食事
「あ〜マジで腹減ったんだけど」
「わかったって」
ケンはノリにまとわりつき文句タラタラ。
「ユイは偉いね〜キノコなんて全然わかんないよ〜」
「簡単よ」
「じゃぁとりあえず自分の目で見て食べられそうなものを持ってくるということで。30分後に集合な」
「は〜い」
ノリはそう言うと歩いて行った。
1日目11時48分
「お〜いみんな〜、取ってきたぜ〜」
一番最後にケンが帰ってきた。ケン以外の3人が取ってきたものは、ユイによりきちんと仕分けされており、あとはケンのものを見るだけだ。
「おかえり〜」
「おっ、思ったより結構あるじゃん!」
「でしょ〜」
ケンは収集物の隣にしゃがんでいるマミに声をかけた。
「で、ケンのは〜?」
「へへへ〜見て驚くなよ?」
ケンはマミにそう言って、シャツの裾を両手で張った中のものを、ユイの前に出した。
「うへ〜!シャツが汚れた!」
ケンは自分のシャツを払いながら
「結構あるだろ?」
と自慢気に言った。だが、ユイからは言葉はない。ケンがぶちまけたものを見てしゃがんだまま固まっている。
「何だよ」
ケンは頬を膨らませてユイの隣にしゃがんだ。
「…あんた、バカでしょ」
「何だとぉ?!」
そのやりとりに、ノリとマミがユイの元へやって来た。そこには、色とりどりのキノコや、きれいな花などがたくさんあった。
「普通ね、きれいな色のものって敢えて取ってこないものよ」
「え〜?なんで?」
二人の会話にノリは頭を抱え、マミは苦笑い。
「鮮やかな色のキノコってだいたい毒キノコなのよ、バカ」
「ガーン」
結局、ケンが拾ってきたものはほとんどがダメで、ケンは終始落ち込みながら河辺へと戻った。
1日目11時56分
「あら、何を取ってきたの?」
A班が戻ると、カナがシンの腕の中のものに興味を示した。
「ウサギだよ」
シンがカナにウサギを差し出す。エリはその光景から顔を背ける。
「ふ〜ん。凄いじゃん。じゃ、あたしが捌いてあげようか?」
「え?カナ、料理得意なの?」
「料理は苦手だけど、肉とか魚は捌くの大好きよ。ナイフも持ってるしね」
…どんな女だよ。
カナはウサギを受け取って葉をめくってウサギの顔を見た。そして嬉しそうな顔をしながら川へ向かった。しゃがみ込んだカナの鼻歌まじりの背中から、肉を切る様子が伺える。エリは真っ青な顔をして近くの岩に座り込んだ。
「あの女、狂ってるわよ…」
エリはそう呟いた。




