表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刻印式でくしゃみ事故に遭ったら、銃しか召喚できない【判定不能:ランクI】でした。  作者: 仲村千夏


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/39

22 刻印ランクX

 翌日から、学校は何事もなかったかのように通常授業へと戻った。


 朝の鐘が鳴り、廊下には生徒たちの足音と声が満ちる。冒険者登録や門番任務といった出来事が、まるで少し現実味の薄い夢だったかのように、教室の風景はいつも通りだった。


 マティルナは自分の席に座り、机の上に教科書を並べながら、そんなことを考えていた。


(……昨日までは、ギルドにいたのに)


 黒板の前では教師が淡々と授業を進めている。魔法理論の基礎、刻印魔法の歴史。聞き慣れた内容だが、今のマティルナには少し違って聞こえた。


 刻印。


 それは、昨日まで「学ぶもの」だったはずなのに、今は「自分の中にあるもの」になっている。


 腰には銃剣もない。制服の感触も変わらない。けれど、胸の奥には確かに何かが積み重なっているのを感じた。


「……マティルナ、聞いてる?」


 小声で声をかけてきたのは、隣の席のエルナだった。


「うん、大丈夫」


「ならいいけど……ちょっと上の空だったよ」


 エルナはそう言って、ノートに視線を戻す。几帳面な文字が、整然と並んでいる。


 前の席ではカミラが腕を組み、半分ほど退屈そうに、半分ほど真剣に黒板を見ていた。後ろではリヒトが、珍しく教科書を閉じて、何か考え込むように視線を落としている。


 授業は進み、鐘が鳴り、休み時間になる。


 生徒たちが一斉に動き出す中、リヒトが立ち上がった。


「なあ」


 その声に、マティルナ、エルナ、カミラの視線が集まる。


「昼休み、少し時間あるか」


「あるけど……どうしたの?」


 マティルナが聞くと、リヒトは一瞬だけ言葉を選ぶように間を置いた。


「図書館で、ちょっと面白いものを見つけた」


「面白いもの?」


 エルナが反応する。彼女の「面白い」は、大抵の場合「重要な資料」か「珍しい記述」を意味していた。


「ああ。刻印ランクに関する本だ」


 その言葉に、カミラが片眉を上げる。


「今さら基礎書か?」


「いや、違う」


 リヒトは首を振った。


「かなり古いが、内容が妙に踏み込んでる」


 マティルナは、その言葉に小さく胸がざわつくのを感じた。


 刻印ランク。


 ギルドで測定されたときの、あの一瞬。測定器が火花を散らし、壊れた光景が脳裏をよぎる。


「……みんなで見る感じ?」


 マティルナがそう言うと、リヒトは短くうなずいた。


「一人で読むには、ちょっと重い」


 昼休み。


 図書館は、いつもより少し静かだった。窓から差し込む光が、木製の机と床を淡く照らしている。紙とインクの匂いが、空気に溶け込んでいた。


 リヒトは迷いなく一冊の本を棚から抜き取り、机の上に置いた。


 厚みのある、革表紙の本だった。装丁は地味だが、使い込まれた跡がはっきりと残っている。


「これだ」


 タイトルを見て、エルナが小さく息を吸う。


「……『刻印ランクX(エックス)の五人と、Sランク冒険者の違い』」


「ランク、X……?」


 マティルナが呟くと、リヒトはページを開きながら答えた。


「公式には存在しない扱いだ。だから、こういう本は表に出にくい」


 カミラは腕を組んだまま、低く言った。


「胡散臭い話にも聞こえるな」


「そう思うだろ」


 リヒトは否定も肯定もせず、静かに続ける。


「だが、この本にははっきり書いてある」


 彼は、ある一節を指でなぞった。


「――Sランク冒険者は、理論上、ランクⅠからでも到達可能」


 マティルナは、思わず目を見開いた。


