表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/53

ノースエデン


ぴろ~ん、ぴろ~ん


テトリスの音を久しぶりに聞いた気がした


というか空気の読めなさが半端ではないな、ミクシーよ


きゅいーん


「よし!よんれつけした!!」


「あらあら、凄いわね」


フローライトは温かい目でミクシーを見ている


本当に親子みたいだな・・・


スライムと魔女ってなんだかおかしな気もするが


ってそうなると父親は俺になるのか!?


こんな綺麗な魔女が妻?


考えただけでクラクラするな(色々な意味で)


「達也も一緒にやりましょうよ!」


ヤリましょうってなんか卑猥ひわいというか俺マジでゲスだな


「ああ、また今度な」


と言うか父親、か・・・


なんだか懐かしいな


そんな事を思っていた達也であった


・・・

・・・・


4人の主人公を倒して三日後


達也達は宿にいた


クリアアビリティを3発も使用したため魔力をかなり消費していたため休息していたのだ


流石に魔力が少ない状態で四天王と戦うつもりは毛頭ない


だが、宿の場所が問題だった


敵地であるノースエデンの宿で泊っていたのだ


極めてリスクの高い行動だが、3日も滞在して居所がバレていない所をみると感知タイプの主人公ではない事が分かる


それだけでもある意味収獲があったと言えるだろう


けれどもここ3日間で騒がれているのも事実だ


3日前、近くの草原で出血死した3人の主人公と魔物に襲われて死亡したとみられる1人の計4人のパーティーの亡骸が見つかっているからだ


3人の主人公は全て鋭利な刃物で殺された形跡がある


これはつまり、人間が殺した可能性が高いのだ


刃物を巧みに操り、襲いかかる魔物ももちろんいる


だが、この辺りの草原で刃物を持った魔物はいない


決定的なのがノースエデンの近くと言う事だ


四天王の縄張りの近くで暴れる魔物などまずいない


それはすなわち死を意味するからだ


だから、殺したのはほぼ人間で間違いないという事になる


しかし、普通の人間にパーティー勇者が殺せるのか?


1人ならまだ分かる


不意打ちをすれば可能性は薄いが無くもないからだ


だが勇者の数は4人


レベル30代の勇者を一網打尽に出来る人間は限られるだろう


勇者ではない


勇者が勇者を殺すことなどタブーだからだ


結局行きつくのは勇者狩りの仕業だろうという事だ


そうしないと傷口の説明がつかない


鋭利な刃物で刺されたとしても、傷口の深さが異常だからだ


何か特別な刃物で勇者狩りが殺したと思われていた


だからこの町ノースエデンでも調査が始まっている


達也の所にもいくらか人が聞きこみに来た


もうそろそろ限界だ


尻尾を掴まれるかもしれない


そろそろ行動に移した方がよさそうだ


しかしまあ、レベルスコープがここ3日間で1つも反応しない所を見ると主人公は四天王しかいないという事なのか?


縄張りなだけに他の主人公は入れないのかもしれないな


まだ本調子ではないな、と思っていると


コンコン


ノックの音がした


「はい」


ガチャ


「すいません、3日前の勇者死亡事件についてですが・・・」


恐らく全ての宿の部屋に聞き込みをしているのだろう


これで3日間でもう4人目だ


「俺はここ1週間この町に居たから何も知らないんだ」「だから勇者さんが4人も殺されたと聞いた時には驚いたんだ」と恐怖に怯えた演技で達也は答える


「だから、恐くてここから出られない」「ノックの音を聞くだけで恐いんだ」


「そうですか・・・それは失礼しました」「ですが、この町にはアランさんが居るので安心ですよ?」


「分かっていますが、勇者狩りが捕まるまで安心できません」


ここに居ますけどね!!


「では、事件については何も知らないと」


「はい・・・」


「では失礼しました」


そう言って聞き込みの人は出て行った


あんな簡単な嘘に騙されるとは人間ってのは馬鹿だな・・・


まあもちろん心理的に弱った姿を見せて疑って来る人間はそうそういないだろうがな


自分は被害者なんだとアピールする事によって疑いの目を退ける


これで4人もの聞き取り調査を欺いた


お前らのせいでアランとか言う四天王は死ぬんだぜ?


「ミクシー、フローライト、四天王を倒しに行くぞ」


「はいさーーー」


「ええ、分かったわ」


魔力は回復した


俺の力は四天王に通用するのか楽しみだな・・・


達也達は宿を後にした


さて、と・・・


四天王とやらはどこにいるのかな?


闇雲に探しても時間の無駄と判断し聞き込み調査をする事にした


アイツらのように


近くの人に聞いてみよう


達也は宿を出てすぐ近くに居た人に話しかける


「すいません、四天王ってどこにいるんですか?」


「アランさんですか?」「あの方はどこに住んでいるのか分からないんですよ」


どういう事だ?


