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育成枠

 私が指名されたのは育成ドラフト。現状一軍で使う可能性は無いが、育てる価値がある選手を抱えるために設けられている制度。その事は会見場となっている講堂並びに控室となっている校長室に居る誰もが知っている事であるため、歓声も喜びよりは安堵の色が濃かったように感じる。私もその一人。

(……お通夜にならなくて良かった。)

が正直な面持ちで会見場へ。それでも高校の関係者並びにマスコミの方。更には部活の同僚の助けもあり、良い雰囲気で会見は終了。勿論指名は受託する腹積もり。ただ何故育成になったのか?本当の評価を知りたい。

 翌日、球団担当のスカウトの方が来校。そこで話していただいた内容は?

 純粋に抱えている選手が多いため、即一軍の可能性が無い選手への枠が無かったのが最も大きな理由。しかし3年先のチームを考えた時、必要となるから頑張って欲しいとの事。

 これに対し、即戦力では無いけれども支配下で指名された選手との違いを聞いたところ……。

 今回指名した選手の問題と言うよりは、通われている学校の実績が影響しているのは否定する事は出来ません。今居る高校から何人かプロ野球選手が輩出されています。されていますが、一軍で定着した選手の実績が乏しい事が懸念され育成での指名になったとの事。今後の後輩のために、この評価を覆す活躍。支配下選手登録更には出場選手登録を勝ち取って欲しい。その可能性は球団皆認めているので。との事。

(面白いじゃないか。)

 あと指名した理由の中に、捕手と言うポジションも影響しているとの事。球団を維持するためには投手の活きたボールを取る事の出来る捕手は必要不可欠。特に指名された球団は幾つもチームを編成しているため、他球団よりも多くの捕手を必要としているので。勿論選手としての可能性で指名したのは事実であります。

(球団と喧嘩するのは損だな……。)

「指名していただきありがとうございました。よろしくお願いします。」

とスカウトの方に御礼を述べ散会したのでありました。その翌日。


 同じポジションの捕手で、来年自分がその立場。育成選手の戦力外が報じられたのでありました。 


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