「え……?」


「努力、経験、運。それらが揃えば、刻印ランクに関係なくSランク冒険者にはなれる、とな」


 エルナがすぐにメモを取り始める。


「じゃあ……刻印ランクは、必須条件じゃない?」


「少なくとも、冒険者ランクに直結はしない」


 リヒトはページをめくる。


「だが、次が問題だ」


 彼は一度、言葉を切った。


「刻印ランクXは、努力だけでは絶対に到達できない、と明言されている」


 空気が、少しだけ張り詰めた。


「一般的な刻印ランクの上限はⅤ。Ⅴ以上は実力差が大きすぎるため、制度上もⅤを最大とする――そう書いてある」


 マティルナは、その説明を聞きながら、胸の奥がひどく静かになるのを感じていた。


 Ⅴが上限。


 その「上」を想定しない世界。


「……じゃあ、Xって」


 カミラの声は低い。


「規格外、ってことか」


 リヒトは、次のページを開いた。


「だからこの本は、事実認定された五人だけを扱っている」


 そこには、簡潔な見出しが並んでいた。


 ――純粋な魔法

 ――治癒魔法

 ――聖剣・魔剣召喚

 ――重装甲物召喚

 ――原子操作魔法


 マティルナは、無意識に息を止めていた。


 どれも、聞いたことはある。

 けれど、同時に「現実味のない言葉」でもあった。


「互いの魔法が干渉しないよう、世界側が調整している可能性がある、とも書かれている」


 リヒトは淡々と読み上げる。


「そうでなければ、世界の均衡が崩れる、と」


 図書館の静けさが、やけに重く感じられた。


 マティルナは、そっと本から目を離し、仲間たちの顔を見る。


 誰も、軽い表情はしていなかった。


 これは、ただの知識ではない。

 自分たちの「これから」に、どこかで繋がる話だと、全員が感じ取っていた。


 そしてマティルナは、まだ言葉にできない違和感を、胸の奥に抱えたまま、再び本へと視線を戻した。


 図書館の奥は、時間の流れが少しだけ遅い。


 窓から差し込む午後の光は、高い書架の影を長く床に落とし、埃の粒子を淡く浮かび上がらせていた。魔法灯は点いているものの、ここでは補助的な役割に過ぎず、基本は自然光だ。学生たちの足音や囁き声も、厚い石壁に吸い込まれて、どこか遠い。


 マティルナ、エルナ、カミラの三人は、リヒトに先導される形で、冒険者史・刻印研究の棚の前に立っていた。


「これだ」


 リヒトが差し出したのは、見た目だけなら地味な一冊だった。装丁は古く、題字も華美ではない。だが、背表紙に刻まれた分類符号を見た瞬間、カミラが小さく息を吐いた。


「……禁書区分、ぎりぎり外?」


「正確には“制限閲覧推奨”だね」

 リヒトは淡々と答える。「学内だから読める。一般ギルド図書室だと、Sランク以上の閲覧許可が要るはず」


 エルナがそっと題名を読み上げる。


「『刻印ランクXの五人と、Sランク冒険者との差異』……」


 その言葉だけで、空気が少し張り詰めた。


 マティルナは黙ったまま、本の表紙を見つめていた。ランクX。

 その文字は、学院に通う学生にとっては、ほとんど伝説と同義だ。試験も、推薦も、努力も――そのどれとも違う領域。


「……内容、どんな感じ?」

 マティルナがようやく口を開く。


「結論から言えば」

 リヒトは本を開き、慣れた手つきで該当箇所を探し当てた。

「“Sランク冒険者は、条件さえ整えばランクⅠでも取得可能”と明記されている」


 カミラが眉をひそめる。


「それ、ギルド的には言っていい話なの?」


「公式記録だからね。誤魔化しようがない」


 ページを繰る音が、静かな図書館にやけに大きく響いた。


「Sランクは、あくまで“危険度対応能力の評価”だ。個人の魔力量、刻印の質、戦闘継続能力――それらを総合して、一定以上なら昇格できる。極端な話、単独で高危険度魔獣を狩れるなら、刻印がⅠでも条件は満たせる」


