スタート
「ひっ…!」
エリは胸のポケットからピンク色の携帯電話を取り出した。
「でで…出るべきよね?」
「落ち着いて、エリ。みんなに聞こえるようにできる?」
「うん…」
カナに諭されて、エリは言われた通りにした。
すると、非通知着信から、機会を通した不気味な音声が聞こえた。
『…こんばんは。皆様、体調の方はよろしいでしょうか…。さて、皆様にはこれから一週間、私が用意したゲームに参加していただきます。ルールは至って簡単です。…一週間生き延びていただければ結構です…。それでは、お気をつけて…』
「いやいや、意味わかんねぇよ!」
俺がそう叫んでも、電話は一方的に切れてしまった。
「あ…」
「どうしたの?エリ」
「電源が落ちた…」
―…え?
俺はズボンのポケットから携帯電話を取り出した。すると、俺の携帯電話も電源がつかなくなっていた。
「うわぁ…最悪」
カナは大して気にもしないような素振りで、携帯電話を放り投げた。
地面に落ちた携帯電話を見てマミが問いかけた。
「それで…どうするの?あたし達」
「生き延びりゃいいんでしょ?10人もいりゃ、何とかなるんじゃない?ねぇ?」
カナはこの状況を楽しんでいるような顔をみんなに向ける。
「とりあえず、今から動くか、ここに留まるか…」
「ここには何もない…。俺は水源を探した方がいいと思う」
俺の問いにハルが答える。
「そうだな。水は必要だな…だが、慣れないこんな森で真夜中に動くのは危険じゃゃないか?まさか懐中電灯もないし…」
「じゃあ、夜明けと共に出発しよう」
1日目0時40分
俺達はカナのライターを使わしてもらい、協力して火を起こした。
俺達は火を囲んで横になった。眠れるわけはないが、体力を消耗するわけにはいかない。みんなの顔を見ると、それぞれ不安そうな表情をしている…カナを除いては。
「あたし、起きといて火見ててあげるわ」
カナはそう言ってあぐらをかき、口角を上げながら親指の爪を噛んだ。
「そうか…頼む」
ハルはそう言うと、火に背を向けた。
「はいはーい…」
俺はしばらくカナを見ていたが、カナは火が燃えるのを興味深そうに眺めて爪を噛むだけだ。俺も火に背を向けて目を閉じた。
1日目6時12分
俺達は先ほどカナに起こされて、既に歩きだしていた。ハルの提案で、ペアになって2列で歩くことにした。
先頭から、ハル・カナ、俺・エリ、ケン・マミ、ノリ・ユイ、エミ・シンとなった。