「何でですか?」


「噂ではあの1番高い所に大きな家があるでしょう?」「あそこに住んでいるという噂があるのですが・・・」


「姿を見た人がこの町にはいないのです」


常に出かけているのか?それとも普通の人間には目視できないのか?


「そうですか・・・この町の人々は会った事がないんですか・・・」


「はい、ですがこの町の安全をアランさんは守ってくれているのですよ」


「近辺には全く魔物が生息していません」「アランさんが近寄らないようにしているんです」


「おかげで隣町までの買い出しや売りこみが非情にスムーズにいくのです」


「なるほど・・・つまり正義感のある人なんですね」


「はい、あの人ほどやさしい人はいません」


正義ぶる奴・・・


「分かりました、ありがとうございました」


一応お年寄りだったので適当な敬語で


しかし、姿が見えないとはどういう事だ


まさか、透明人間ではあるまい


まあ近くに寄ってみるか


達也達は1番高い建物に向かった


アランとか言う奴が居ればレベルスコープは反応するしな・・・


あきらかにこの地に住んでいる1番偉い人の家っぽいな


ミクシーの分裂を使って偵察に行かせようか?


いや、地面に潜れるフローライトの方がいいか


「フローライト」


「偵察に行って来い、でしょ?」


「ああ、中に人がいるかどうか確認してきてほしい」


「分かったわ!任せて」


「えーーなんでぼくにたのんでくれなかったの?」


「ミクシーは別の大切な役割があるから」


まだ思いついていないが・・・


「わかったよ・・・」


ミクシーもミクシーなりで達也の力になりたいのだろう


今はその気持ちで十分だ


・・・

・・・・


建物の中には人一人もいない


「・・・誰もいないわね」


豪邸を思わせるかのような大きな建物なのに人が全くいないためどこか不気味だ


だが、いかにも普通な(豪邸の時点で普通かどうかは?だが)感じがする


普通のお金持ちの家、といった感じだ


「さてさて、アランとか言う人の部屋でも探しましょうかね」


フローライトは地面に潜る時、ドアでさえ開けることなく侵入可能だ


音も気配も無くせるので偵察にはもってこいだ


しかし、たくさんあるドアを一つ一つ探していくが手掛かりがない


「本当に人が住んでるの?」


スゥー


最後のドアを通り抜ける


「!!!」


大きな剣だ


すさまじいオーラを放っている


剣だけでここまで使用者が強いと思わせられるのか?


「なんて強い剣なの!?」


並大抵の主人公なら剣を見るだけで尻もちをつき降参しそうなほど


防具もある


身に着けようとも思わない


こんなものを装備できるのは選ばれた者だけだ


「ここがアランの部屋なの?」


フローライトは居るだけでなんだか寒気がした


様々な装飾品に、様々な本がある


どれも強くなるためだけの装備や道具だ


逆にここまで鍛錬に修業した主人公をどこか尊敬した


「凄いわね・・・達也に知らせないと!!」


フローライトは窓から戻ることにした


なんとなく早く出たいという心理が働いた


・・・

・・・・


「遅いな・・・まさか襲われたんじゃないだろうな」


物音がしないからそれはないだろうが・・・


「誰が?」


背後からフローライトの声がした


うわっ、と・・・ビックリした


「戻っていたのかよ・・・心臓に悪いな」


しかし本当にこれではフローライトの球型水魔法は避けれないだろうな


主人公が気の毒だよ・・・


「それより達也、アランとかいう奴、相当な実力者よ」


「対峙したのか?」


「いいえ、装備を見てそう思ったの」


装備だけで思えるほどなのか?


いや、まあ確かにゲームでもコイツ強いだろうなとか思う装備はあるだろうが・・・


しかしそれだけで魔物であるフローライトが強いと言うほどか?


「用心した方がいいわ」


「それは分かっている」


今日はもう一度宿に戻って休んだ方がいいのか・・・


アランは戻っていないみたいだからな


・・・

・・・・


ノースエデンから少し離れた草原


日が暮れてきて夕日が見えている


草がオレンジ色に輝き風がサァーっと吹くと、なんとも幻想的だ


だが、そんな草の中に赤色の部分があった


・・・・


血痕を見て男は思った


もちろん死体はもう片付けられている


「・・・ひどいもんだ」


まるで赤い草でも元々生えていたのかと思うほど


「ノイドをリーダーとしたパーティーか・・・」


「アイツらほどのメンバーが人間に殺されたとしたら勇者狩り以外いないな・・・」


「坂田さんと同じ人間界から来た人間」「もしかすると本当にソイツに殺されたのかもな」


男は赤い草を調べながら考えていた


しかしレベル30代勇者を4人同時に相手をして勝つとは恐ろしい


最も恐ろしいのが人間を殺す事に何の躊躇もない所だ


普通の人間なら4人も殺すのに抵抗があるハズだ


この血の量を見る限り、そんな感情は一切ないだろう


「ノースエデンに1度戻った方がいいな・・・」「なんだか嫌な予感がする」


男はノースエデンに急ぎ足で向かった


・・・

・・・・


達也達はしばらく夕日を眺めていた


あーあ、高い所から見る夕日もまた綺麗なもんだな・・・


何も考えない時間も時には必要だろうしな


さてさて


よし、そろそろ行くか!