「……なるほど」

 エルナはメモを取る手を止めずに頷いた。「実務評価、ですね」


 だが、次の行で空気が変わる。


「一方、刻印ランクXは“努力では到達不能”と断言されている」


 マティルナは思わず、リヒトの顔を見た。


「はっきり書いてあるの?」


「うん。断定的に」


 リヒトはそのまま読み上げる。


「“刻印ランクの一般上限はⅤ。Ⅴ以上は、同一枠組みで比較すること自体が無意味であり、制度上の最大値としてⅤを採用している”」


「つまり」

 カミラが低く言った。「Ⅴを超える時点で、もう別物」


「そういうことだね」


 エルナが視線を上げる。


「……でも、XはⅤの倍、という意味ではないんですよね?」


「全く違う」

 リヒトは即答した。「この本では、“ⅤとXの差は、ⅠとⅤの差を遥かに超える”と表現されている」


 沈黙が落ちた。


 マティルナの胸の奥で、何かが小さく軋む。

 努力では届かない。才能とも、環境とも違う何か。

 彼女自身が、そこに片足を踏み入れている可能性を、無意識に感じ取っていた。


「……で、その五人」


 話題を進めるように、カミラが促す。


 リヒトは頷き、ページをめくった。


「ここからが取材記録だ。事実認定されている刻印ランクX保持者は、歴史上五人」


 本の紙面には、簡潔だが異様な記述が並んでいた。


「一人目。“純粋な魔法”」


 リヒトの声が、わずかに硬くなる。


「属性を持たない魔法。干渉、増幅、相殺、そのすべてが不可能。魔法理論の前提を破壊する存在」


「それ、対策不能じゃない……」

 エルナが小さく呟く。


「二人目。“治癒魔法”」


「え?」

 マティルナが思わず声を出す。


「治癒、って……」


「そう。ただし、この人物の治癒は“概念修復”に近い。肉体、精神、刻印、寿命――治せないものがない」


 カミラが低く唸る。


「それ、一人で戦争止められるやつだ」


 リヒトは淡々と続ける。


「三人目。“聖剣・魔剣召喚”。個体数不明。剣一本ごとに人格と歴史を持つとされている」


 マティルナは、思わずリヒトの腰に提げられた剣を見た。

 彼もそれに気づき、わずかに視線を逸らす。


「四人目。“重装甲物召喚”」


「物?」

 エルナが首を傾げる。


「城壁、要塞、艦艇。魔力で構成された“防御構造物”を即時召喚する。単独で国家防衛線を構築した記録がある」


 そして。


「五人目。“原子操作魔法”」


 その言葉だけで、マティルナの背筋に冷たいものが走った。


「……それ、魔法の範疇?」


「範疇外だね」

 リヒトは静かに言った。「物質の最小単位に干渉する。爆発も、崩壊も、生成も可能。だからこそ、他の四人と干渉しないよう、行動制限が設けられている」


 ページの最後には、こう書かれていた。


 ――刻印ランクX保持者同士は、互いの存在を抑止力とする。

 ――同一戦場に立つことは、世界構造への過剰負荷となるため、原則禁止。


 しばらく、誰も言葉を発さなかった。


 図書館の静けさが、逆に重い。


「……規格外、って言葉じゃ足りないね」

 カミラがようやく言った。


 マティルナは、本の文字から目を離せずにいた。


 この記録は、過去の話だ。

 だが同時に、“今も更新され得る現実”でもある。


 自分たちは、どこに立っているのか。

 どこまで行こうとしているのか。


 その問いが、静かに、しかし確かに胸に残った。


 本を閉じる音は、思ったよりも静かだった。


 だが、その静けさは、安堵ではない。

 むしろ――区切りだ。


「……ここまでが、記録」


 リヒトはそう言って、革表紙の本を元の位置に戻した。棚に収まった瞬間、まるで何事もなかったかのように、図書館の風景は元に戻る。

 だが、四人の内側だけが、確実に変わっていた。


「ねえ、リヒト」


 マティルナが呼ぶ。

 声は平静を装っていたが、わずかに揺れている。


「これは……“過去形”の話?」


 リヒトは一瞬だけ、答えを選ぶように視線を落とした。


「公式には、そうだ」


「公式には、ね」


 カミラが腕を組む。


「つまり、今この時代にXが生まれても、表には出てこない」


「出せない」

 リヒトは静かに訂正した。「正確には、“出したら世界が壊れる可能性がある”」


 エルナが息を呑む。


「そんな……」


「誇張じゃない」


 リヒトは続けた。


「刻印ランクXは、強いから危険なんじゃない。存在するだけで、均衡を歪める」


 マティルナの指先が、無意識に自分の胸元へ触れた。

 刻印のある位置。

 布越しに、微かな熱を感じる。


「五人目――原子操作の人物が、なぜ行動制限を受けたと思う?」


 問いは、誰に向けたものでもない。


「破壊力が大きすぎたから?」

 エルナが恐る恐る答える。


「半分正解」


 リヒトは首を横に振った。


「正確には、“選択肢が多すぎた”からだ」


 三人の視線が集まる。


「爆発させることも、崩壊させることも、作り替えることもできる。

 それはつまり――どんな問題にも、力で介入できるということだ」


 カミラが低く言った。


「神様気取り、か」


「違う」

 リヒトは即座に否定した。「本人は、そんなつもりはなかった」


 そして、少しだけ声を落とす。


「だからこそ、危険だった」


 沈黙。


「その人物はね」

 リヒトは続ける。「“救えるなら救うべきだ”と、本気で考えていた」


 エルナの目が見開かれる。


「……それ、悪いことじゃ……」


「理想としては、ね」


 リヒトは苦く笑った。


