みんなの持ち物
1日目13時02分
俺達は食事を取っていた。ただ、その輪の中にエリはいない。
「あの女、狂ってるわよ…」
エリのその言葉は、カナに聞こえていたのだろうか。
エリがそう言った暫く後、ウサギを捌き終わったカナはこちらに戻ってきた。手には、平たい大きな岩が抱えられており、その上に、生肉が並べられていた。
「捌き終わったわ〜」
俺達はその作業に感謝したが、エリはカナを見て走り去ってしまった。エリは少し離れた所で嘔吐していた。俺はカナをチラリと見ると、カナはエリを見て口角を上げていた。
それから、エリは輪に帰ってこないのだ。
「…俺、エリ呼んでくるわ」
ハルがそう言って、小さくなっているエリのいる河辺の方へと歩いて行った。俺はそれを目で追っていた。ハルはエリの横に腰を降ろして、二人は何かやりとりをしていた。暫く経つと、ハルがエリの手を引いて戻ってきた。
「おかえり、エリ」
マミがそう言った。が、エリは微笑み返すだけで、言葉を発しなかった。マミはエリを横に座らせた。
「さぁ。10人揃ったな。今から全員の持ち物をチェックしようと思う」
「うひょ〜っ、ハル、高校の先生みたいだな」
「茶化すな、ケン」
ノリが制する。
俺はストップウォッチやらアラームやらの多機能付きの時計、携帯電話(電源は入らないが)、ボールペン、メモ、財布、と何も珍しいものは持っていない。
他のみんなの中で珍しいものは、エリの櫛・指人形(お友達らしい)・手鏡・香水、ノリの生徒帳、ユイのナイフ(護身用らしい)、ハルの手錠(ファッションでズボンの腰にぶら下がっていた)、カナのナイフ・ライター、エタノール(体に傷があるらしい)。
思ったより色々あるみたいだ。
1日目14時38分
俺達はまた歩き出していた。川沿いをずっと下って行く。みんなの意見は
「進まないよりは進んだ方が、もしかしたら森の終わりがあるかも知れないじゃん」
とか
「じっとしててもしょうがねぇし」
とか、そういったものだった。
ところで、俺達は、ここに来る前の昼間にしていた格好をしている。
俺達の繋がりは、厄年である17歳ということだけだ…多分。
「オレ現代人だしよ〜、歩くの飽きてきたんだけど〜」
ケンは相変わらずバカだ。




