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プロローグ

「さあ明日は運命のドラフト会議。注目の選手と言えば勿論!甲子園を沸かしたあの選手!!」

「番組は独占取材に成功しました。」


 地元放送局のアナウンサーによる威勢の良い声と共に私を取り上げる映像が流れ始めた。そこには私と父。そして甲子園でバッテリーを組んだエースピッチャーの3人が食事をしている様子が。

「俺は4年後を見据え大学へ進むが、その時まで生き残っていろよ。」

のエースの声。

「スカウトが来なかっただけなのでは?」

の言葉を飲み込む私。

「生き残れたとしてもキャッチーでは無く、別のポジションだろうがな。4年後。せいぜい足を引っ張らないようにしてくれよ。」

畳み掛けて来る同級生。

 これについては否定出来ない所はある。高校時代もサインの主体は彼からであり、ベンチに助けを求めた事も無いわけでは無い。しかし時間は4年ある。その間に腕を磨き、軽口を叩かれないよう見返すのみ。

「でも目標は日本代表でバッテリーを組む事だよな。」

(酒でも入ったのか!?)

3年間で、あいつから初めて褒められたような気がする。

 この後、父からこれまでの私への想いが語られ映像は終了。スタジオに戻り、明日のドラフト会議並びに関連番組が紹介されコーナーは終わったのでありました。

 明日のドラフト会議で以て私はプロ野球選手になる。野球で以て親に恩返しをする。収入を得る事の出来る世界に足を踏み入れる事になる。

 しかし忘れてはならないのは、年度末を迎えるその日まで籍は高校にある。調子乗って後輩に迷惑を掛けるわけにはいかない。勿論、次の年になったらなったで所属球団を困らせても良いと考えているわけでは無い。

 楽しみだ。来年私は何処のユニフォームに袖を通す事になるのか。楽しみでしかない。


 翌日。ドラフト会議で私の名前……無かった。

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