ウサギ
俺のグループをA班、ノリのグループをB班としよう。
A班の俺は、昔ボーイスカウトをやっていたからキャンプ生活は得意だったし、食べられる植物もある程度知っていた。B班では、ユイが独学で植物やキノコにも詳しかった。こういう人材を入れてきているゲーム主催者…何者か。
1日目11時15分
「なぁ、タカ。見てみろよ、あれ」
口数の少ないシンが俺に話しかけてきた。
「…野ウサギか」
「食えるだろ?あれ」
「ああ」
「ち…ちょっと待ってよ!ウサギなんて…そんな…」
俺とシンの間にエリが割って入る。エリは確かにフリフリな服を着て、虫も殺せないような顔をしている。
「森の出口を見つける頃にはお前は骨と皮しかないんだろうな」
俺がエリにそう言うと、エリは黙ってしまった。そこで俺はシンに作戦を説明した。
エリは使いものにならない。エミは…どうだ?よくわからないが、反対してこないのを見るとやってくれそうだ。聞き返してこないので、日本語もわかっているようだ。俺はエリには何か食べられそうなものを拾って来るように言い、ふたりには位置についてもらう。ウサギは呑気に草を食べたり、地面に穴を掘ってみたりしている。
1日目11時23分
ウサギのちょうど後方で、エミが草むらでザワザワと音を立てた。ウサギはビクッとして首を回してそちらを見ている。エミはさらに大きな音を立てる。するとウサギが、前に向き直って俺とシンがいる草むらに走ってきた。
俺達はまっすぐ走ってくるウサギを、押さえつけることに成功した。
ウサギは、俺達の4本の腕に押さえつけられジタバタ動いている。俺はその手をウサギの背中から徐々に首へと移動させる。
俺はウサギの首を締め上げた。
ウサギは
「キュッ」
と鳴くと、動かなくなった。口と鼻からは血を流している。
そこへエミが大きな葉を持ってきてくれた。シンはウサギの顔を葉で包んで抱えた。
「エリ、帰るぞ」
拾ってきた木の実などを両手で吊ったスカートの上に貯めて、木の後ろに隠れていたエリを呼んで、俺達は河辺へ戻った。




