だいすきっ!! 『おふろタイムっ!!』
昨日は雨が降りました。そんなわけで昨日はあまりお散歩できなかったのです。その鬱憤を晴らすが如く、ゆあは今日、朝からお庭で遊んでます。もう雨が降った後のお庭は楽しくてしょうがないのですよ。なぜなら・・・。
「わっ・・・―――お兄―っ!! ゆあがまた泥まみれになってるよーっ!!」
そうです。泥遊びはゆあの趣味なのです。
だいすきっ!!
だいよんわ 『おふろタイムっ!!』
「おーまーえーはーっ!!」
お兄に頭をぐりぐりされます。でも、誘惑に勝てないのは獣の本能。人間とは違ってそういうところは弱いんですからあんまり怒ってくれないでほしいです。
「でもっ、ちゃんと服は汚してませんよっ!」
「だからって裸でどろんこ遊びしないでもいいじゃない」
すずめお姉ちゃんは苦笑いしてゆあを見ます。特殊な趣味の人ならもう大興奮ね、と呟いてますがゆあには良く分かりません。
「ほら、ゆあ、ちょっと来い」
「わふ~っ! ホースで冷水は勘弁してください~っ!!」
「そんな泥まみれで家に上げられるかっ!」
「つめたいです! やめてぇ~!」
はたから見れば裸の女の子にホースで水をかける鬼畜なお兄。すずめお姉ちゃんはお風呂の用意しておくね、とさっさと家に戻っていきます。
「わう~・・・。寒いようお兄・・・」
「ま、これでいいだろ。ほら、風呂行くぞ」
「はーい」
冷たい水の後はあったかいお湯で髪を洗ってもらいます。ゆあのお風呂タイムは決まってお兄と一緒なのですが、今日はなんだか違うようです。
「―――やば、約束に遅れる。すずめ姉ちゃん。悪いけどゆあの髪洗ってやってくれないか?」
「いいけど。約束って?」
「ああ、友達の家に行くんだよ」
「友達って、あの悪ガキ? アイツとつるむのやめなさいって言ってるじゃない」
「亮介はいいやつだよ。―――それに、今日は亮介でもあいみでもない。別のクラスメイト」
「へえ、他に友達とかいたんだ」
「お兄に友達とか、珍しいですね―――へくちっ!」
「おっと。じゃあ、ゆあちゃん。風ひく前にお姉ちゃんとお風呂入ろっか」
「はーい」
この家に来てからお兄以外の人とお風呂に入るのは初めてです。お兄以外の人に髪を洗ってもらうのは初めてなので若干不安です。
「め、しみたら嫌ですよ?」
「はいはい。ちゃんと目瞑ってたら大丈夫だから」
「はーい」
「それにしても、ゆあってばホントに胸大きいね。こりゃ姉ちゃんが嫉妬するわけだ」
「しっとって、なんでですか?」
「過ぎたるは及ばざるが如しって言うけど、及ばざるものは過ぎることを望むってコトね。私は人並みでよかったわ」
「うーん・・・。よくわかんないです」
「分かんなくていいわよ。分かったところでこっちが何を言っても向こうが惨めになるだけなんだから―――もう目開けても大丈夫よ」
あったかいお風呂に入り、ゆあはほっと一息。ところで、お兄はどこに行ったのでしょうか? すずめお姉ちゃんに聞いてみると、にやりと笑っています。
「さて、もしかすると新しいペットを探しに行ったのかもしれないよ」
「わふっ!! そ、そんな・・・それじゃ、ゆあは、すてられるんですか!?」
「大丈夫よ。お兄がゆあを捨てたらお姉ちゃんが拾ってあげるから」
「わう・・・それでもお兄とは遠いきょり・・・」
不安です。お兄ってば、一体どこに行ったのでしょうか・・・。ホントに新しいペットとか連れてきたらどうしよう・・・。
「おにい~っ!!」
「わ、ゆあちゃん!? もしも話で泣かないでよ~!」
「おにい~! ゆあはおにいのペットですよ~!!」
ゆあはお兄を信じてますよ! 絶対一人で帰ってきてくださいね! お兄!! おしまい。
次回予告
「ゆあ、帰ってきたぞ~!」
「うわーん!! 『おおさんしょううお』連れて帰ってきた~」
嘘です。そんな次回はないです。
今日のお話から追加のゆあ口癖『わふ』と『わう』は初期段階のゆあ設定にあった口癖です。何でこれまで封印してたかって? クドちゃんと被るからです。わふ。でもこれじゃあまりにもキャラがないということなので、これからはたくさん使っていきますよ!
次回『だいすきっ!!』は、
『たつじんっ!!』
ついにお兄のクラスメイト登場!
その人は、ただものではないのです。