達也は立ち上がり


「さて、宿にもう一泊してアランとやらが居なかったら、他の四天王から倒すか」


そうなるとかなり遠回りになってしまうが居ない者は仕方ない・・・


「そうしましょう」


「うんーーー」


達也はもう一度宿に向かった


高い場所に来ていたので降りる必要がある


しかしな


空飛べる奴を仲間に出来たらいいのにな


移動が楽にできるだろうし、戦闘パターンも増えるのに・・・


何より子供の頃の憧れだろ・・・空を飛ぶとか


そう考えながら達也は下って行く


だが、そんなメルヘンチックな考えもレベルスコープの音によって打ち砕かれる


ピピ・・・


まさか!?


「達也!!!」


「ああ!分かっている」


達也はレベルスコープを確認する


「やっと現れたか!!」


「アラン レベル62

 武器 ドラゴンブレイド    スキル クリティカルキル バスターブレイド スロウブレイド

 防具 ドラゴンアーマー    魔法 パワーライズ 上級氷魔法 妨害魔法

 装飾品 ドラゴンブレスレット                               」


しかしその姿は見えない


アラン、強敵だ


レベルも高い、それに加え、見た事のない装備に見た事のないスキルや魔法!!


ゆっくり様子を見ながら近づいていくか・・・


慎重に達也は向かって行く


「油断するなよ・・・ミクシー、フローライト」


「うん・・・」


「ええ、分かってるわ・・・」


なんだか見つかれば殺される隠れんぼでもしているみたいだ


ってそんな悠長な事考えている場合か


!!!!!


アイツだ


絶対にそう言いきれる


あんな装備をしている一般人などいてたまるものか!!!


目が合う


その瞬間、アランはこちらに向かって来る


ゾクゾクと震えてきた


これは恐らく武者ぶるいだな


そんじょそこらの雑魚主人公とは違う


やっと自分のステータスを測れると思うとゾクゾクした


バレたか?


逃げては自分が勇者狩りだと吐露しているようなものだから真っすぐ向かう


お互いの声が聞こえるまで近づいた


「お前が勇者狩りか?」


「そう言うアンタはアランだろ?」


「やはり勇者狩りか・・・」「見た瞬間分かったよ・・・禍々しいオーラ、人殺しを何とも思ってない汚れたオーラだ」


言いたい事言ってくれるな


「だったらアンタが止めてみるか?」


「いや、その前に住民を避難させてもいいか?」


意外と律儀な奴だな


「場所を移せばいいだろ?俺が殺したパーティーの草原とかアンタの良い墓場になると思うぜ」


「いいだろう!」


アランが冷静に怒っているのが感じられる


そう言うと、達也達とアランは草原に向かった


この時に戦いが始まらないのは真剣勝負であるがため、アランは住民に被害が及ばないようにするためだった


夕日が沈みかけている中、草原に着く


草原にたどり着くまでの緊張感は今まで味わった事が無い


「さあ、始めようかアラン!!」


「勇者狩り・・・」「お前は必ず倒す!!!」


殺してやるよ!!


「お前ら主人公のそう言う正義ぶったところが殺したくなるんだよ!!!!」


戦闘開始!!!!   







お詫びとお知らせ


お詫び


昨日(8月20日)掲載した「四天王殺し開始」の後書きを書き忘れていました


直接、ストーリーには関係ないのですが、これは作者のミスであり本当に申し訳ないと思っています


ですので、もしよろしければ、昨日読んでいただいた方にはもう一度「四天王殺し開始」の後書きを読んでいただけると幸いです



お知らせ


作者は一応、掲載する前にミスがないかチェックをしていますが、このように書き忘れや誤字脱字があるかもしれません


ですので、間違い等があればご指摘いただければ嬉しいです


そのために感想を使っていただいても構いません、もちろん感想を普通に書いていただけると凄く作者の力になりますので、何かこの作品に思う事がありましたら感想を書いていただけると幸いです^^


辛口コメントも有り難く受け付けますので^^


以上がお詫びとお知らせでした


これからも応援よろしくお願いします


作者 eclair13farronより





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