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最初の四天王


「アラン レベル62

 武器 ドラゴンブレイド    スキル クリティカルキル バスターブレイド スロウブレイド

 防具 ドラゴンアーマー    魔法 パワーライズ 上級氷魔法 妨害魔法

 装飾品 ドラゴンブレスレット                               」




沈みかけの夕日の中、四天王のアランと対峙する


「ミクシー、分裂を使ってくれ」


「わかった!!」


ミクシーは分裂をする


本体の大きさは分裂をしても変わらないから、どちらかというと分身に近いだろう


しかし魔女との修業によりさらに数が増えたな


ボイン、ボイン、ボイン


ミクシー軍団が一斉にアランの方へ向かう


「フンッ」


アランは背中に掛けたドラゴンブレイドを抜いた


大きさは身の丈ほどある大剣


ミクシー軍団を次々を切り裂いていき分身を消していく


スキルや魔法すら使っていない


「お前が戦いに来い!!!」


アランは達也の方に駆け出す


そのまま剣を達也に向かって振り下ろす


そんなものが当たると思っているのか?


達也は後ろに飛び退こうとした


こんなのは軽いフットワークで避けれる速さ


見切れるスピードだ!


「終わりだ!」アランは力を込める


達也は足に力を入れる


だが


「何!?」


そのまま振り下ろされるのを眺める事しかできなかった・・・


ズバッ!!!!


達也の胸から腹部に向けて大剣は切り裂く


ブシュッと血しぶきを飛ばす


それが沈みかけた夕日に照らさせ綺麗に映る


それほど深くは斬られていないがなぜだ?


一瞬、俺の体の動きが遅くなったぞ


両手を前に出して防ごうとしたが、それも出来ないまま斬られた


「くそっ」


達也はレベルスコープをもう一度見る


ピピ


「アラン レベル62

 武器 ドラゴンブレイド    スキル クリティカルキル バスターブレイド スロウブレイド

 防具 ドラゴンアーマー    魔法 パワーライズ 上級氷魔法 妨害魔法

 装飾品 ドラゴンブレスレット                               」


妨害魔法!!!


これのせいか!!


おまけにスロウブレイドといかにも行動を遅くしそうなスキルがある


恐らくは斬られる前に遅くなったのだから妨害魔法だ


「妨・・・害・・・・魔・・・・・法・・・・・とは・・・・・」「・・・・・!?」


何だ!?急にしゃべるスピードが!?


「お前に斬る前に当てた魔法は妨害魔法「スロウ」だ」「そして、斬った後にスロウブレイドを発動させてもらった」


「く・・・・そ・・・っ・・・」


ヤバい!四天王、予想以上だ!!


もう1度斬りかかりにこちらに向かってきている


体が・・・体の動きが遅い


思考はまともに出来るが行動に移すまでが異常に遅い


脳はもう避けて次の段取りに入っているというのに!!


「達也!!!」


斬られる瞬間、フローライトが達也を抱え助ける


「チッ、逃げたか・・・」


態勢が整うまでの間、ミクシーが分裂をして時間を稼ぐ


「邪魔だ!!!」


「達也!何ボーっとしてるの!?」


「か・・・ら・・・だ・・・・が・・・・・・」


「魔法を喰らったの!?」「とりあえず治療しなきゃ」


キュアキス!!


達也の頬にキスをする


ジュワ~と達也の斬られた部分が回復していく


「あ・・・・り・・・がとう」「!!!!戻ったか!!」


スロウ効果も切れたようだ


「フローライト、アイツは行動を遅くする魔法を使う」「気をつけろ」


「ええ、達也の口調が遅くなったのもそのせいだったのね」


「次はお前らだ!!!」


ミクシーの分身がすべて消えていた


大量に分身したのにほぼ一瞬で全滅とは


「妨害魔法!!スロウ!!!」


クリアアビリティと同じタイプだ


見えない魔力を当てられるような感じで回避する事が出来ない


もしくは物凄い速さで飛ばしているのか!?


いずれにせよ今の身体能力ではかわせない


「く・・・そっ」


「し・・まっ・・・た」


達也とフローライトはスロウを喰らう


フローライトから切り裂くつもりだ


恐らくはさっきの治癒魔法を見て先に処理した方がいいと思ったのか!


ブンッ!!


