので数多くの一般人、勇者が死んだ事だろう


跡形もなく街は崩壊し、達也はそれを満足そうに見つめる


なんて気分がいいのだ!!


憎い奴の造った結晶がいっぺんに消え去る様は!!!


もうこれで達也は完全に人では無くなったと、ミクシーとフローライトは思った事だろう


顔が悪魔に取りつかれているかのようだった


ドッと両手を地面に着き、息を切らしているバハームート


「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・」


バハームートはほぼ魔力を使い切り、苦しそうだ


この苦しみは達也は良く分かっているハズだが、気を遣う様子もない


「バハームート、良くやった」「お前の役割はこれで終わりだ・・・」


さて、これで奴が現れるか?


達也はイーストエデンにバハームートを置いて入って行った


核爆弾でも投下されたかのような街


人々は横たわり、辺り一面死体の山を築きあげている


今までの達也は一般人まで巻き込むような事は決してしなかった


ピピ


レベルスコープが反応する


それを確認して達也は前を向く


「坂田・・・!!!」


達也が冷静にいか


「おやおや、久しぶりだなぁ!平岡達也君」「まさか君もこの世界に来ていたとは」


何の反省もない、前と変わらないコイツ


実力もない正義ぶった奴


コイツは絶対に殺す!!!


「お前は必ず殺してやるよ・・・!!!!」


「そんな物騒な事を言わないでくれよ、お父さんが悲しむぞ?」


ブツン!!


達也の頭の何かがキレる音がした


フツフツと沸騰していたマグマが一気に噴火したかのように


「お前が殺したんだろうがッッ!!!!!!!!!!」


ライズアップを発動して達也は坂田の元に駆け出した


ミクシーに分裂を使わせる事も、フローライトに援護してもらう事もせず、一人で向かって行った


「坂田賢太郎 レベル65

 武器 エネルギーガン     スキル マシンガン ショットガン マグナム

 防具 ダイヤモンドアーマー  魔法  アタックシールド マジックシールド 

 装飾品 警察手帳                               」


「クククク、さあ君もお父さんのように殺してあげるよ!」


坂田は二ヤリと笑って魔力を練った


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