班結成
「なぁ、オレ疲れてきたぜ?」
歩き始めてどれほど経っただろうか。3番目に歩くケンが文句を言い始めた。
「じゃぁケンだけここで休憩して行けばいいじゃん」
そういうマミも、表情には疲れが見えている。
「オレを置いてけぼりにすんのかよ〜」
日は既に高く、気温は日本の初夏のようなので、水分もないまま歩くことは体力の消耗が激しいのは当たり前だ。
1日目9時54分
「…なぁ!!」
それまでへろへろと歩いていたケンが声を上げた。
「うるさいわね!いきなり横で大声上げないでよ!」
「いやいや、マミ!ほら、聞こえるだろ?」
「何が?」
「川の音さ!」
ケンはそう言うと、列から抜け出して前方へ走って行ってしまった。残されたみんなは顔を見合わせ、立ち止まった。すると遠くから
「うひょーい!こりゃいいぜ!」
というケンの声が聞こえてきた。その声に顔を見合わせていた全員が走り出す。
「…ほんとに川だ!」
先頭のハルが広い川の中で水浴びをしているケンを見つける。あいつは野生児か…。
1日目10時35分
俺達は河辺に座って休憩していた。
「あたしね、やっぱりこういうのってリーダーがいた方がいいと思うのよね」
カナが切り出した。
「確かにな。…でも、誰がやるんだ?」
ノリがそう言う。
「ハルなんてどう?あたし、先頭でハルの横を歩いてたけど、みんなの歩くスピード気遣ったり、ここまでまっすぐ歩いてこれたしさ」
「俺が?そんな…」
「大丈夫よ。やれるってば」
カナはハルの背中を撫でながら言った。
「俺はそれでいいと思うよ」
俺は賛成した。続いてみんな頷いて、賛同の意を示した。
「じゃ、よろしく」
カナはそう言って立ち上がった。
「どこに行くんだ?」
「ん〜…何か食べられそうなモノないかなって思って」
確かにそうだ。何か食べた方がいいだろう。
「カナ、…でもひとりで行くな。手分けしてやろうじゃないか」
カナは半ばがっかりしたような顔をした。
ハルはしばらく考えて、計画を口にした。
カナはライターを持っているので、ハルと残り、火を起こしてみんなを待つことになった。みんなは、もし迷っても、その煙で帰って来られるわけだ。あとは、俺・エリ・エミ・シン、ノリ・ユイ・ケン・マミと二手に分かれる。俺のグループのリーダーは俺。もうひとつのグループのリーダーはノリとなった。
1日目11時02分
俺達は森へ向かった。