風を切り大剣は思い切り振られる


ギィン!!!


大きな火花を散らし大剣を受け止めたのは達也のブラッドナイフ


大剣のパワーに腕が悲鳴をあげている


「お前、動けたのか!?」


「ったくなんて反則的な能力だよ!!俺が言うのもなんだけど、なッ!!!」


達也はブラッドナイフで大剣を振り払う


アランは咄嗟に距離を取る


チッ


ブラッドナイフで突き刺そうと思ったが、中々危機感知能力が高い


しかし、こんな所でクリアアビリティを使う事になるとは


自分に使用したから魔力消費は1発分よりかなり少ないがそれでも消費魔力は大きい


あの時達也は自分にクリアアビリティを発動してスロウ魔法を無効化した


もちろん一定時間達也は自分の魔法も使う事が出来ない


が、あのままだとフローライトがやられていた


こんな事なら初めからアランに使っておくべきだったな


もう温存はしない


全力で行かせてもらう


「勇者狩り、中々やるな!!」「俺の妨害魔法は並大抵の奴では解除できんのに」


もう1度アランは距離を詰めてくる


「フローライト!!!」


「ええ!!」


スロウの効果が切れたフローライトは地面に潜る


陽動作戦


ミクシーには分裂をさせる


ギィン!!


金属がぶつかり合う音がする


達也の小さなブラッドナイフとアランの大剣がぶつかり合う


くっ、なんてパワーだ!!!


受け流すのがやっと


そもそもこんな小さなナイフで受けて壊れない方が凄い


いや、魔王の魔力が注がれているからそうそう壊れたりはしないが・・・


それよりもいつ発動するか分からない妨害魔法に警戒しないとな


「どうした?接近戦は苦手か!?」


チッ、話しながら戦闘とは余裕だな!!


「ハァァァ!!!パワーライズ!!!」


アランがそう叫ぶと急に力負けしてしまった


「!!!!何!?」


ズドォォォン!!!


剣の受け合いの中急にアランの力が増した、どころのパワーじゃない


まるで手榴弾でも投げたのか?と思うほどの衝撃が走った


達也は地面に体ごとめり込む


「ぐはっ!!!」


口からは血の塊が飛び出る


剣で斬られた訳ではない


ブラッドナイフ受け止めた瞬間、大きな衝撃波のようなものが起きた


「終わりだ!!勇者狩り!!!」


「!?」


体が!?


氷魔法で体が固定されている


体が動かねぇ!!!


凍傷もしている


「クリティカルキル、確実に技が急所に当たるスキルだ」「死ね!!」


大剣が振り下ろされる


すでにミクシー軍団はスロウ魔法の餌食になっていて動きが遅い


ブンッ!!!


クリア・・・


バシャァァン


アランが振り下ろそうとした大剣に強力な水魔法が当たる


「ぐあっ!!」


アランはそのまま吹き飛ぶ


相当な水圧に流石に体が吹き飛ばされたようだ


「フローライト!!」


ミクシーはもう1度分身をする


手榴弾を1体1体が持ってアランに突撃する


「スライムが・・・図に乗るなよ」「妨害魔法!!!」


ミクシー軍団の動きはまた鈍る


だが手榴弾のピンは遅くされていない


ズドォォォン!!!


全ての手榴弾は爆発し、分身は自爆する


だが、よくやった


じゃぼん


水が当たる音がした


アランの背後に回り込んだフローライトが球型水魔法をアランに当てていた


「くっ・・・!!」


窒息と魔力吸収の優秀な魔法だ!!特と味わえ!!!