「でも、世界は理想だけで回らない。一つの都市を救えば、救われなかった別の都市が生まれる。一つの国を助ければ、別の国が滅びる」


 マティルナは、胸の奥がひりつくのを感じていた。


「選ばなきゃ、いけない……」


「そう」

 リヒトは彼女を見る。「そして、Xは“選べてしまう”」


 だから。


「五人目は、自分から姿を消した。“誰かに選ばせるくらいなら、自分がいない方がいい”と」


 それは英雄譚ではない。

 逃避でもない。


 ただの、重すぎる責任放棄だ。


 カミラが小さく舌打ちした。


「……それでも、もし今Xが現れたら?」


「同じ扱いになる」


「隔離?」


「監視。場合によっては――抑止」


 その言葉に、空気が凍る。


 マティルナは、はっきりと理解してしまった。


 ランクXは、守られる存在ではない。

 “管理される災厄”だ。


「ねえ、リヒト」


 今度は、彼女自身でも驚くほど、静かな声だった。


「あなたは、どう思ってるの?」


 リヒトは即答しなかった。


 しばらく、図書館の奥を見つめる。

 過去の英雄たちの記録。

 名前だけが残り、感情の削ぎ落とされた歴史。


「……個人的な意見?」


「うん」


 マティルナは、逃げなかった。


「Xは、孤独だ」


 リヒトはそう言った。


「制度がどうであれ、世界がどう扱おうと。Xになった瞬間、同じ場所に立てる人間はいなくなる」


 剣士として、頂点に立つ自分でさえ。

 そこには並べない。


「だから」

 リヒトは続ける。「もし、身近な誰かがXになりかけているなら」


 三人の視線が、一斉にマティルナへ向きかけ――そして、誰も何も言わなかった。


「……俺は、その人の隣に立ちたい」


 それは、剣聖としてではない。

 一人の人間としての、選択だった。


 マティルナは、ゆっくりと息を吐いた。


 刻印が微かに脈打つ。

 今までより、少しだけ強く。


「ねえ」


 彼女は、三人を見る。


「もし、私が――“行き過ぎたら”どうする?」


 エルナが、迷いなく一歩近づいた。


「その時は、止めます」


 小さな声。

 でも、揺れていない。


「後ろからでも、泣きながらでも。マティルナが一人にならないように」


 カミラが肩をすくめる。


「暴走したら殴る。正気なら一緒に考える。それでダメなら……まあ、その時考える」


 最後に、リヒトが微笑んだ。


「剣で止められるなら止める。止められないなら、最後まで付き合う」


 図書館の鐘が、遠くで鳴った。

 閲覧終了を告げる音。


 マティルナは、少しだけ笑った。


「……重い話だったね」


 でも。


 その胸の奥に芽生えたものは、恐怖だけじゃない。


 自分は、一人ではない。


 それだけが、確かだった。


 図書館を出ると、校舎の中庭には午後の光が広がっていた。

 石畳に落ちる影は長く、学生たちの足音と話し声が、いつも通りに行き交っている。


 あまりに、日常だ。


 さきほどまで、世界の均衡だの、刻印ランクXだのという話をしていたとは思えないほど、穏やかな風景だった。


「……お腹すいた」


 不意に、カミラが言った。


 その一言で、張りつめていた空気が、ふっと緩む。


「急に現実的ですね」

 エルナが小さく笑う。


「重たい本を読むと、腹が減るんだよ」

「それ、ただの言い訳では?」


 そんなやり取りをしながら、四人は歩き出す。

 次の授業まで、まだ少し時間があった。


「結局さ」


 歩きながら、マティルナがぽつりと言った。


「Sランクも、刻印ランクも……すごいのは確かだけど」


 三人が、黙って続きを待つ。


「それだけじゃ、幸せかどうかは決まらないんだね」


 誰も否定しなかった。


 エルナは、マティルナの横に並ぶ。


「今日の話に出てきた人たち……きっと、たくさんのものを持ってました」


「力も、責任も、期待も」


 リヒトが静かに補足する。


「そして、多分――選択肢も」


 カミラが鼻で息を吐いた。


「選択肢が多すぎるのも、考えものだな」


 その言葉に、マティルナは少しだけ笑った。


「私はさ」


 彼女は、空を見上げる。


「今は、目の前のことができればいい」


 門番の仕事。

 授業。

 班の仲間と過ごす時間。


 世界を救う話なんて、まだ遠すぎる。


 校舎の角を曲がったところで、ふと足を止める。


「どうした?」

 リヒトが振り返る。


「……ううん」


 マティルナは首を振った。


 ほんの一瞬。

 刻印のあたりが、わずかに温かくなった気がした。


 脈打つほどでもない。

 光るわけでもない。


 ただ、“ある”と意識できる程度の違和感。


 気のせいだと、言われればそうかもしれない。


「大丈夫?」

 エルナが心配そうに覗き込む。


「うん。たぶん、考えすぎ」


 そう言って歩き出すと、その違和感はすぐに消えた。


 校舎の鐘が鳴る。

 次の授業を告げる、いつもの音。


「行こう」

 カミラが言う。「遅刻すると面倒だ」


「ですね」


 四人は、並んで校舎へ向かう。


 伝説は、過去にある。

 刻印ランクXは、歴史の中に封じられている。


 少なくとも、今は。


 マティルナは、仲間たちの背中を見ながら、思う。


 今日一日を、きちんと終えること。

 それが、今の自分にできるすべてだ。


 静かな足取りで、彼女は日常へと戻っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