しかしアランは魔力を手に集めてそれをそのまま顔に当てる


バシャン


水が全て飛び散ってしまった


「なんて奴なの!?あの魔法をああ言う風に解除するなんて・・・!」


「爪が甘いな!!魔物共!!!俺にこの程度の拘束魔法は効かない」


さて、流石に良い能力を持ってやがる


正直、解除される事は予測していたがこうも容易いとは思わなかった


「アラン、タフな奴だ・・・アンタの魔力は無尽蔵なのか?」


「そんな訳ないだろう」「というより、魔力の残量を聞き出そうとしても無駄だ」


カマかけたつもりだったが・・・


「心配するな、お前らを倒す魔力なら十分にあるからよ!!」


流石四天王、まだ魔力には余裕があるか


ここはやはり致命傷とはいかなくとも、手傷を負わせた方がいいな


達也はブラッドナイフに水魔法を纏わせる


かすり傷一つさえ負わせれば出血を狙える


治療魔法を会得していないから致命傷になるハズだ


「ミクシー、フローライト、奴に手傷を負わせる」「手伝ってくれ!!」


達也達は駆け出す


先頭は分裂ミクシー軍団


「いくよーーー!!!」


「無駄だと言う事が分からんのか!!魔力を消費するまでもない」


ズバズバと分裂を切り裂いていく


側面に回り込んだフローライトが大きな水鉄砲を放つ


岩も容易く破壊するこの技を喰らえば流石にただじゃ済まないだろ!?


「数が多いな!!雑魚が図に乗りやがって!!!」


ビュンと水が飛ぶ


「!!!!」


アランは水鉄砲にギリギリで気付く


「魔女!!!」


大剣を構えガード耐性をとる


大剣と水鉄砲がぶつかりアランが大きく後退する


ズザザザザーー


草をたくさん散らしながら距離が開いていく


達也はすでにアランの懐に入り込んでいた


「終わりだ!!!クリアアビリティ!!!」


「何!?力が入らない、だと!?」


アランの動きが遅くなった


スロウのような遅さではない


全てが無にされたような、動きだけではなく力も魔力も無になった


ドスッ


達也はブラッドナイフを突き刺す


だが


避けられたか!!!


寸前で動けるようになったアランが大きく飛び退きブラッドナイフの直撃を避ける


スパンと腕をかすめる


チッ!!!やはりレベルが高い奴にはクリアアビリティの効力は薄いのか!?


「危ないところだったな・・・」


そう言いアランはかすった腕を眺める


「・・・・なんだ!?この血の量は?」「かすり傷でここまで出血するのか?」


鎌とかで腕を刺されたかのように血が出ていた


だがこれだけでは出血死までには至らない


「面白い魔法を使うな!恐ろしい」「この出血も魔法のせいか?」


こんなことなら雷属性でも付加しておくべきだったか?


さっきので完璧に決まったと思ったのだが、寸前でかわされるとはな・・・


それにクリアアビリティも1.5発分くらいの魔力を使っている


魔力の残量は65%といったところか・・・


これ程の相手に温存という選択肢はないが、使いすぎるとこっちが危ない・・・


確実に追い込んでいかなければ・・・


それにミクシーはもう100体以上分裂しているし、フローライトもそこそこ魔力を消費している


アランの魔力の残量さえ分かれば何とかなるのだが


「まずはスライムから片付けてやるか・・・」


相手が動き出す!


「上級氷魔法!!」


ミクシーに向かって発動する


「あ・・・・れ!?う・・・ご・・・・き・・・が・・・」


しかもすでにスロウ状態か!


「フローライト!!」


「ええ!!」


フローライトはもう1度水鉄砲を発動


バシュッ


勢いよく氷魔法に向かっていく


「甘いな!!」


アランは水鉄砲に向かってスロウを発動する


しまった!!


水鉄砲の速度が急激に落ちる


これでは相殺できない


「ミクシー!!!」


「う・・・わ・・・・あ・・・あ・・・あ・・ああああああああああああ!!!」


ミクシーもリアルな死の予感に叫んでいる


間に合え!!!


・・・・


「本当に凄いな!お前の魔法は!!」


「ハァ、ハァ・・・ったく・・これが狙いかよ!?」


「もちろん!そこのスライムの命などどうでも良い」「お前のその無力化する魔法の無駄撃ちをさせたかっただけだ」


クリアアビリティで氷魔法を無効化した


だが、これでまた魔力消費した・・・


これでもコントロールして1発の半分に抑えたのだが・・・


「ミクシー、下がってろ」「今のお前は足手まといだ」


「・・・・うん」


ミクシーはショックを受けながらも言う事を聞いた


達也から初めてそんな事を言われた


今までで1度も言われた事が無い言葉はミクシーの心を傷つけた


「達也、そんな言い方・・・」


「このまま近くにいては守りきれない・・・そうなると本当に勝機を失う」


「俺とフローライトで攻める、分かったな・・・」


「・・・ええ、分かったわ」


「お前のキュアキスはどの程度まで治せるんだ?」


さっき体を斬られた傷は治った


「さっきより深い傷は時間がかかるわ」


なら、さっきよりも深い傷さえ負わなければ無理をしてもいいってことだ!!


「フローライト、キュアキスに使う魔力を残しつつ俺を援護してくれ」


「分かったわ」


ダッと達也から駆け出す


クリアアビリティは自分や仲間に使用する場合、コントロールすることによって魔力の消費量を抑える


もちろん、相手にも消費量を抑えて使う事はできるがそれでは効果が半減する


すなわち、相手に使用するときは、余程の雑魚主人公以外は1発分魔力を使いきる必要がある


それを踏まえて達也は相手の懐に飛び込んだ


「妨害魔法!!!」


当然、アランは達也にスロウ魔法をかけて動きが鈍った所を斬り込む


まずは0.5のクリアアビリティを自分にかけスロウを解除


少しの間、属性剣が発動できなくなるため属性をブラッドナイフに付加できない


アランが振りかぶった大剣をかわす


アランはスロウを解除され、元の動きに戻った達也を捉えられない


その隙に達也がブラッドナイフを大きく振る


スパン!


ブラッドナイフが胸にかする


多量出血はしない


自分にクリアアビリティをかけたため、ブラッドナイフはただのナイフだ


クリアアビリティにデメリットがあるとすればこれだな


必要な能力も無力化してしまう


達也が振りかぶって崩れた態勢をアランは見逃さない


「終わりだ!」


クリティカルキルを発動した大剣を横になぎ払う


ブンッ!!!


だがそれもフローライトの水鉄砲により


ドシャァン!!!


「甘いな!!」


何!?


剣がはじかれないだと!?


ドスッ!!!  ズバッ!!!


なぎ払いは達也の腹を捉え、クリアアビリティが解除された達也は、雷属性を纏ったブラッドナイフはアランの利き腕である右腕に深く刺す


アランの急所には当たっていない!


「くっ・・・」アランは飛び退き距離を取る


「ぐあぁぁ!!!」達也の方が致命傷だ


ダラダラと血が流れ出る


「達也!!」


キュアキス!!!


達也のほほにキスをする


傷が浅くなるが治りきらない


「フローライト、もういい!!大丈夫だ」


勝負ありだ


飛び退いたアランはガクンと膝をつく


「くそっ、体が痺れる!!!」「それにこの出血・・・」


ブラッドナイフが利き腕に刺さった


これでもう大剣は使えまい


それに痺れた体、すぐに治るだろうがそれを待つ気はない!!


達也はアランの方へ走り出す


膝をつきながらアランは妨害魔法を繰り出す


達也の動きが遅くなる


まだ使えたのか!?


直後大きな氷塊が飛んでくる


デカイな・・・


クリアアビリティ!!!


スロウも氷も全て無効化する


「はぁ、はぁ、はぁ」


「まただ!!また魔法が無効化された!!!くそぉぉぉ」


フローライトは地面からアランの足を掴む


これで魔法も使えないうえに動けない


終わりだ!!!


水を纏ったブラッドナイフを腹部に突き刺す


ドスッ!!!


「グ、フッ・・・・」


じわぁ~、とアランの腹部から血が流れる


達也も膝をついた


3.5回分のクリアアビリティに属性剣、相当な魔力を消費した


「はぁ、はぁ、はぁ・・・アラン、勝負ありだ」


「ゴフッ、・・・そうみたいだな・・・」「こんなに強いとはな・・・・」


アランの腹部から血が止まらない


「このナイフにせよ魔法にせよ・・・くそっ、悔しいな」


「アラン、お前だけじゃない、他の四天王も必ず殺す」


「だからせめてお前だけは楽に死なせてやる」


「・・・・・ハッ、俺に苦戦するようじゃ他の四天王は無理だぞ?」


「だろうな・・・」


達也はブラッドナイフに風属性を付加させる


「さようなら」


ドスッ


心臓を一突きしアランは絶命を迎える


「はぁ、はぁ、はぁ・・・危なかった・・・・」


「そうね・・・私も魔力が底を尽きそうだわ・・・」


ミクシーも悲しそうな顔をしてこちらに来る


「ミクシー、お前もよくやってくれたからそんな顔をするな・・・」


「うん・・・」


夕日は沈みすっかりと日が暮れたころに達也達は宿に戻った










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